ワクチン接種を「義務化」する企業、米国で増加中:背景には従業員の要望

ワクチン接種を「義務化」する企業、米国で増加中:背景には従業員の要望

  • DIGIDAY
  • 更新日:2021/09/15
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新型コロナウイルスのワクチン接種に関しては、世の中ではさまざまな議論が見られるが、企業にとってはもはや議論の余地はなくなりつつある。デルタ型変異株が猛威を振るうなか、インターパブリックグループ(Interpublic Group)、デルタ航空(Delta Air Lines)、デロイト(Deloitte)、シティグループ(Citigroup)をはじめ、いまや数多くの企業が、出社の条件として、従業員にワクチン接種を義務づけている。

ワクチン接種にはいまだ根強い反発もあるが、世論の支持は雇用主側にあるようだ。ギャラップ(Gallup)が行った最近の世論調査によると、米国民の65%はワクチン接種の義務化について明確な意見を持っており、その大半は賛成派だ。5月以降、雇用主が従業員のワクチン接種を義務化していると答えた人の割合は5%から9%に増えており、ギャラップはこの数字について「統計的に有意である」と述べている。

しかし、ワクチン義務化の判断を下すことにより、エージェンシーやハイテク企業をはじめ、賛否の板挟みに陥る雇用主は少なくない。全従業員を感染から守り、誰もが安心して働ける職場を強く求める賛成派が大多数を占める一方で、従業員の一部にはワクチン接種に反対の立場を取るものもいるからだ。

多数派の健康を尊重

グローバルなデジタルマーケティング企業で、Google、Amazon、eBayなどを顧客に持つジェリーフィッシュ(Jellyfish)のシャロン・ハリス最高マーケティング責任者(CMO)は、ワクチン接種を義務化する企業が増えるのは必然だと考えている。

「社会としては万人に配慮しなければならないが、オフィスを機能させるためには、少数派の懸念よりも多数派の健康を尊重しなければならない」とハリス氏は語る。ワクチンは長い歴史を持つ社会の柱のひとつだ。学校に通う子どもから兵士まで、さらには飼い犬までも、誰もが病気を予防するためにワクチンを接種する。「職場に復帰し、コロナ以前の生活を取り戻したいと心から願うのであれば、利他的な視点を持たなければならない」。

同時に、このウイルスにまつわる不確かさや、企業や学校をはじめ、人が集まる場所によって対策や方針が異なることを考えれば、上に立つ者には「臨機応変、透明性、思いやり」を重要視する必要があるとハリス氏は助言する。そしてオフィスの再開は、「職場文化を再生させ、目的意識、包摂性、帰属意識、真のコラボレーションを強調する機会になる」と語った。

ワクチン証明書の提示を求める企業も

Kスイス(K-Swiss)やミセスマイヤーズ(Mrs. Meyer’s)などを顧客に持つミルウォーキーのエージェンシー、ハンソンドッジ(Hanson Dodge)では、従業員や出入りの業者をはじめ、オフィスに立ち入るすべての人にワクチン接種を義務づけているだけでなく、ワクチン証明書の提示も求めている。

それは、従業員たちの強い要望だった。人材およびオペレーション担当バイスプレジデントのケリー・クローワン氏によると、ハンソンドッジではこの3月、オフィスの再開に対する従業員の思いを知るために、アンケート調査を実施。その結果、「大多数」の従業員が全員のワクチン接種を希望していることが分かった。「この結果をもとに、従業員に最大限の安全と安心を約束するための方針を策定した」とクローワン氏は述べている。さらに、マスク着用やソーシャルディスタンスの順守などについて、「従業員の行動を日常的に監視したり管理したりする施策は避けたいと考えた」という。

従業員の協力が不可欠

カリフォルニア州キャンベル市に本社を置き、ティムホートンズ(Tim Horton’s)やタタMD(TataMD)を顧客に持つアプリ開発プラットフォーム、アッピファイ(Appify)では、出社と在宅のハイブリッド勤務への移行に備えて、6月にはワクチン接種の義務化を発表していた。最高経営責任者(CEO)のジェン・グラント氏は、ワクチン接種の義務化には従業員の協力が不可欠だと述べている。

グラント氏によると、当初はワクチン接種に「躊躇や不安」を示したり、接種の予約が難しいことに不満を述べる従業員もいたという。しかし最終的には、最後まで頑なに拒否していたふたりを含め、全員が接種に応じた。「同僚に会いたい、一緒に仕事をしたい、オフィスではマスクを着用したくないという気持ちを重視した」とグラント氏は述べている。「根気よく、批判をせずに説得を試みた結果、最後のふたりもワクチン接種に応じてくれた。おかげで、オフィスの再開に向けて、従業員が一致団結できた」。

テクノロジー活用の促進も重要

ミシガン州リヴォニア市に本社を置くワークフォースソフトウェア(WorkForce Software)のマイク・モリーニCEOは、米食品医薬品局(FDA)によるファイザー(Pfizer)製ワクチンが承認されたことが状況を大きく変えたと述べる。これが、ワクチン接種の義務化を躊躇していた雇用主たちの背中を押すことになったからだ。ワークフォースソフトウェアは、ナイキ(Nike)、ホンダ(Honda)、ホールフーズ(Whole Foods)らを含む顧客企業に対し、従業員のワクチン接種を証明するソフトウェアを提供している。また、このソフトには健康に関するアンケート機能も実装されており、人事部で従業員のワクチン接種状況を管理するのにも有用だという。

従業員にワクチン接種の義務化への理解を求めることもさることながら、ワクチン接種を支援するテクノロジーの活用を促すことも、一部の雇用主にとっては課題となるだろう。

「企業が新しいテクノロジーを導入しようとすると、従業員は大抵いくつかの集団に分かれる。はじめから導入に熱心なものもいれば、最後まで頑なに抗う反対派もいる」。そうモリーニ氏は指摘する。「どれだけ多くの従業員を抱えていても、テクノロジーを活用すれば、世界的に進むワクチン接種の義務化に対応できる。そのことを丁寧に説明すれば、企業は従業員の職務遂行を助ける画期的な新技術の導入に本気で取り組み、変化しつづける新型コロナウイルス禍の影響に対処しようとしていることを理解してもらえるだろう」。

[原文:More companies institute vaccine mandates as employees increasingly demand it

TONY CASE(翻訳:英じゅんこ、編集:村上莞)

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