昼夕食をまとめて渡され、「夏はよく腹を壊す」 牧場で働く障害者

昼夕食をまとめて渡され、「夏はよく腹を壊す」 牧場で働く障害者

  • 朝日新聞デジタル
  • 更新日:2023/11/21
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"弁護士と打ち合わせをする原告の3人=原告弁護団提供(画像は加工しています)"

北海道恵庭市の市街地から南へ数キロ。黄色く色づく木々が並んだ道端で、その男性は1人、ヤマブドウのような木の実を食べていた。

【写真】原告の障害者が暮らしていたプレハブ小屋の室内

「こんにちは」

15年ほど前、そこで佐藤さん(40代男性・仮名)は男性に声をかけた。

「そこの牧場の人ですよね?」

「そうです」

「どこに住んでるんですか?」

「あそこの小屋で寝てるよ」

男性は、近くの「遠藤牧場」に住み込みで働いていた。男性ら知的障害のある60代の3人は今年8月、この牧場で長年「奴隷労働」をさせられていたとして、経営者家族と恵庭市に計約9400万円の損害賠償を求め、札幌地裁に提訴した。3人と長く交流のあった佐藤さんが、仮名を条件に朝日新聞の取材に応じた。佐藤さんの証言から、3人の食べ物に関する境遇を構成する。

佐藤さんによると、3人が1回の食事で食べていたのはパン1個やカップラーメン一つなど。昼食と夕食の弁当をまとめて渡されることも多かった。

だが、母屋と別の、3人が住むプレハブ小屋には、冷蔵庫がなかったという。

「昼と夜のご飯をまとめてもらって、夏場は大丈夫なのか」と聞くと、「(夏は)よく腹を壊すよ」。男性からそう返ってきたという。

一方、経営者家族は取材に「虐待はしていない」と否定している。(石垣明真、上保晃平)

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