ガソリン価格「25円」値下げの切り札も...政府がなかなか使わない理由

ガソリン価格「25円」値下げの切り札も...政府がなかなか使わない理由

  • Finasee
  • 更新日:2023/01/26

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2022年はエネルギー価格の高騰が話題でした。2月にロシアとウクライナで武力衝突が発生し、供給が停滞する懸念から原油価格が急騰します。

【原油先物の価格(WTI原油先物)】

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Investing.comより著者作成拡大画像表示

これに対応し、1年前にガソリン価格の抑制処置が初めて実施されました。

原油高でガソリン価格の抑制策が初めて実施

2022年1月25日、国は「燃料油価格激変緩和補助金」の導入を発表しました。これは石油元売り会社に補助金を支給することで、ガソリンの卸売価格および小売価格の抑制を目指すものです。レギュラーガソリン小売価格の全国平均が170円を突破することが発動基準となっていましたが、前日に同価格が170.2円を付けたため、実施されることとなりました。

燃料油価格激変緩和補助金は同月27日から適用されています。当初は1リットルあたり5円の補助金を出すものでしたが、4月25日の週からは上限を35円に拡充し、超過分も半分を支援するものに変更されました。

この仕組みにより、2022年のガソリン価格はおおむね170円前後で推移しています。補助がなかった場合のガソリン価格は200円を突破していたとみられることから、価格の抑制効果は十分働いたといえるでしょう。

【1リットルあたりのガソリン価格】

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資源エネルギー庁「発動の効果について」より著者作成拡大画像表示

ガソリン価格の抑制に効果を発揮した燃料油価格激変緩和補助金ですが、今年は段階的に引き下げが予定されています。昨年12月、国は1リットルあたり35円を限度に支払っていた補助金を、1月~5月にかけて毎月2円ずつ減額し、6月以降も段階的に縮小していく方針が示されました。

ガソリンが高いのは税金のせい?

ガソリンは、多くの税金がかけられている商品の1つです。主なものが「ガソリン税(揮発油税+地方揮発油税)」と「石油石炭税」で、この2つだけで1リットルあたり56.6円が上乗せされることになります。

【ガソリン1リットルあたりの主な税金】
・揮発油税:48.6円
・地方揮発油税:5.2円
・石油石炭税(原油・石油製品):2.8円

出所:財務省 自動車関係諸税・エネルギー関係諸税に関する資料

さらに石油を輸入する際の「関税」のほか「消費税」もかかっており、ガソリン価格を上昇させています。特に消費税については、ガソリン税などにも課せられる二重課税の状態となっており、批判されることも少なくありません。財務省によれば、2021年第3四半期におけるガソリンの税負担率は44.9%にも及んでおり、ガソリン価格の4割以上が税金という結果になりました。

もっとも、ガソリンの税負担率は日本が突出して高いわけではありません。OECD加盟35カ国における税負担率の平均は50.9%で、日本は平均を下回りました。ガソリン価格には、世界的に多くの税金が課せられているようです。

【OECD加盟35カ国におけるガソリン税負担率の低さランキング(2021年第3四半期)】
1.メキシコ:13.8%
2.アメリカ:16.2%
3.トルコ:26.0%
4.カナダ:31.7%
5.オーストラリア:34.6%
6.チリ:42.2%
7.日本:44.9%
(参考)35カ国の平均:50.9%

出所:財務省 自動車関係諸税・エネルギー関係諸税に関する資料

ガソリンを25円安くする「トリガー条項」とは

ガソリンの税金については「トリガー条項」がよく話題に上ります。ガソリン価格が160円を3カ月連続して超えた際、上乗せされたガソリン税を停止させる仕組みです。トリガー条項は、民主党政権時の2010年度税制改正で盛り込まれました。

現在、1リットルあたりのガソリン税は「租税特別措置法」によって本来の税率より25.1円分上乗せされています。つまり、トリガー条項が発動すればガソリン価格が1リットルあたり25円ほど安くなることが期待できるのです。

【1リットルあたりのガソリン税】

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出所:財務省 自動車関係諸税・エネルギー関係諸税に関する資料

しかし、トリガー条項は発動の目途が立っていません。東日本大震災の発生を受けて成立した「震災特例法」により、トリガー条項が凍結されているためです。

【租税特別措置法第88条の8「揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例」(一部抜粋)】
……揮発油税及び地方揮発油税の税額は……当分の間、揮発油一キロリットルにつき、揮発油税にあつては四万八千六百円の税率により計算した金額とし、地方揮発油税にあつては五千二百円の税率により計算した金額とする。

【租税特別措置法第89条「揮発油価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例規定の適用停止」(一部抜粋)】
前条の規定の適用がある場合において、……連続する三月における各月の揮発油の平均小売価格がいずれも一リットルにつき百六十円を超えることとなつたときは、……揮発油税及び地方揮発油税については、同条の規定の適用を停止する。

【震災特例法第44条「揮発油価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例規定の適用停止措置の停止」(抜粋)】
租税特別措置法第八十九条の規定は、東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し別に法律で定める日までの間、その適用を停止する。

出所:e-Gov法令検索 租税特別措置法、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律より

トリガー条項については昨年2月、岸田首相が凍結解除に言及したことから注目を集めました。しかし、重油や灯油が対象に含まれないこと、ガソリンスタンドの負担が大きいことなどが問題視され、トリガー条項の凍結解除には至っていません。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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