足の重だるさ、湿疹、かゆみ...「下肢静脈瘤」に10年以上悩んだ女性が治療に踏み切れた決め手とは?

足の重だるさ、湿疹、かゆみ...「下肢静脈瘤」に10年以上悩んだ女性が治療に踏み切れた決め手とは?

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  • 更新日:2021/11/25
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※写真はイメージです(写真/Getty Images)

下肢静脈瘤は足の静脈の弁が壊れ、血液が逆流して起こる病気だ。40代以降の女性に多く、加齢にともなって増加する。軽いものを入れると推定患者数1千万人以上という報告もある。現在、治療の約90%がカテーテルを使った血管内治療で、多くが日帰り手術となっている。

【データ】下肢静脈瘤、おもな症状や治療法は?*  *  *
下肢静脈瘤は足の静脈の弁が壊れることで血液が逆流し、静脈が瘤のようにふくれたり、足の不快な症状が起こる病気だ。足の伏在静脈という血管に起こるタイプが重症化しやすい。足のだるさやむくみ、湿疹や潰瘍などの皮膚症状がある場合に治療をおこなう。

ただし、これらの症状は下肢静脈瘤以外の病気でも起こる。お茶の水血管外科クリニック院長の広川雅之医師は話す。

「正確な診断には、超音波(エコー)検査で血液の逆流の有無を確認することが不可欠です」

治療には「保存的治療」「血管内治療」「ストリッピング手術」「フォーム硬化療法」がある。

保存的治療では、「医療用弾性ストッキング」を使った圧迫療法が主におこなわれる。足首の部分を最大に、上に行くにつれて、圧が低くなる構造で血液のうっ滞を防ぐ。

長さや圧迫の強さによってさまざまな種類があり、体格や症状に合わせて最適なものを使う。足の症状が悪化しやすい日中にはく。

横浜南共済病院心臓血管外科部長の孟真医師は次のように話す。

「着脱にはコツが必要ですが、スタッフが教えます。弾性ストッキングには下肢静脈瘤の症状をやわらげるほか、湿疹や色素沈着、皮膚の潰瘍の改善効果もあります」

ただし、弾性ストッキングの効果ははいている間だけで、根本的に下肢静脈瘤を治す場合は血管内治療またはストリッピング手術を検討することになる。

現在、最も多くおこなわれているのは血管内治療だ。

「20年ほど前までは静脈を引き抜く『ストリッピング手術』が標準的治療でした。この手術は全身麻酔下で1週間程度の入院が一般的だったため、躊躇する患者さんが多かったのです」(広川医師)

■日帰りも可能な血管内治療が普及

血管内治療は局所麻酔で、日帰りが可能。2011年に保険適用となってから、一気に普及した。

都内に住む60代の女性も広川医師のクリニックで、この治療を受けた。10年以上前に下肢静脈瘤と診断されたが、ストリッピング手術が必要と言われ、治療をあきらめてきた。

しかし、血管内治療が保険適用になったことを知り、思い切って受診したのだ。

「長い年月を経て、静脈瘤が悪化し、足の重だるさや湿疹によるかゆみがひどくなっていました。治療後は『長年の悩みが解消された』と、とても喜んでおられました」(同)

血管内治療は、レーザーや高周波電流の熱により、血管の内側から下肢静脈瘤の原因となっている静脈を焼いてふさぐものだ。患者数が最も多い大伏在静脈瘤が主な治療対象となる。大伏在静脈瘤は太もも内側にある弁が足のつけ根から壊れて、血液が逆流している。そこでひざの内側から細いカテーテルを静脈に入れ、足のつけ根に送り込む。次に治療対象の静脈に沿って局所麻酔をおこない、カテーテルを手前に引きながら静脈を焼いていく。

焼いた静脈は治療後約半年でからだに吸収される。表在静脈が担う足の血流は約15%。焼かれる静脈はもともと正常の機能を失っており、なくなっても問題はない。血流は他の静脈で補われる。

なお、ふくらはぎの目立つ静脈瘤は曲がりくねっていて、カテーテルが通らないので焼灼はおこなわないことが多い。

通常は1~2ミリの小さな傷からこの静脈瘤を切除する「スタブ・アバルジョン法」を同時におこなう。

切除しないで後日、追加治療をおこなう場合もある。「フォーム硬化療法」という方法で、静脈瘤に泡状の薬を注射して血管を固める。

■血管を焼かない治療も登場

19年には医療用の瞬間接着剤(シアノアクリレート系接着剤)で静脈を固める「グルー治療」が保険適用になった。

「グルー(glue)は糊という意味。主成分のシアノアクリレートは市販の瞬間接着剤に入っているものと基本的に同じ成分。血管に入れると血液と反応してすぐに固まり、静脈をふさぎます。従来の血管内治療と異なり、血管を焼かないため、熱による合併症が起こりません。また、治療後に弾性ストッキングをはく必要もありません」(同)

従来の血管内治療と同様にカテーテルを血管内に入れる。そこに接着剤の入ったピストル型の注入器をつなぎ、接着剤を注入して、皮膚の上から血管を圧迫してふさぐ。

「治療は約20分で、当日からジョギングなどの運動が可能。仕事も普通にできます。治療後5年までは従来の血管内治療と同等の効果が得られています」(同)

ただし、副作用として約6%に治療した部位が赤く腫れる静脈炎が起こる。また、まれに接着剤の成分にアレルギー反応を起こす場合がある。

「接着剤の成分は5年ほど体内に残りますが、安全です。まだ長期的な効果は明らかではないため、焼灼を希望しない高齢の人などに特に向く治療と考えています」(同)

なお、皮膚の表面に近く、蛇行がひどい静脈瘤や太い静脈瘤に対しては、ストリッピング手術でないと治療が難しいケースもある。

一方、一部の医療機関では軽症の人に治療をすすめたり、ひどい場合には静脈に異常がない人に手術をしているケースがある。診療に疑問がある場合は別の医療機関にセカンドオピニオンを求めてほしい。

(文・狩生聖子)

※週刊朝日  2021年12月3日号

狩生聖子

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