
こんなお話をひとつ
「重なりの石」には不思議な力が宿るという
そして、それにはこんな風にして出会う
例えば
それは、紅葉の木々の中を歩く散歩の途中かもしれない

例えば
それは、いつも通る公園にある大木の足元に
たまたま落ちていることもあるかもしれない

例えば
それは、よく晴れた日の誰かと一緒に歩いた海で
出会うこともある
それは、いつもそんな偶然で出会うという

「重なりの石」は私の気持ちと重なり合っていく
それから私はそれを持って軽く目を閉じる
そして自分の中の深い、深いところに降りてゆく
そこは、私だけの平和で穏やかな湖がある場所

碧乃 慈雨