『Shadowverse』のアナログTCG化は成功するか? 2つの観点から可能性を探る

『Shadowverse』のアナログTCG化は成功するか? 2つの観点から可能性を探る

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  • 更新日:2022/01/15
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『Shadowverse EVOLVE(シャドウバース エボルヴ)』

2022年1月6日、ブシロードとCygamesは、『Shadowverse』のリアルカードゲーム化企画『Shadowverse EVOLVE(シャドウバース エボルヴ)』の概要を明らかにした。発表によると、同タイトルは企画・開発をCygamesが、製造・販売・運営をブシロードが行い、2022年4月より商品展開がスタートする予定だという。

【画像】日本国内の玩具市場規模及び15歳未満人口の推移に関するデータ(2001~2020年)

国内では、デジタルTCGの王道として君臨する『Shadowverse』。5年目の新たな展開は、成功を収めるだろうか。ジャンル内の勢力図、市場の動向から『Shadowverse EVOLVE』成功の可能性を探る。

・国内デジタルTCGの王道タイトル『Shadowverse』

『Shadowverse』は、Cygames開発・運営のデジタルTCG(トレーディングカードゲーム)だ。2016年、Android/iOS向けとしてローンチを迎えて以降、これまでにブラウザ版(DMM GAMES)、Steam版がリリースされている。おなじくCygames開発・運営の人気タイトル『進撃のバハムート』の世界観をベースとしており、ゲーム内には同作のイラストをモチーフにしたカードが多数登場する。競技性の高いジャンルに属するタイトルであることから、当初からeスポーツ化を念頭に置いて開発されており、先行体験会の会場には、東京・秋葉原にある同競技の専用施設『e-sports SQUARE』が選ばれた。そうした背景もあり、サービス開始直後から国内有数のeスポーツ大会・RAGEに正式種目として採用され、国内では現在に至るまで、主要な競技タイトルのひとつとして親しまれ続けている。直近の世界大会『SHADOWVERSE WORLD GRAND PRIX 2021』における優勝賞金は1億5,000万円。これは、国内における最高額だ(※)。2020年にはTVアニメ化・ゲーム化もされるなど、メディアミックスも加速。ローンチから5年以上を経て、国内のTCGシーンを牽引するまでに成長したタイトルが『Shadowverse』である。

※国内企業によるタイトルであることから、世界大会は例年、日本で開催されている。

・前例のない“デジタルTCGのアナログ化”

このようにデジタルTCGとして一定の地位を確立するに至った『Shadowverse』。満を持してのアナログ化には、どの程度成功の可能性が秘められているのだろうか。

近年、アナログとデジタルの境界が曖昧となりつつあるTCGのジャンルだが、これまで多く見られた融合のケースでは、「アナログ→デジタル」という方向性が一般的だった。たとえば国内では、同ジャンル浸透の立役者とも言える『遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム』(1999年発売開始)や、近年同ジャンルの話題を独占する『ポケモンカードゲーム』(1996年発売開始)がそれぞれ、『遊戯王マスターデュエル』『Pokemon Trading Card Game Live』として、デジタル化への歩みを本格的に進めている。海外では、世界初のTCGとも言われる『Magic:The Gathering(マジック:ザ・ギャザリング)』(1993年発売開始)が、『Magic:The Gathering Arena』として、2019年9月にデジタル化を果たした。

一方、上記シリーズたちと比較すると、まだ歴史の浅いデジタルをルーツとするTCGからアナログへと融合した例は少ない。もちろんその背景には、「主に利便性の面で優れるデジタルから、体験重視のアナログに回帰する必要性がない」など、さまざまな理由があるだろうが、境界が曖昧となりつつあるTCGのジャンルにおいて、「デジタル→アナログ」のモデルケースがほぼ0に近いという状況は、特筆しておくべき点だろう。『Shadowverse』の開発にも影響を与えているであろう、デジタル発TCGの最初の成功例『Hearthstone(ハースストーン)』(2014年サービス開始)でさえ、アナログ化の噂は一切ない。こうした現状を踏まえると、『Shadowverse』のリアルカードゲーム化は、どちらに転ぶかわからない、先駆的な挑戦とも言えるのではないだろうか。

・拡大するTCG市場。『Shadowverse EVOLVE』が隆盛の起爆剤に

日本玩具協会が発表した「玩具市場規模調査」によると、2020年度の国内の玩具市場規模は、前年度比100.1%とほぼ横ばいでの成長だった。しかし、同市場のひとつの商品分野である「カードゲーム・トレーディングカード」に限れば、同107.9%と小さくない伸びを記録している。同分野より伸び率が大きかったのは、「ジクソーパズル(158.7%)」「ハイテク系トレンドトイ(124.9%)」「ゲーム(117.3%)」「雑貨(110.4%)」の4つ。これらはすべて、巣ごもり消費を受けての需要拡大であるとの分析だ。反面、「カードゲーム・トレーディングカード」は上記4つとは異なり、対面で遊ぶことを前提に購入される商品分野である。つまり、今後コロナ禍が収束へと進めば、同分野にはさらなる成長が見込めるはずだ。(参考:https://www.toys.or.jp/toukei_siryou_data.html)

この流れは何も国内だけに限ったことではない。アメリカの大手ECプラットフォーム運営企業・eBayが発表したデータによると、2020年の同国のトレーディングカードカテゴリーの成長率は前年比142%だった。TCGのジャンルを牽引してきた2つの国で、目立った市場拡大が進行している実態がある。

こうしたトレンドからは、『Shadowverse』リアルカードゲーム化の成功の道筋が見えてくる。ローンチから5年半。同タイトルはデジタルで培ったノウハウをアナログの舞台で生かせるか。隆盛の気配著しいTCGジャンルにおいて、『Shadowverse EVOLVE』は思わぬ台風の目となっていくかもしれない。(結木千尋)

結木千尋

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