目指すのは「地域のお祭り」 3人制バスケリーグ、9年目の戦略

目指すのは「地域のお祭り」 3人制バスケリーグ、9年目の戦略

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2022/08/07
No image

従来のスポーツでは考えられなかったような場所での大会開催や多彩なチームオーナーの存在などで、海外でも地方からも注目され、発展を続けている3人制プロバスケリーグ「3x3.EXE PREMIER」。

世界に先駆けて、ゼビオグループのクロススポーツマーケティングが立ち上げ、9年目を迎えたこのリーグはいったい何を目指し、地域を盛り上げるアーバン(都市型)スポーツとして、どのような可能性を秘めているのか?

前編に続き、ゼビオホールディングス副社長執行役員でクロススポーツマーケティング代表取締役社長の中村考昭氏に聞いた。

>> 前編:誰でもチームオーナーになれる 日本発の「3人制バスケ」リーグに世界も注目

──「3x3.EXE PREMIER」設立後、順調に成長を遂げてこられましたが、新型コロナ禍の影響はやはり大きかったですか?

人が集まる場所でにぎわいを創造するという点では非常に厳しい状況でした。2020年、2021年は大会の中止や縮小開催という苦渋の決断をせざるを得ませんでした。

ただ、「3x3.EXE PREMIER」ではアリーナのような決まった箱を所有する必要はありませんし、リーグが興行を販売管理するモデルにより、投資や固定費が1者に重くのしかかるということもそうない。

リーグやステークホルダーにとってのリスクファクターがそもそも軽減されていますから、ダウンサイドリスクへの耐性も比較的強いんですよ。

スポンサー収入も減額になることはあっても、理念に共感して支援いただいているので、完全にスポンサーを降りてしまうケースはなかったです。

No image

また一昨年、スポーツ庁とSPORTS TECH TOKYOが共同で実施しているオープンイノベーション推進プログラム「INNOVATION LEAGUE」の実証連携団体として、スタジオでリモートマッチを開催して、それを配信するという取り組みをしました。

採択企業であるAMATELUS社の自由視点映像システム「SwipeVideo」、SpoLive Interactive社のバーチャル観戦アプリ「SpoLive」、そしてジャングルX社のスポーツDJアプリ「eジャングル」という今までにないテクノロジーを活用した、新たな観戦体験の提供にチャレンジしました。

No image

3x3.EXE PREMIER powered by INNOVATION LEAGUE

──現在の課題や目標について、どのようにお考えでしょうか?

「3x3.EXE PREMIER」はまだ、ホップ・ステップ・ジャンプの「ホップからステップのあいだ」くらいにいて、もっともっとエクスパンションできると考えています。

初めて正式種目に採用された東京オリンピックを機に日本でも国際的にも、これまでアンダーグラウンド的だったイメージがよりパブリックな存在として、ポジティブに転換されたことも追い風となっています。

参加チーム数も現在の103から、2024年までに200チームにすることを目標としていますし、さらには10倍以上にできると考えています。

開催国に関しても、現在の3カ国1地域からもっと広げられるはずです。先ほどリーグやステークホルダーにとってリスクが軽減されている話をしましたが、同様に海外での参入障壁も低いわけですから。

我々が目指しているのは、1回のイベントに瞬間風速的に何万人をどーんと集めるものではなく、「地域のお祭り」なんです。一つ一つは小粒かもしれないけれど、それが合わされば大きな力になる。Jリーグで1試合2万人集めるとしたら、我々は2千人のにぎわいを10カ所作るイメージです。

国内はもちろん、世界中で3x3のお祭りができたらいいなと考えているんですよ。

No image

3x3.EXE PREMIER THAILAND

──ファンとのエンゲージメントについてはいかがでしょうか? スタジアムやアリーナのような決まった「箱」に何度も来てもらった方が効率が良いという考え方もあると思います。

1人の選手がファンを1万人集めるとしましょう。1人で100人集められる選手が100人いる場合、同じく1万人になりますよね。我々の世界観はどちらかというと後者なんです。

凝縮性という点では、1人対100人の方が高いと思うんですよ。選手がファンの顔を認識していて、なんなら連絡先まで知っているような関係です。

──だからテレビCMなど、大規模なプロモーションを行うこともないのですね。

その通りです。ある意味ロングテールのモデルで、地道に選手とチームを増やしていけば、自ずと大きな規模になると考えています。スターも生まれてくるだろうし、すごく人気のチームも出てくるでしょう。

このモデルの良さは、フックポイントがたくさんあることだと思います。100人いれば色々な「多様性」がある。フックポイントの種類が圧倒的に多くなるはずなんですよ。

現代社会がどんどんデジタル化されていく中で、もちろん新たなテクノロジーを有効活用しながら、より「当事者感」のあるリアルなライブを作り出していきたいと考えています。

No image

──3x3事業の他に、ゼビオグループのマーケティング事業会社としてアリーナ事業も担い、サッカーJ2「東京ヴェルディ」の社長やアイスホッケーチームの「東北フリーブレイズ」の代表も務めていらっしゃいます。それらに共通するビジョンはありますか?

昨今、色々な企業が様々な形でスポーツ産業に関わるようになり、それはそれでとても良いことだと思っておりますが、我々のスタンスはスポーツを生業としている会社がスポーツ事業を行っているという極めてストレートなものなんですね。

多目的アリーナとして2012年にオープンした「ゼビオアリーナ仙台」も2020年開業の「FLAT HACHINOHE(フラット八戸)」も民設民営です。我々の事業は何れも民間事業として、持続可能な状態で成立させなければなりません。

No image

また、扱っているのがスポーツという「公共財」であることからも同じことが言えます。民間事業者として、中長期的に地域社会、財政の負担になるようでは元も子もないですよね。

競技や地域特性等によってコンセプトや施策は当然異なりますが、閉鎖的な価値観ではなく、地域社会にとっての「パブリック」な存在、みんなのスポーツとして育てていくという不変の価値観で臨んでいます。

>> 前編:誰でもチームオーナーになれる 日本発の「3人制バスケ」リーグに世界も注目

No image

中村考昭◎クロススポーツマーケティング株式会社代表取締役社長、ゼビオホールディングス株式会社副社長執行役員。一橋大学法学部卒業後、リクルート、A.T. カーニー、スポーツマーケティング会社を経て、 2010年ゼビオ入社。2011年4月より現職。2014年に3x3.EXE PREMIER創設、コミッショナー就任。東京ヴェルディ代表取締役社長、東北アイスホッケークラブ(東北フリーブレイズ)代表取締役も務める。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加