やっぱりヤバすぎるトランプの「コロナデマ拡散力」...コーネル大の調査が示したこと

やっぱりヤバすぎるトランプの「コロナデマ拡散力」...コーネル大の調査が示したこと

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2020/10/17
No image

本当にコロナにかかったの?

「新型コロナウイルスの致死率はインフルエンザよりはるかに低い」

新型コロナウイルス治療のため3泊のスピード入院をしたトランプ氏は、退院後、誰でも頭を傾げそうな、こんなツイートをした。ツイッター側はすぐにこの発言は偽情報であると認定、ツイートは削除された。

また、ホワイトハウスに帰還後、バルコニーから支持者を見下ろしながら演説を行おこなったトランプ氏は「体調は非常に良い」と発言し、実際にその姿は見るからに元気そのもの。

No image

〔PHOTO〕Gettyimages

フロリダ州で行われた選挙集会でもエネルギッシュなトランプ節を全開にした。

そんな姿を見ていると、ドキュメンタリー映画監督のマイケル・ムーア氏が自身のフェイスブックページで指摘した「トランプ氏の感染はフェイクである可能性がある」とする「陰謀論」も、にわかに真実味を帯びてくる。

ムーア氏は、劣勢のトランプ氏が同情票を集めるために、感染を偽っているのではないかと考えているのだ。

実際、トランプ氏は不動産王時代、マーケティングのために偽名を使うことで知られていた。

「トランプ氏はジョン・バロンやジョン・ミラーといった偽名を使って、ニューヨークの新聞記者に電話して“トランプがスタジオ54に、セクシーなモデルやセレブを連れて現れるぞ”と垂れ込み、取材に来させていたのです。メディアに対して自らそんなマーケティングを仕掛け、ゴージャズなライフスタイルを送っている様子を報じさせました。

そうすれば、それを見た消費者は自分のようなゴージャスなライフスタイルを送りたくなる、そして、自分が開発したゴルフコースやホテル、マンションはたくさんの客や居住者を獲得できると計算したのです」

とワシントン・ポスト紙のシニアエディターで、『トランプ』を執筆したマーク・フィッシャー氏は筆者に語った。

トランプは偽情報の牽引者

このほかにも様々な「フェイク」を利用してきたトランプ氏に関して、10月1日、コーネル大学のコーネル・アライアンス・フォー・サイエンス(Cornell Alliance for Science)の研究チームが、興味深い調査結果を発表した。

研究チームが導き出した結論はこうだ。

「トランプ氏が世界最大の新型コロナウイルスに関する偽情報(インフォデミック)の牽引者である」

研究チームは、2020年1月1日から5月26日の間に、世界中のメディアで発信された新型コロナウイルスに関する3800万本の英語の記事(従来型メディアとオンラインメディアの両方)を分析、その結果、2.9%に当たる110万本以上の記事が偽情報を掲載していたことが明らかになった。そして、偽情報を掲載した記事の37.9%に当たる42万3921本もの記事に、トランプ氏に関する記述が含まれていることがわかったのである。

No image

〔PHOTO〕iStock

様々なトピックでデマを拡散

研究チームは偽情報のなかでも、とりわけ注目すべきトピックスを11個あげているが、確かにトランプ発言に由来する偽情報が目立つ。トップ5を紹介してみる。

1.奇跡の治療法

最大の偽情報と指摘されたのは、4月に、トランプ氏が新型コロナウイルスの治療法として言及した「消毒液の注射を打てば治る」という“奇跡の治療法”。このジャンルの偽情報を掲載した記事の総数は29万5351本と、様々な偽情報のジャンルのなかでも最多だった。

“奇跡の治療法”に対して医療関係者から批判の声があがったため、トランプ氏は自身の発言は皮肉から出たものだと苦しい弁明をした。しかし、消毒液発言をした時のトランプ氏の様子が真剣そのものだったのは、誰の目から見ても明らかだった。

2.「闇の政府」の存在

“奇跡の治療法”に次いで多いトランプ氏絡みの偽情報が、パンデミックの背後にはディープ・ステイト(闇の政府)が存在するという陰謀論である。

トランプ氏は3月に行われた新型コロナ対策に関する記者会見で、米国務省が「闇の政府」だと冗談を飛ばした。記者に対して、こうきいた。

「ポンペオ国務長官は非常に忙しいから、彼に今質問があるなら、質問してくれる? 彼には、ステイト・デパートメント(国務省)に戻ってほしいんだよ、いわゆる、ディープ・ステイト・デパートメントにね。そうだよね、マイク」

この発言の背景には、トランプ氏が政権内に自身の失墜を企んでいる人々がいるのではないかと疑心暗鬼になっている状況がある。例えば、ロシア疑惑が問題となっていた2018年5月、トランプ氏は、政権内には、同氏の大統領職を妨害しようとしている“けしからんディープ・ステイト”があるとツイート、それに対し、ポンペオ氏は「国務省にはディープ・ステイトは存在しない」と否定していた。

No image

ポンペオ国務長官〔PHOTO〕Gettyimages

また、ツイッターで、ワクチンや治療薬の承認を早急に進めない米食品医薬品局(FDA)がトランプ陣営の選挙戦を妨害している「闇の政府」かもしれないと憶測し、以下のように不満を述べた。

「ディープ・ステイトが誰だか不明だが、FDAの誰かが、製薬会社がワクチンや治療薬をテストするために人を集めることを非常に難しくしている。彼らは(ワクチンや治療薬の承認に対する)回答を(大統領選挙の投票日の)11月3日以降に遅らせたいと考えている」

3. 民主党によるでっち上げ

新型コロナウイルスはトランプ氏の弾劾裁判が行われていた今年初めに登場したことから、民主党がトランプ氏を失墜させるためにでっち上げたものだという訴え。トランプ氏の息子エリックがこの陰謀論を提唱した。

4. 武漢ウイルス研究所起源説

武漢ウイルス研究所は秘密の生物兵器を開発している施設で、新型コロナウイルスはそこで意図的に生み出されたか、事故により放出されたという説。トランプ氏は研究所が起源であることを示す証拠を見たと言及した。米国立エネルギー感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ博士をはじめ、多くの科学者がこの説を否定している。

5. ビル・ゲイツの陰謀

ビル・ゲイツ氏が新型コロナウイルスのワクチンを利用して、人々の行動を監視したりコントロールしたりするためのマイクロチップを埋め込こもうとしているとする陰謀論。トランプ氏はゲイツ氏陰謀論についてはコメントしていないが、Yahoo News/YouGovの世論調査では、44%の共和党支持者がこの陰謀論を信じていると答えている。

No image

拡大画像表示

研究チームが取り上げた偽情報のジャンル。メディアへの登場頻度の高いものから順に並んでいる(前出のコーネル大学の調査結果より引用)

ファクトチェックが行われていない

注目すべきは、トランプ発言に由来する偽情報を掲載している記事の数は、ワクチン反対派や5G反対派、過激派などの草の根の市民団体や運動体が拡散した偽情報や陰謀論を掲載している記事の数より、はるかに多かったということだ。

トランプ氏はまさに“偽情報拡散器”だったのだ。

また、多くのメディアが、情報が本当かどうか確認していないことも明らかになった。偽情報かどうかファクト・チェックを行ったメディアは16%だけだったのである。つまり、たくさんの情報が真実かどうか確かめられることなく、偽情報として視聴者に垂れ流されている状況なのだ。

そんな状況に、研究を指揮したサラ・イヴァネガ氏は頭を抱えている。

「偽情報がパンデミックとの闘いに与える悪影響をWHOが非常に懸念していることから、偽情報について研究しました。非科学的な偽情報を信じた人々は公式のガイダンスには注意を向けなくなるため、感染が拡大するリスクがあります。南アフリカでは、HIVやAIDSに関する偽情報のため、推定30万人が亡くなりました。偽情報というインフォデミックと闘う努力が必要です」

先のムーア監督は「トランプ氏については、疑いを持つ必要がある」と主張しているが、大統領選を目前にしたインフォデミックとの闘いにおいては、まず、“世界最大の偽情報拡散器”であることが判明したトランプ氏の発言を疑うことから始める必要がありそうだ。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加