庭づくりのキーワード「半日陰」ってどんな感じ? 植物に必要な光の量とは

庭づくりのキーワード「半日陰」ってどんな感じ? 植物に必要な光の量とは

  • GardenStory
  • 更新日:2022/06/28
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カタログや図鑑などに記載のある「半日陰」や「明るい日陰」。植物の生育に適した日照状態を示す用語ですが、どんな明るさか分かりますか? うまく育つか否か、その大きな要因となる明るさは、植物によってお好み加減がさまざま。明るさを数値で表すことのできる「照度計」を用いて、庭や部屋の明るさを調べてみました。

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屋外の日向と日陰の明るさの違い

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植物はサンサンと降り注ぐ太陽が好きな種類もあれば、木漏れ日程度の光を好むものもあり、光のお好み加減はさまざま。適した日照の場所で育てることが、植物を上手に育てるためのコツですが、改めて「日向」とはどのような場所を指すのか、考えてみました。園芸的には日の光を遮るものが何もなく、午前から午後までずっと直射日光が当たっている場所のことをいいます。日向は誰でもイメージしやすいでしょうが、一方、「半日陰」や「明るい日陰」は人によって意外と解釈がまちまちです。一般的に半日陰とは直射日光の遮光率1/3〜1/2とされていますが、どの程度の明るさなのか、まずは最初に屋外の直射日光を照度計を用いて測ってみました。照度計は明るさを数値で表すことのできる計器で、今回はlux(ルクス)という単位で示します。

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7月の晴天の屋外の直射日光を測ってみました。

午前10〜11時の直射日光/80,400 lux

この半分から1/3、約40,000〜27,000 luxの場所が「半日陰」ということになります。

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半日陰を求めて林へ移動しました。ここは広葉樹の林で木漏れ日がさしており、見た目では「半日陰」、「明るい日陰」かなという感じがしました。しかし、計測してみると…

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広葉樹の林/1,788 lux

数値的には「半日陰」よりはるかに照度が低く、完全な「日陰」といえそうです。確かにあまり林床に咲いている植物はなく、「やや半日陰」で育つとされるスミレの群生は、もっと日のさす明るい「林の縁」にありました。

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さらに、常緑針葉樹のエリアはもっと暗そうに見えたので、こちらの林でも計測しました。

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常緑針葉樹の林/464.2 lux

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広葉樹の林を見上げると、明るい緑。

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常緑針葉樹の林を見上げると、濃い緑。

今回の計測では屋外の直射日光と常緑針葉樹林の日陰の場所では、照度に173倍の差がありました。また、広葉樹の林と針葉樹の林とでは4倍近くの差がありました。同じ林の中とはいっても、結構明るさに違いがあることが分かります。

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さて、「半日陰」とはどのような場所なのか。なかなか直射日光の遮光率1/3〜1/2という場所が見つかりませんでしたが、太陽が薄雲に隠れた時の花壇の照度を測ってみると、27,800 lux。直射日光の約1/3の遮光率です。「半日陰」とは「日陰」という言葉のイメージから想像する以上に、明るい場所であると感じられました。

「半日陰」の解釈

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遮光率から考えると、今回の調査ではぴったりと数値に当てはまる場所を探すのはとても難しいことでした。「半日陰」が直射日光の遮光率1/3〜1/2という定義は、一日中直射日光が当たる日向を「遮光ネット」などを用いて、人工的に日照量をコントロールする際の考え方のようです。「遮光ネット」は、山野草など直射日光に弱い植物を、日向の庭で育てるときなどに用いるガーデニングアイテムの一つです。

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遮光ネットは、遮光率40%、遮光率50%などが選べる。写真は、遮光率55%の遮光ネット。

「遮光ネット」などの人工的なものを用いず、庭の中に「半日陰」の場所を探す時は、直射日光が数時間当たり、その後、日陰に入る場所と捉えるのがluxで考えるより「半日陰」の解釈として妥当です。上の写真のようなホスタやヒューケラ、アスチルベ、クリスマスローズなどは、そうした環境を好む植物です。

一方、夏野菜は、トマトでは70,000 lux、ナスは40,000lux、キュウリは55,000luxが理想的とされ、強い直射日光が必要です。

部屋の中の日向と日陰の明るさの違い

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次に室内の明るさを調べてみました。上の写真は東南向きの窓辺。直射日光と比較すると、約1/9の照度。屋内は明るく見えても、戸外の日向の光量とは比べ物になりません。

東南向きの窓辺/8,547 lux

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しばしば観葉植物の置き場所で、「レースのカーテン越しの光」という記述があるので、白い薄手のカーテンを閉めてみると、数値はかなり下がりました。広葉樹の林と近い数値です。

カーテンを引いた東南向きの窓辺/1,263 lux

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北西の窓辺/994.2 lux

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北側に小窓があるキッチン/64 lux

観葉植物の耐陰性

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Photo/Photographee.eu/Shutterstock.com

観葉植物は室内用の植物だと思われる方も少なくないかもしれませんが、自生地は当然、屋外。熱帯地方のジャングルなどで育っており、フィカスやパキラ、ベンジャミン、ガジュマルといった代表的な種類は日光をサンサンと浴びて育っています。しかし、日陰でも生育するポテンシャル、つまり耐陰性があるためインドアグリーンとして楽しまれています。主要な観葉植物の最低生育必要照度は1,000 luxが目安とされ、今回の測定ではキッチン以外は条件を満たしています。窓辺なら枯らさずに育てることができますが、この値はあくまでも枯れないために必要な照度なので、本来のイキイキとした緑に育てるためには、より明るい場所がよいでしょう。

また、インドアフラワーの代表のコチョウランは10,000〜30,000 luxの照度が必要ですので、家の中なら明るい窓辺に置き、夏は直射日光に気をつけましょう。

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日照を好むパキラ。Photo/Michelle Lee Photography/Shutterstock.com

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自生地の日陰で着生し生育するビカクシダ。Photo/superbank stock/Shutterstock.com

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耐陰性に優れているポトス。Photo/Lapis2380/Shutterstock.com

一方、近年人気のビカクシダなどのシダ植物の多くは樹木の木陰で育っているため、必要照度は500〜1,000lux。さらに耐陰性のあるポトスやドラセナなどは、400luxが必要照度ですから、窓から離れた室内で、置き場所をあまり選ばず楽しめます。

適正な日照は植物を健全に育てるための第一歩です。観葉植物を育てる場合は部屋の明るさを測って確認してみると、失敗が少ないでしょう。また、樹木や隣家により西日が遮られるとどのくらいの照度か、落葉樹が葉を茂らせている季節と、落葉した冬ではどのくらいの差があるのかなど、自分の庭の環境下での照度を知ると、植物の育て方に迷いがなくなります。照度計は1,000円代から販売されているので、一つあると便利かもしれません。

また、屋外のガーデニングでは照度計に頼らずとも、その植物の自生地の環境を調べたり、ときには山野へこちらから足を運び、植物の故郷の環境を体験してくるとよいでしょう。意外に明るい場所であったり、湿度があったり、乾燥していたりと、いろいろな発見ができますよ。

【ご紹介した照度の数値目安のまとめ】

屋外(7月)

晴天の屋外の直射日光
午前10〜11時              80,400 lux

広葉樹の林         1,788 lux

常緑針葉樹の林       464.2 lux

太陽が薄雲に隠れた時の照度 27,800 lux

夏野菜に必要な照度

トマト   70,000 lux

ナス    40,000lux

キュウリ  55,000lux

室内の一例

東南向きの窓辺         8,547 lux

カーテンを引いた東南向きの窓辺 1,263 lux

北西の窓辺           994.2 lux

北側に小窓があるキッチン    64 lux

観葉植物の最低生育必要照度  1,000 lux

コチョウラン                10,000〜30,000 lux

ビカクシダなど             500〜1,000lux

ポトスやドラセナなど     400 lux

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Credit

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写真・文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

参考/http://eco-gnw.com/pic/technology/eco-green06.pdf
https://www.iwasaki.co.jp/optics/plant/hortilux/04.html

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