
首相官邸に入る岸田文雄首相=東京都千代田区で2023年3月15日午前9時40分、丸山博撮影
岸田文雄首相は20日(日本時間同)、インドを訪問し、モディ首相と会談する。南半球の途上国・新興国を中心とする「グローバルサウス」への支援などについて意見を交わし、5月に広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)の成功に向けて連携を呼び掛ける。現地では政策スピーチも行い、法の支配などを重視する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の新たな推進計画を発表する予定だ。
インドは今年の主要20カ国・地域(G20)の議長国で、国際社会で存在感を高めるグローバルサウスのリーダーとしての立場もアピールしている。日本はこれらの国々とも連携してロシアのウクライナ侵攻や中国の威圧的な行動に対処していきたい考えで、国際秩序の維持・強化のため、日印で協力する方針を改めて確認する見通し。
FOIPは2007年、当時の安倍晋三首相がインド国会で実施した「二つの海の交わり」と題する演説で、太平洋とインド洋を結び付け、民主主義などの価値観を共有する国々による広大なネットワークを構築すべきだと呼びかけたことが出発点となった。岸田氏はインドでFOIP推進計画を発表し、インド太平洋地域の平和と安定に向けた取り組みを日印が主導していくとの考えを発信する考えだ。
岸田氏は19日夜、出発前に首相公邸で記者団に「日本はG7、インドはG20の議長国だ。両国が国際社会でどのような役割を果たすべきか、モディ首相とじっくり意見交換をしたい。そして、インドで歴史的な転換期において、FOIPの果たす役割について私の考えを明らかにしていきたい」と述べた。
岸田氏とモディ氏の会談は、安倍氏の国葬参列のためモディ氏が来日した22年9月以来。22年には3月の岸田氏のインド訪問時と、5月の日米豪印の協力枠組み「クアッド」首脳会議に合わせたモディ氏の来日時と合わせ、計3回の日印首脳会談が開かれた。【日下部元美】
毎日新聞