PTA会長、リングに戻る 「脱ブラック」目指す中卒ボクサーの挑戦

PTA会長、リングに戻る 「脱ブラック」目指す中卒ボクサーの挑戦

  • 朝日新聞デジタル
  • 更新日:2022/11/25
No image

"2012年、世界ボクシング評議会(WBC)ユース王者になった頃の斉藤司=本人提供"

異例の肩書を持つプロボクサーが、7年ぶりにリングに戻ってくる。斉藤司、32歳。11月30日に後楽園ホールでアヌーチャ・トングボー(タイ)と対戦する。

勝ち取った「衝撃的な判決」 法廷で戦ったボクサー、リングへ戻る

「これが最後のチャンス」と気合を入れる。

かつて日本ライト級7位までのぼった斉藤だが、2016年から2年間は、「移籍の自由」を求めて当時の所属ジムと法廷で戦った。

業界の慣習に風穴を開ける判決を勝ち取ったが、復帰のリングにたどり着くまでには、紆余(うよ)曲折があった。

現在の彼は、プロボクサーであり、3児の父であり、そして都内の公立小学校のPTA会長でもある。

18年に裁判を終えて一力ジム(東京都墨田区)に移籍した斉藤だが、プロボクサーとしての活動は停止していた。

子どもの保育園への送り迎え、病気の母の介護などでコンビニの夜勤中心の生活となり、「十分な練習が積める状況ではなかったから」。

そんな折、21年2月、長女が通う小学校でPTA会長を務める男性から、「司さんならいいPTAにできるのでは」と後継の指名を受けた。

それ以前にPTA活動の手伝いをしたことはあったが、「中卒でボクシングしか知らないぼくに、なぜ?」と理由は分からない。ただ、心が動くモノがあった。

「保育園で知り合ったママさんと話すと、みんなPTAにネガティブな印象を持っていた。時間やお金に余裕のある、特別な人しかできないイメージや、ブラックな印象を変えたかった」

取り組んだことの一つが活動の省力化だ。

月1回の役員会議は半分の頻度にし、当番制でやっていた地域の廃品回収はやめた。

コロナ禍の折、前例踏襲では解決できないことが増え、役員一人一人と対話を重ねた。

さまざまな学校行事が中止となる中で、ハロウィーンでは学校と話し合って、PTA役員が仮装して教室に行き、お菓子を配ったこともあった。

「悲鳴に近い、子どもたちの大歓声が忘れられない」

基本的には学校が開いてくれる行事を、PTAはサポートするスタンスを目指す。

「PTAって、みんながリラックスして参加できて、子どもを喜ばせられる活動だと思ってもらいたい

任期は来年3月まで。この世界でも風穴を開けようと、奮闘している。

復帰戦には、PTA関係者らも観戦に来てくれるという。

「地域とつながったことで、励みができた」

現役PTA会長として上がるリング。

斉藤はどんな姿をみせるだろうか。(塩谷耕吾)

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加