BTS会社社長、韓国8位の株式富豪に...「共通点はオタクなこと」J.Y.Parkが語った素顔

BTS会社社長、韓国8位の株式富豪に...「共通点はオタクなこと」J.Y.Parkが語った素顔

  • 文春オンライン
  • 更新日:2020/10/16

上場前から大騒ぎだった。

【画像】BTS会社社長はソウル大卒のエリート

10月15日、「防弾少年団(BTS)」の所属事務所「Big Hit Entertainment(BHエンタテインメント、以下BH社)」がKOSPI(韓国取引所)に上場した。初値は公募価格の2.6倍をつけ、時価総額は8兆8169億ウォン(約8800億円同日15時時点)。韓国の3大音楽事務所の時価総額を合わせたものをはるかに超え、韓国最大手の音楽事務所に躍り出た。

創業者、パン・シヒョクCEO(最高経営責任者)も一気に株式富豪へひとっ飛び。エンターテインメント界最高の株式富豪となり、全体でも現代自動車グループ副会長を抑えて8位となった。ちなみに不動の1位はサムスン電子のイ・ゴンヒ会長だ。

今さら言うまでもないが、 BH社をここまで大きくしたのは、世界で人気のアーティスト「BTS」だ。

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グラミー賞授賞式(2019)でのBTS ©AFLO

入隊延期が認められるよう兵役法改正も?

この8月に英語でリリースした新曲「Dynamite」では韓国人アーティストとして初めて米ビルボードチャートHOT100で1位を記録し、最近、配信したオンラインライブでは1億1400万回の応援クリックを集めるなど話題は尽きない。

韓国では、BTSはこの10年間で60兆ウォン(約5兆5000億円)、今年だけで6兆ウォン(約5500億円)の経済効果をもたらしたと伝えられている。

韓国では例えばオリンピックで金メダルを獲得するなど、スポーツで功績を残した選手は兵役を免除されるが、「BTS」もその大衆文化的功績から免除にすべしという発言が与党議員から出て、兵役に敏感な韓国では侃々諤々となった。その後、大衆文化・芸術的功績が認められる者には入隊延期が認められるよう兵役法改正が進められていることが発表され、もはや、いちアーティストを超えた存在になっている。

韓国の3大芸能事務所は、「2PM」や「TWICE」を生み出した「JYPエンタテインメント(JYP社)」、「BoA」や「東方神起」、「少女時代」を輩出した「SMエンタテインメント(SM社)」、「BIGBANG」、「BLACKPINK」が所属する「YGエンタテインメント(YG社)」といわれ、世界で活躍するK-POPアーティストのほとんどはこの3大事務所から生まれてきた。

JYP社は、公開オーディション「虹プロ(Nizi Project)」で一気に日本での知名度を上げたJ.Y.Parkことパク・ジニョンJYP社CCO(クリエイティブ総括責任者)が創業した事務所で、パンBH社CEOは新人作曲家として入社した同社の初期メンバーだ。JYP社はマネジャーを含め3人でスタートしたという。パクCCOは、パンBH社CEOについて自著でこんな風に語っている。

名門・ソウル大卒のナード(オタク)

「シヒョクと私は好みがとても違ったが、ふたりを結びつけた共通点があった。ふたりともNerd(オタク。本では、括弧書きで「つまらないガリ勉」としている)なことだった。普通ならイライラするような論理的な分析や推論を何時間もかけてすることが嫌ではなく、感情や考えを論理に置き換えて話すという面が似ていた」(パク・ジニョン著『JYP 何のために生きていますか?』)

ソウル大学美学科卒のパンBH社CEOは「大学時代から音楽事務所などに出入りしていたと伝えられています」(韓国紙記者)。パンBH社CEOは2005年に独立し、BH社を設立している。

K-POPを取り巻く状況はこの10年でがらりと変わった。

韓国音楽産業の輸出額は2009年以降、右肩上がりでぐんぐんと増え続け、当時3100万ドル程度だったのが、2018年には約5億6420万ドルもの規模に膨れあがった。その消費先のおよそ6割は日本市場だ。

「BoA」の成功は韓国で海外進出のモデルケースに

日本で初めてK-POPアーティストとして広く人気を得たのは2001年に日本デビューした「BoA」だろう。この「BoA」の成功は韓国で海外進出のモデルケースとなったといわれている。「BoA」の後には、やはりSM社所属の5人組(当時)のボーイズグループ「東方神起」が日本デビューし、その後は「少女時代」などが続いて人気スターとなった。

「東方神起」が日本デビューした2005年秋、SM社のイ・スマン代表理事(当時)にインタビューした際、こんなことを語っていた。

「BoAはハリウッドで戦えるアーティストがコンセプトで、そのためにはアジア市場を狙えるグローバルな才能が必要だった。以前の失敗から(3人組のガールズグループ『S.E.S.』の日本進出失敗)現地の語学能力は必須と痛感して、(BoAには)歌、ダンス、日本語教育を徹底した。東方神起は第2ステージ(中国人メンバーを加入させる予定だと語っていた)。第3ステージは中国人の人材を育てること」

この時、「コンセプトや思いを正確に伝えるためには現地法人が必要」とも話しており、日本と中国に現地法人をそれぞれ設立した。その後、他の事務所もこれに追随している。

今年の話題は9人組の日本人ガールズグループ「NiziU」

そもそも韓流は、96年にSM社からデビューした5人組のボーイズグループ「H.O.T.」が90年代後半に中国で大ヒットしたことから始まった。「H.O.T.」は韓国で初めてアイドルという存在を知らしめ、音楽事務所がスターを作るシステムが生まれたとされている。

SM社がコスダック市場(新興市場)に上場したのは2000年。韓国の芸能事務所としては初めてのことで、当時、「日本のジャニーズ事務所とホリプロを合わせたような巨大なプロダクション」とも例えられた。

市場規模の小さい韓国にとって海外進出は必然だった。韓国のエンタメ界が自身のコンテンツが商品となると確信したのは、日本でヨン様ブームを起こしたドラマ『冬のソナタ』の成功だったといわれている。

時は流れ、今年、日本のエンタメ界の話題をさらったのは、パクCCOが総合プロデューサーとなり、誕生させた9人組の日本人ガールズグループ「NiziU」の登場だ。12月の正式デビューを前に6月にリリースした曲「Make you happy」が大ヒットとなったのは周知のとおり。

パクCCOは、「NiziU」を輩出した「虹プロ」と同じような公開オーディションを米国と日本で再び行い、米国人メンバーによるガールズグループと、日本人メンバーで構成されるボーイズグループを誕生させると発表している。

K-POP界では、外国人メンバーを入れた混成グループを第2ステージ、そして、現地化したグループを第3ステージとしており、ベトナムなどでも同じようなオーディションを行い、現地のアイドルグループを選出し始めている事務所もある。

日本の大衆文化は韓国で禁止されていたが...

さて、鳴り物入りでコスダックに上場したBH社も他社と同じように第2、第3ステージへ踏み込んでいる。

すでに世界に応募をかけた公開オーディションから7人組のボーイズグループが誕生しており、メンバーには日本人1人が入っている。また、「NiziU」と同じく日本人メンバーによる男女それぞれのアイドルグループのオーディションが日本ですでに行われたという。

かつて日本の大衆文化は韓国で禁止されていた。1998年から段階的に解禁されたが、解禁を巡って韓国はそれこそ蜂の巣をつついたような大騒ぎとなった。解禁は時期尚早とする意見の中には、「韓国の大衆文化が日本のそれに呑み込まれてしまう」というものがあった。

しかし、それから20年あまり。

広がっているのは、まったく異なる景色だ。

(菅野 朋子)

菅野 朋子

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