児相の苦悩「経験5年以上」職員が増えない 若手育成、指導役足りず

児相の苦悩「経験5年以上」職員が増えない 若手育成、指導役足りず

  • 毎日新聞
  • 更新日:2022/01/15
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神奈川県庁=横浜市中区で2019年2月18日、山本明彦撮影

子どもの虐待に関する相談などを受け付ける児童相談所(児相)が、若手職員の育成に苦心している。神奈川県所管の児相では、児童福祉司の数は5年前に比べ倍増しているものの、5年以上勤務経験がある人は増えていない。増加する虐待件数に対応するには、職員の数だけではなく質も向上させる必要があるが、人材育成が大きな課題となっている。【高田奈実】

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2018年に東京都目黒区、19年に千葉県野田市でともに女児が虐待死した事件で児相の対応が問題視された。これらを契機に、国は児童福祉司の配置基準を人口3万人に対し1人に引き上げ、21年度中に約5260人体制にすることなどを対策として掲げた。また、経験の浅い職員を指導する「スーパーバイザー」は、約5人に1人の基準で配置するとしている。

こうした流れの中で、県所管の児相の児童福祉司は16年の70人から、21年4月時点で168人と倍以上に増えた。しかし、このうちスーパーバイザーの要件となる5年以上の経験があるのは、16年の35人から21年は36人とほぼ横ばいだ。全体に占める割合は50%から21%に下がっている。スーパーバイザーは10人から16人に増えたが、それでも10・5人に1人の計算となる。急激に人員を増やしたために指導役の配置が追いついていないのが現状だ。

県の中央児童相談所虐待対策支援課によると、指導する世代が少ないため若手のフォローを十分にできずに2~3年で異動を希望する職員も多いという。担当者は「5年くらいはやらないとさまざまなケースを経験できないのに、業務が過酷なため、一人前になる前に異動してしまうことが多い。以前はベテランと若手をペアで組ませ、現場を見て学ぶといったことができていたが、今は若手だけで対応することが少なくない」と説明する。

県は研修の日数を増やしたり、県のOBを再雇用したりして対応しているが、早急な解決にはつながらない。担当者は「指導する立場の人が必要だが、手が行き届いていない。若手育成の困難さを感じている」と話す。

毎日新聞

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