ホンダ2代目フリード「6年目での一部改良」の全貌

ホンダ2代目フリード「6年目での一部改良」の全貌

  • 東洋経済オンライン
  • 更新日:2022/06/23
No image

特別仕様車「BLACK STYLE(ブラックスタイル)」(写真:本田技研工業)

トヨタ「シエンタ」とコンパクトミニバン市場を二分するホンダ「フリード」が、2022年6月23日に一部改良を実施した。

外観などデザイン上の変化は少ない地味な改良だが、このタイミングでの一部改良には大きな意味があると言える。なぜなら、フリードとして2代目にあたる現行型のデビューは2016年と古く、フルモデルチェンジを実施してもおかしくないタイミングだからだ。

No image

さらに今回の一部改良では、「BLACK STYLE(ブラックスタイル)」という追加モデルもある。このタイミングでの一部改良と追加モデルの設定は、この先、少なくとも1年はフルモデルチェンジを行わず、継続販売することを意味しているだろう。

ちなみに、フリードが改良を行うのはコンプリートモデルの「Modulo X」を除くと2019年10月以来だ。実はこの3年近くの間、一部改良はおろか、限定車や特別仕様車も発売していなかった。ライバルであるシエンタが毎年のように、改良やグレード追加などを行っているのとは対照的だ。

今回の一部改良では、何が行われたのだろうか。「マイナーチェンジ」ではなく「一部改良」とされたように変更点は少ないが、フリードの購入を検討している人にとってはうれしい変更といえるだろう。

人気のアイテムを標準装備に

基本的な装備は従来どおりで、新たに運転席/助手席シートヒーターと、親水/ヒーテッドドアミラー、フロントドア撥水ガラス、熱線入りフロントウインドウからなるコンフォートビューパッケージ、ロールサンシェードが標準装備に。

シート表皮が、撥水撥油加工が施された「FABTECT(ファブテクト)」という素材に変更されている。FABTECTは、2020年から「オデッセイ」や「ステップワゴン」に採用されてきた素材だ。また、ボディカラーが最新のホンダ車にあわせるように変更されている。

新色として設定されたのは3色で、「プレミアムクリスタルブルー・メタリック」は「シビック」などに採用済みのカラー、「フィヨルドミスト・パール」「トワイライトミストブラック・パール」は、新型ステップワゴンで登場したカラーだ。

<カラーラインナップ>
・プレミアムクリスタルブルー・メタリック(新色)
・フィヨルドミスト・パール(新色)
・トワイライトミストブラック・パール(新色)
・シルバーミストグリーン・メタリック
・プラチナホワイト・パール
・スーパープラチナグレー・メタリック
・クリスタルブラック・パール
・プレミアムクリスタルレッド・メタリック

特別仕様車として登場した「BLACK STYLE」は、その名のとおりエクステリアとインテリアにブラックのアクセントを採用した仕様で、ドアミラー、ドアハンドル、アルミホイール(15インチ)がブラック仕上げとなる。

シエンタ「Safety Edition Ⅱ」や、マツダが「CX-5」などに設定する「BLACK TONE EDITION」、三菱の「BLACK EDITION」などと同様の“流行りの仕様”だ。インテリアも、標準車がモカと呼ばれるブラウン基調となるのに対し、ブラックとなる。

もう1つ、レギュラーモデルとの大きな違いは、クロスオーバースタイルの「CROSSTAR(クロスター)」と同様のフロントグリルを採用したことだ。

No image

「CROSSTAR」のフロントマスク(写真:本田技研工業)

フリードは2019年のマイナーチェンジでグリルレス風のフロントマスクに変更され、好みの分かれるデザインとなっていた。今回の一部改良のプレスリリースでも、「CROSSTAR(クロスター)で好評なフロントグリル」とあるように、フロントグリルへの要望は高かったのだろう。いずれにしても、購入を検討する人にとってデザインの選択肢が増えたことになる。

エントリーを廃止し主力グレードに集約

プレスリリースで触れられていない点として、「B」グレードの廃止がある。両側電動スライドドアがつかず、LEDヘッドライトなどのオプション選択ができないエントリーグレードであったが、販売の主力は装備の充実した「G」グレードであり、廃止されて困る人はいないだろう。

それ以外のグレード構成は変わらず、GとCROSSTARがあり、それぞれにガソリンとハイブリッド、FFと4WDが用意される。乗車定員は、CROSSTARのみ6名、GとBLACK STYLEが6名と7名から選べる。

2列シート5人乗りの「フリード+」と福祉車両(サイドリフトアップシート車、助手席リフトアップシート車)も同様の一部改良が施されるが、コンプリートカーの「Modulo X」は従来どおりだ。

No image

「Modulo X」(写真:本田技研工業)

価格は、装備は充実したこともあって上昇しており、ガソリンG(FF/6人乗り)同士では従来型が216万400 円だったのに対し新型では227万5900円と11万5500円のアップとなっている。BLACK STYLEは、243万5400円からだ。

運転席/助手席シートヒーターやコンフォートビューパッケージの標準化とBグレードの廃止は、言ってみれば“人気グレードへの集約”である。選択肢が狭まったことは事実だが、購入検討者にとっては“最終的に選び出す仕様”に絞られたともいえ、ネガティブポイントにはならないだろう。GかCROSSTARかBLACK STYLEか、と装備で悩むことなくスタイリングで選べるようになって、シンプルになったといえる。

納期を味方につけることはできるか

メカニズム面のアップデートをせず、人気グレードに販売を集約するのは、モデルチェンジが近い車種でよく行われる手法だ。2代目フリードの発売から6年が経つことを考えれば、こうしたグレード集約へ向かっていくのも自然なことだろう。そのうえで、マイナーチェンジ後として初の特別仕様車を設定し、新鮮さを保っている。

使い勝手の高いコンパクトな3列シートミニバンというパッケージに、広く受け入れられる王道的なデザインを採用した2代目フリードは、商品力の高さで人気を誇ってきた。それだけに、モデル末期に向けてまだまだ売れるに違いない。とはいえ、気になるのはフルモデルチェンジが近いと言われる唯一無二のライバル、シエンタの動きだ。

今はネットで新車の発売時期もおおよそ予測がついてしまう時代。「新型シエンタの発表を待ってから決めよう」と考えている人も少なくないだろう。あとは今、新車市場を混乱させている納期次第かもしれない。仮に一部改良を受けたフリードが素早く納車できるとなれば、それはフリードを選ぶプラスアルファの理由になりうるはずだ。

(木谷 宗義:自動車編集者/コンテンツディレクター)

木谷 宗義

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加