
新築マンションなのに危険な釘が!(イラスト/なとみみわ)
内装や外装がきれいで、設備が充実している新築物件を借りたものの、業者の工事ミスが原因でけがをしてしまった──。そんなショックな出来事が起きた場合、治療費はどこに請求すればいいのだろうか。賃貸物件のトラブル解決に定評のある司法書士・太田垣章子さんが、実際の相談に答える形で、解説する。
【相談】
転職して心機一転、新築マンションに引っ越しました。最新の設備に、ピカピカの床や壁……。最高の気持ちで、くもりひとつないお風呂に入りました。しかし──さっぱりしてお風呂から出ると、ガリッという感触とともに、かかとから流血! よく見ると、ドアの下の部分から釘が出ており、それが私の足に刺さったのです。
翌日に病院に行くと、全治1か月と診断されました。診察後、管理会社に連絡すると、「工事会社の過失ですよね」などと言って取り合ってくれない。
責任は誰にあるのかと問うと、上司に確認すると電話を切られ、返事はなし。その後も電話をかけるたびに、担当者が変わって、うやむやにされたため、治療費と慰謝料を払ってほしいと管理会社に連絡しました。すると、慌てて大家と工事会社の担当者まで引き連れて謝罪にきたのですが、それで収めてほしいと……。私は謝罪だけでなく、治療費がほしいんです。どうすればいいのでしょうか。(48才女性・会社員)
【アドバイス】
このケースでは施工会社や大家に責任がありますから、けがによる治療費と損害賠償請求ができます。その場合、釘の写真、医療費や治療中の交通費の領収書、医師の診断書、休業した場合の収入を証明する書類などが必要です。法律の専門家や、保険会社などを間に立てて交渉した方がスムーズでしょう。
【プロフィール】
OAG司法書士法人代表・太田垣章子さん/30才で離婚後、仕事と育児をしつつ司法書士試験に合格。2600件以上の賃貸トラブルを解決に導く。『賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド』(日本実業出版社)など著書多数。
※女性セブン2023年3月16日号
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