タトゥーアーティストになる前に知っておくべき15の心構え

タトゥーアーティストになる前に知っておくべき15の心構え

  • コスモポリタン
  • 更新日:2020/11/24
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自らのアイデンティティを示すツールとして、アートとして、時にファッションとして、タトゥーを取り入れる人が増えている昨今。中には、タトゥーの持つ芸術性に惹かれ、「タトゥーアーティストになりたい!」と思う人もいるはず。

でも、どこから始めれば良いのか、そして必要なスキルや心構えは…? そんな素朴な疑問に応えるべく、引退したタトゥーアーティストのメラニー・ニード氏と、タトゥーパーラーの共同経営者兼タトゥーアーティストのローラ・マルティネス氏が、この業界に入る前に知っておくべき15の心構えを教えてくれました。

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【INDEX】

絵が上手=タトゥーが上手、ではない

学校に行くことは必須ではない

始める前に貯金をしておくこと

設備に莫大な先行投資が必要

たくさんお金を稼げる保証はない

タトゥーは生き物

タトゥーアーティストはセラピスト

顧客との関係が深まるカスタムデザイン

時にはミスをすることも

顧客に指摘する勇気を持つ

タトゥーが自信に繋がることもある

集中力を養うことの重要性

タトゥーアーティストは体力仕事

完璧な仕事はない

楽しいけれど、ハードな仕事だと心得る

絵が上手=タトゥーが上手とは限らない

「紙に何かを描くことと、かぼちゃを彫ることの違いをイメージしてみてください」と、ニード氏は説明します。

絵を描く天性の才能があることは確かに役立ちますが、自分が描けるものと、肌に彫るものは違うということを理解するには、長い時間がかかるそう。

タトゥーは繰り返し経験を積むことで上達していくもの。だから最初は、シンプルなデザインから始めることが重要なのだそうです。

学校に行くことは必須ではない

「タトゥーアーティストになるために特別な教育は必要ありません。これはタトゥーの世界で、私が好きな点の1つです。我々アーティストのバックグラウンドは非常にさまざまです」と、マルティネス氏は説明します。

ただし、衛生管理や殺菌方法、血液を媒介とする感染症の知識、作業における皮膚への損傷を防ぐ方法などについては、必ずトレーニングを受ける必要があるそう。

マルティネス氏は、授業料がかかるタトゥースクールを作った人も知っていますが、「これらの学校は、私たちのコミュニティ内ではあまりお奨めしていません。もし誰かから学びたいのなら、忍耐強く理想のタトゥーショップと、メンター(師匠)を見つけることをお奨めします」とのこと。

タトゥーアーティストがどのような仕事なのかを本当に理解したいのであれば、「実際にタトゥーショップで、タトゥーアーティストやクライアントに囲まれて学ぶのに勝る方法はありません」とアドバイスしています。

始める前に貯金をしておくこと

タトゥーは練習なくして上手くはならないし、実際に肌に彫らないと練習自体ができないもの。一部の人はグレープフルーツを使って練習することもあるそうですが、神経があり、発汗し、呼吸をする、傷つきやすい人間の肌とは比べものにならないそう。

そのためほとんどのアーティストは、基本的に見習いとして、無給のトレーニングでキャリアをスタートします。ニード氏のお店では、見習いは非常にシンプルなデザインのみに徹し、最初の1年間は無料でタトゥーを施術するという方式を取っていたそう。ニード氏自身も初めの1~2年は、大幅な割引料金で施術を行っていたとか。なぜなら他のアーティストに比べて作業が遅く、スキルも足りなかったからです。

一方、マルティネス氏も「メンターが私に教えてくれるのと引き換えに店を手伝っていたので(受付や、床とバスルームの掃除、作業台の設置など)、私の見習い期間は金銭的には無給でした」と語っています。しかし、それでも生活費は支払う必要があったので、バーの仕事を掛け持ちしていたのだとか。

「私は常に働いていました! 店の仕事とバーの仕事をし、夜はタトゥーのデザインを描く…自分の自由時間はすべてあきらめなければなりませんでした。でも、それだけの価値があるんです! いつかタトゥーアーティストになる――その強い思いが私のモチベーションでした。同じことをもう一度やれと言われたら、私は迷わずやるでしょう」

設備に莫大な初期投資が必要なことを知っておく

ニード氏は、少なくとも2台のタトゥーマシンと、スターターインクセット、タトゥーマシンに針を固定するためのチューブに加え、針、手袋、輪ゴム、タトゥー転写紙、スキンマーカーなどの使い捨て用品を入手することを勧めています。

アメリカだと、初期費用は4,000ドル(約43万円)にも上る可能性があるとのこと。

たくさんお金を稼げる保証はない

タトゥーアーティストとしてお金を稼ぎ始めた後も、報酬はそれほど高くはないそう。アメリカにおけるタトゥーアーティストの平均年収は約3万5,000ドル(380万円程度)なのだとか。さらに材料費などを支払わなければならないため、タトゥーアーティストを目指すのならば、「お金のため」と考えない姿勢が必要と言えそうです。

もちろん、報酬はアーティストによって異なります。

「あなた自身のユニークなスタイルを築き上げるには、膨大な努力と忍耐が必要です。また、高品質なタトゥーは、施術時に見栄えがするだけでなく、時間が経過し、皮膚が回復した後も美しくなければいけません」

一度固定の顧客リストを構築すれば十分な報酬を得られるそうですが、仕事はこれだけでは終わりません。

「施術をしていないときでも、アーティストは絶えず新しいインスピレーションやさまざまなデザインを見つけ、素敵な写真をSNSに投稿したり、ポートフォリオを作ったり、顧客のメールに答えたりする業務が発生します。または、これらの業務をお願いできる、タトゥーを理解している人を探さなければなりません。私たちが仕事から完全に離れることは、決して無いんです」

タトゥーは生き物で、皮膚と共に変化する

皮膚はしわが寄ったり、伸びたり、日焼けや傷跡ができることもあります。キャンバスに絵を描けば、何百年もそれを保存できますが、タトゥーは別。インクが定着し、皮膚が治癒するまでのたった2週間の間でさえ、見た目が大きく変わるそう。

「時に人々はタトゥーのケアを怠り、それらを台無しにしてしまうことがあります。誰かがあなたの描いた絵を買って、それを雨の中に置き去りにしたとイメージしてみてください。私たちにとっては、それと同じようなことです」と、ニード氏は警告します。

3週間日光を浴びない、低刺激性の製品のみを使用するなど、アフターケアについて顧客がしっかりルールを守っている場合でさえ、問題が発生するケースも。それが、人間の皮膚を扱うという仕事の難しさなのです。

タトゥーアーティストは、セラピストにも似ている

時に人々は、最も苦しい瞬間の記憶をアートに変換してほしいと依頼してくるそう。

ニード氏はイラク戦争中、休暇のために帰国した軍の現役兵士にタトゥーを施術した経験が。彼はひどい傷を負っており、もう以前の自分には戻れないのだということを受け入れるため、所属する部隊の部隊章を彫ることを望んだそうです。

施術時に、こうした類の思い出話をするクライアントは時折いるそうで、そのプロセスには本質的に心を癒す何かがある、とニード氏は信じています。たとえ数時間でも、労わられ、関心を向けられることで気分がマシになるのかもしれません。

とはいえ、タトゥーアーティストが感情を仕事場に持ち込むことはできません。たとえストレスの多い朝を過ごしても、それらの感情はお店のドアの外に置いて、施術の時はクライアントに全身全霊で向き合う――その姿勢を学ぶ必要があるそうです。

カスタムデザインを手がけると、顧客との関係も深まる

タトゥーパーラーには2つの伝統的なモデルがあり、その2つの間で組み合わせが細分化しているそう。

1つめのモデルは、主にクライアントがその場でタトゥーをオーダーできるウォークインショップ。クライアントがスタジオで、事前に用意されたデザイン画の中から気に入ったものを選択するスタイルです。このモデルの場合、施術後は二度と同じクライアントに会わないケースが多いそう。

2つ目は、アーティストがクライアントと事前に協議して、オリジナルのデザインを作るオールカスタムショップ。このモデルは、タトゥーのデザインを描いたり協議したりして、完成までに数カ月かかることもあるのだとか。カスタムタトゥーを作成するプロセスでは、クライアントとの間に深い関係が構築されるため、非常にやりがいがあるといいます。

同時に、ウォークインタイプのクライアントが来ると、息抜きになることもあるそう。なぜならウォークインタイプのクライアントは、長期間タトゥーを作成することに労力をつぎ込む必要がなく、ただ描くだけで済むからです。

時にはミスをすることも

キャリアの初期においては、線が曲がったように見えたり、ムラがあるように感じることが多々あるそうです。また、たとえ上達しても、失敗に慣れることは決してないのだとか。

文字を描くタトゥーでは、アーティストとクライアントでトリプルチェックしないと、スペルエラーが発生することも。ニード氏の知人には、クライアントにスーパーマンのロゴを施術した人がいたのですが、タトゥーを入れ終わったとき、それが逆さだったことに気づいたそうです。そのようなことが起きた場合、元に戻すことはできません。ひたすら謝罪し、無料で上書きを申し出るしかないのです。

「タトゥーは永遠に誰かの体に残るものなので、自分の過ちを受け入れて向き合う必要があります。私も新人の頃、同じような悪夢を経験したことがありますよ。でも、恐怖とエゴを脇に置いて、過ちから学び、二度と同じことを起こさないように一生懸命練習すれば、あなたは優れたタトゥーアーティストになれます」

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クライアントの望むデザインがおかしければ、それを指摘する

クライアントは、自分の望むデザインがタトゥーとして素晴らしいか否かを知る術を持ち合わせておらず、こういったセンスは何年もタトゥーを彫った経験からしか学べないそう。

そのためニード氏は、クライアントが望むタトゥーに関する指導やフィードバックを提供するのも、タトゥーアーティストの仕事だと言います。もちろん、一部のクライアントは自分のアイデアにこだわるので、彼らのコンセプトがタトゥーとして美しく仕上がったときのイメージが沸かない場合は、拒否する勇気も必要とのこと。

ニード氏自身も、刺激的すぎたり、センスが悪いと感じるタトゥーは引き受けていないそうです。

タトゥーが自信に繋がることもある

ニード氏の経験上、女性がヒップやお腹、または自分があまり好きではない体の部位にタトゥーを入れようとする場合、「このタトゥーを入れるためには、体重を減らさなきゃ」と考える傾向があるのだとか。

しかし一度タトゥーを入れると、彼女たちは突然、その部位をとても誇りに思い始めるそう。誰かが自分の体について、気持ちを前向きに変えるための手助けができるのは、素晴らしいことだとニード氏は語っています。

禅のような集中力を養う必要がある

何時間にもわたって大きなタトゥーに取り組んでいると、残りのインクの量を見たとき、それが無限にあるように感じることが。

そんな時にパニックに陥らないよう、作業している数ミリの皮膚に集中する力をつける必要があるそうです。「今、ここ」に集中するための、柔軟な心の筋肉を養っておきましょう。

タトゥーアーティストは体力仕事

身をかがめた状態で座り、1日10時間近くも同じような姿勢で過ごすタトゥーアーティストたち。彼らの多くが、腰痛に悩まされているそう。ニード氏も最終的に腕の腱炎を発症し、フルタイムで施術ができないほど悪化してしまったのだとか。

何千ものタトゥーを手がけても、完璧はない

自分に厳しい人の場合、タトゥーアーティストはチャレンジングな仕事と言えるでしょう。ニード氏は、自分のお気に入りのデザインでさえ「もっとこうすれば良かった」と思うことがあると言います。それでも、クライアントが鏡に前に立ち、タトゥーを初めて目にする瞬間を見ると、大きな満足感を覚えるのだとか。

クライアントは細部を批判したりせず、ただ自分のアイデアが、生涯身につけていくアートに変わったことに感激してくれるそうです。

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タトゥーアーティストは楽しくもハードな仕事

「モチベーションを高く持つこと。たくさん描くこと。誰かにタトゥーを入れることの重大さを理解すること」。これらは、マルティネス氏にとってマントラのような言葉なのだとか。また彼女によれば、顧客の健康への影響について考慮すべき点も多々あるといいます。

「タトゥーアーティストは確かに美しい職業ですが、楽しいだけではないことを理解しておくことが大切です。私たちは誰かの肌に、生涯を共にするインクを入れるのです。この責任は重大であり、医学的側面を頭に入れておくことも重要です。施術はリスクを伴うため、極めて慎重に行わなければなりません。大量の出血や、交差汚染、感染症、肌トラブル、健康上の問題…施術中には多くのことが起こり得るので、これらに十分に備えておく必要があります」

※この翻訳は、抄訳です。
Translation:TOMOKO NOURRY
COSMOPOLITAN US

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