「ドイツ戦の勝利は奇跡ではない」“マイアミの奇跡”を経験した城彰二が語る、森保ジャパンとアトランタ五輪代表の“決定的な差”

「ドイツ戦の勝利は奇跡ではない」“マイアミの奇跡”を経験した城彰二が語る、森保ジャパンとアトランタ五輪代表の“決定的な差”

  • 文春オンライン
  • 更新日:2022/11/25

「伊東や三笘の個の能力に頼るしかない」城彰二がカナダ戦で感じた森保ジャパン“最大の問題点”とは?から続く

11月23日、ハリファ国際スタジアムで行われたカタールW杯のグループステージ初戦、日本代表は強豪ドイツ代表を2-1で撃破した。元日本代表FWで、現在はサッカー解説者として活躍する城彰二氏は「ドイツ戦の勝利は奇跡ではない」と語る。その理由とは?

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ドイツ代表相手に劇的な逆転勝利をおさめた日本代表 ©JMPA

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試合を変えたシステム変更と三笘の投入、そして遠藤の覚醒も

――ドイツ戦は、逆転による奇跡的な勝利でした。

城彰二(以下、城) 正直、勝てるとは思わなかったですね(笑)。前半を0-1で粘れたのと、森保一監督が今までみせなかった奇跡的なシステム変更と選手交代がうまくハマったのが勝因かなと思います。

――試合の流れを大きく変えたと思うシーンは、どこになりますか。

城 後半の最初に冨安(健洋)を入れて5バックにしてシステムを変更したところと、もうひとつは後半12分に三笘(薫)を入れたところ、そして遠藤(航)の覚醒ですね。前半、左サイドバックのラウムに伊東純也と酒井宏樹の間に立たれて、結構やられていたし、右サイドではミュラーが絶妙なポジションを取って攻撃の起点になっていました。

でも、5バックにしてスペースをなくして、遠藤が前に潰しにいったり、プレスバックしてボールを奪うことができるようになったので、主導権を握れるようになったんです。そういう中で三笘が入ったんですけど、彼が入ることでボールが収まり、独特のドリブルで相手の2人、3人が引きつけられる。

だから次の選手が空いて、いい攻撃ができるようになりました。前半に三笘を出してしまうと、たぶん守備一辺倒になり、久保(建英)みたいに消えたと思いますが、後半の投入というのはしっかりと計算されたものだったと思います。

――途中出場した堂安律、南野拓実、冨安健洋、三笘薫、浅野拓磨が結果に結びつくプレーを見せて、チームに底力があることを証明しました。

城 今回、活躍したのはみんな、交代選手ですからね。三笘はサイドでボールを持って仕掛けてDFの間を通して南野にパスをしたけど、この時間帯、ドイツはちょっと足が止まっていたので、すごく有効なプレーでした。

浅野のゴールは、板倉からのロングパスを受けて決めたスーパーゴール。とにかく途中出場の選手からは「For The Team」という意識が見えたし、交代で入った選手が活躍してヒーローになるのはすごく盛り上がるんですよ。今、チームのムードはすごく良いんじゃないかなと思います。

アトランタ五輪で起きた「マイアミの奇跡」との“決定的な差”

――森保監督の評価がドイツ戦の勝利で上がっていますね。

城 あの5バックは、その前のカナダ戦で残り5分とロスタイム5分ぐらいしかやっていないんですよ。それをあそこで思い切ってやってくるっていうのは、ちょっと想像がつかなかったですね。4年間で、もうちょっとそういうのを出してよって話なんだけど(苦笑)。

でも、システム変更の判断をしたのは本当に正解だったと思います。後半も4-2-3-1のままだったらうまくいってなかったと思うし、もっとやられていたかもしれない。勝負どころを感じ、交代のタイミング、システムの変更のタイミングは、本当にすごかったです。これは、高く評価されてもいいと思いますね。

――ただ、まだ決勝トーナメントに進出できると決まったわけではありません。ベスト8を目指すと言った以上、本当の評価はそこでされるべきかなと思いますが。

城 グループリーグは、まだ2試合あります。アトランタ五輪の二の舞ではないけど、2勝1敗でグループリーグを突破できない可能性もある。ドイツ戦に勝って、いきなり1試合目で勝ち点3を奪えたのはすごく大きいけど、喜んでいる場合じゃない。それは日本代表の選手みんながわかっていると思いますし、ドイツ戦の勝ち点3を無駄にしないようにコスタリカ戦を戦わないと、スペイン戦は追い込まれる試合になる可能性が出てきます。

――城さんが出場したアトランタ五輪では初戦のブラジルに勝ちながらも2戦目のナイジェリアに敗れ、最終戦はブラジル、ナイジェリア、日本の三つ巴の戦いになりましたが、結局2勝1敗で決勝トーナメントに進出できませんでした。

城 アトランタ五輪の時は、まさかブラジルに勝てるとは思っていなかったんです。でも、初戦で勝ち点3を奪って、2試合目のナイジェリア戦は引き分けでもいいと思っていました。勢いはあったんですが、自分たちの実力も理解していましたね。自分らは、たまたまブラジルに勝っただけ。実力的にはまったく歯が立たない状態でしたし、勢いだけで臨んだ2試合目のナイジェリア戦は完全に力負けでした。

でも、今の日本代表は自分たちの時とはまるで違う。今回のドイツ戦の勝利はみんな奇跡というけど、そうじゃないと思うんです。自分らは「マイアミの奇跡」でしたが、今の代表は後半に試合の流れを変え、自分たちの形で点を奪えています。力がある証拠ですし、選手も自信を持っているように感じるので、今大会はかなりやりそうな雰囲気がしますね。

コスタリカ戦のキーマンになるのは?

――次のコスタリカ戦がグループリーグ突破においては、非常に重要になりますね。

城 コスタリカはスペインに0-7で負けたけど、守備が整理されていなかったんです。前の選手はボールを前線から取りに行きたいけど、守備陣は慎重にプレーし、ディフェンスラインを押し上げなかった。選手間の意識がバラバラな感じで戦っていたので大量失点をしましたが、こういう大敗したチームって逆に怖いんです。

7失点してグループリーグの突破は、かなり難しくなってきたけど、もう一回整理して戦おうとか、逆に開き直ってワールドカップで1勝を持ち帰ろうぜとか、そういう方向でまとまっていくと、日本にとっては難しい試合になります。

もともと守備で粘るチームですからね。日本は、決勝トーナメント進出に向けて勝ち点3を奪いに行きたいところだけど、逆に勝ち点0という可能性もあります。それが一番こわいですね。コスタリカとは実力差があるし、日本は主導権を握れると思うけど、勝ち点1を必ず獲るという戦い方をしつつ、勝ち点3を狙う意識で戦えればと思います。

――コスタリカ戦、日本代表でキーマンになり得るのは、誰になりますか。

城 日本は、中盤の構成が重要だから、その意味で遠藤が重要になってきますし、ドイツ戦でのパフォーマンスがもう一回出来ればと思うけど、かなり疲労度が大きいと思うんです。ベスト8までを考えると、まだ3試合あるので、遠藤を休ませるとすれば守田(英正)が入ってくるのかなと予想しています。

もうひとりは鎌田(大地)ですね。ドイツ戦では思うようなプレーができなかったせいか、勝ってもあまりうれしくない感じに見えました。それはたぶん、自分が点を取って、いい働きをして勝ちたいという野心の表われでもあったと思うんです。そのくらいの実力はあるので、次は鎌田に期待したいですね。

――コスタリカ戦のスコアは、どのように予想しますか?

城 日本は主導権を握れると思うんで、そこからの崩しがどうなるかっていう部分では、ドイツ戦とは違った難しさが出てくると思います。個人的には、拮抗したいい試合になると思いますね。そこで日本が勝つなら1-0かなと思います。逆に相手に先制されると、持ち味の堅い守備にハメられてしまうので、その逆のスコアになってしまう可能性も出てくるかなと思います。コスタリカはスペインに0-7で負けているからと舐めてかかると痛い目に遭うので、とにかく試合は慎重に入るべきでしょう。

(取材・文=佐藤俊)

(城 彰二)

城 彰二

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