すべての人への追加接種「必要性は示されてない」 WHO専門家らが見解

すべての人への追加接種「必要性は示されてない」 WHO専門家らが見解

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2021/09/16
No image

新型コロナウイルスのワクチンのブースターショット(追加接種)が必要だとして実施計画を推進する動きは、しっかりとした科学的証拠に裏付けられたものではないとする意見論文が、英医学誌ランセットに掲載された

これまでに示されている研究結果からは、「ワクチンは感染力が強まった変異株のデルタ株に対しても、高い有効性を保っていることが示されている」という。そのため、現時点で入手可能な証拠は、「すべての人に追加接種が必要であることを表わすものではない」という。

論文はさらに、正当な科学的証拠がない中で追加接種の必要性に関するメッセージを発することは、「ワクチンに対する全般的な信頼感を損なうことにつながる」と指摘している。

世界保健機関(WHO)や米食品医薬品局(FDA)などの研究者からなるグループが発表したこの論文は、デルタ株に感染した場合に発症を防ぐ効果はやや低下しているものの、研究結果は一貫して、「重症化を防ぐことには強い防御力があることを示している」と主張。

接種後に免疫力が低下することを示す数値(抗体量の減少など)が公表されているが、それらは必ずしも、時間の経過とともにワクチンの効果が低下することを意味するわけではないと説明している。

筆頭著者であるWHOの研究者、アナマリア・エナオレストレポによると、全体的にみて、「ワクチン接種の主な目的である重症化を防ぐ効果」が大幅に低下していることを示す信頼に足る証拠はないという。

研究者らはさらに、mRNAワクチンの2回目の接種後に起こりやすくなるとされる心筋炎のリスクを例に挙げ、追加接種を行う時期が早すぎたり、回数が多すぎたりすれば、「重大な副反応」が起きることも考えうると述べている。

より多くの命を救えるはず
そのほか研究者らは、ワクチンの供給量が限られていることを指摘。まだ接種を受けていないより多くの人に使用すれば、より多くの命を救うことができると訴えている。「追加接種によって得られるメリットが何かあったとしても、それが未接種者を減らすことによってもたらされる利益を上回ることはない」という。

米国をはじめ、接種率の高い地域の一部は、大幅な感染者の増加に直面している。だが、研究者らは、「感染を拡大させているのはワクチン未接種の人たちであり、高い重症化リスクにさらされているのはこの人たちだ」と説明する。

接種を完了しても感染する「ブレイクスルー感染」が増えたとしても、それはワクチン接種を完了した人の割合がより大きくなり、その中で変化する人々の行動が要因であり、ワクチンの有効性がまったく低下しない場合でも、起こりうることだという。

論文はその他、裕福な国々は発注量を大幅に増やすことで(場合によっては、自国の全人口に必要な量の何倍ものワクチンを注文することで)ワクチンを買い占めており、リスクの低い人たちに接種を行っていると指摘。それによって、貧しい国々は最もリスクが高い人たちにさえ、接種することに苦労する状態になっていると批判している。

一方、研究者らは「現時点では追加接種を支持すべき証拠はない」としているものの、今後また新たな変異株が出現し、それがワクチンの効果を回避するものであった場合、または接種完了者の免疫力が時間の経過で低下していくことがより明確になった場合などには、ブースター接種が必要になる可能性があることを認めている。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加