【ネタバレ解説】映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』本当の“新たなる支配者”とは誰なのか?徹底考察

【ネタバレ解説】映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』本当の“新たなる支配者”とは誰なのか?徹底考察

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  • 更新日:2022/08/06
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人気シリーズ「ジュラシック・ワールド」の最終章となる『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』。人類と恐竜たちが共存する世界を舞台に、新たな冒険が幕を開ける。という訳で今回は、全世界待望の『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』についてネタバレ解説していきましょう。

映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022)あらすじ

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イスラ・ヌブラル島が噴火で壊滅し、アメリカ本土へ送られた恐竜たちが世界各地に解き放たれてから、およそ4年が経過した。恐竜の保護活動を続けるオーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は、人里離れた山小屋でクローンの少女メイジーを大切に育てながら生活している。そんなある日、メイジーが何者かによって連れ去られてしまうことに……。※以下、映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』のネタバレを含みます。

シリーズの最後を飾る「ジュラシック・パーク6」

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』は、単なる『ジュラシック・ワールド』シリーズ第3作という位置づけだけではなく、『ジュラシック・パーク』を含めた全6作のシリーズ完結篇という意味合いが強い。

『ジュラシック・パーク』(1993)

監督/スティーブン・スピルバーグ主演/サム・ニール、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラム

『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997)

監督/スティーブン・スピルバーグ主演/サム・ニール、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラム

『ジュラシックパークIII』(2001)

監督/ジョージョンストン主演/サム・ニール、ウィリアム・H・メイシー、ティア・レオーニ

『ジュラシック・ワールド』(2015)

監督/コリン・トレヴォロウ主演/クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード

『ジュラシック・ワールド 炎の王国』(2018)

監督/J・A・バヨナ主演/クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022)

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監督/コリン・トレヴォロウ主演/クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、サム・ニール、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラム思い起こしてみれば、第1作『ジュラシック・パーク』はスティーブン・スピルバーグにとって念願の企画だった。原作は、マイケル・クライトンが1990年に発表した同名小説。スピルバーグはテレビドラマ『ER緊急救命室』の企画をクライトンと練っていた時にこの小説の話を聞き、映画化したいと自ら申し出たのである(詳しくは拙稿映画『ジュラシック・パーク』巧みなサスペンス描写、画期的な特撮技術を時系列で徹底考察【ネタバレ解説】をお読みください)。続く第2作『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』は、『ミクロキッズ』(1989)などで知られるジョー・ジョンストンが担当する予定だったが、撮影直前になって、ポストプロダクション中だった『ジュマンジ 』(1995)に問題が発生してしまい、泣く泣く降板することに。スピルバーグは3作目の監督の座をジョンストンに約束し、自ら『ロスト・ワールド』を演出することになる。そして約束どおり、『ジュラシック・パークIII』(2001)はジョー・ジョンストンが監督を務め、スピルバーグはエグゼクティブ・プロデューサーとして後方支援することになった。『ジュラシック・パークIII』公開後、スピルバーグは再びジョー・ジョンストンを監督に招聘して『ジュラシック・パーク4』の製作に取り掛かるが、なんやかんやで企画が頓挫。10年以上の歳月を経て、ようやく『ジュラシック・ワールド』として製作することが発表される。監督を務めることになったのは、『彼女はパートタイムトラベラー』(2012)で長編映画監督デビューを果たしたばかりの俊英、コリン・トレヴォロウだった。超大作を手がけるプレッシャーは相当なものだったろうが、彼は見事その期待に応え、興行収入16億ドルを超える大ヒット。続く『ジュラシック・ワールド/炎の王国』では製作総指揮に回り、今作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』で再び監督を務めることになる。『ジュラシック・パーク』シリーズはスピルバーグ、『ジュラシック・ワールド』シリーズはトレヴォロウが実質的なクリエイティヴの責任者と言っていいだろう。トレヴォロウはシリーズ最終作を飾る本作を手がけるにあたり、「これは『ジュラシック・パーク6』だ」と語っていたという。確かに総決算的な作品を撮るとするなら、『ジュラシック・パーク』シリーズの主要キャスト……アラン・グラント博士 (サム・ニール)、エリー・サトラー博士(ローラ・ダーン)、イアン・マルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)が登場することはマスト要件だっただろう。

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エリー・サトラー博士が中心となる物語

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コリン・トレヴォロウへのインタビューを引用してみよう。

インタビュアー「舞台裏はどんな感じだったんですか?オリジナル・キャストに声をかけてから脚本を書こうと決めていたのか、それとも脚本を書いてからオリジナル・キャストに声をかけたのか、どちらなのでしょうか?」トレヴォロウ「もう少し流動的でしたね。ジェフ・ゴールドブラムと少し仕事をした後、ローラやサムとも一緒に仕事をしました。そして、ローラとサムと話し合いました。(中略)相手の目を見て、“もし私が何か価値のあることをできるとするなら、一緒にやってみませんか?”と伝えたのです」(コリン・トレヴォロウへのインタビューより抜粋)

特にトレボロウは、この物語の中心にエリー・サトラー博士役のローラ・ダーンを据えることが重要だと考えていた。

「サム・ニールは『ジュラシック・パークIII』で物語のエンジン役を担っていましたし、ジェフ・ゴールドブラムは『ロスト・ワールド』で主演しています。だからこの映画では、エリー・サトラーの物語にしたかったんです」(コリン・トレヴォロウへのインタビューより抜粋)

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エリーは、巨大イナゴが農作物を荒らす世界的危機の元凶がバイオシン社であると確信。その確固たる証拠を得ようと、グラント博士を巻き込んでバイオシン社に乗り込む。この映画において、セーブ・ザ・ワールドの役割を担うのは、彼女なのだ。ローラ・ダーンはシリーズへの復帰を強く希望し、2017年にSNSで「もしあなたたちがラストを作るなら、エリー・サトラーを復帰させないとね。彼女はいつも窮地を救ってくれる存在だよ!」とコメントしている。まさしく本作は、その通りの内容となった。エリーをはじめ、シリーズの新旧キャストが勢揃いする姿は、トレヴォロウにとって感慨深いものだった。もちろん、スピルバーグにとっても。

「みんな(筆者注:新旧キャスト)が初めて一緒に現れた瞬間、みんなジープに詰め込まれていました。その写真を撮って、スティーブン(スピルバーグ)に送ったんです。彼はとても感情的になっていましたね。彼が愛してやまないキャラクターが、信じられないような姿で一緒に冒険しているのを見るのが、これほど感動的だとは彼も思っていなかったと思います」(コリン・トレヴォロウへのインタビューより抜粋)

シリーズの新旧キャストが勢揃いする作品と聞いて、映画ファンなら思わず連想してしまうのは『スター・ウォーズ』のシークエル・トリロジー……続三部作だろう。そしてコリン・トレヴォロウは、元々続三部作の最終作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019)の監督として指名されていた。

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の雪辱戦

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もともと『スター・ウォーズ』続三部作は、次代を担う実力派監督たちがそれぞれのエピソードを担当することがアナウンスされていた。エピソード7『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』はJ・J・エイブラムス、エピソード8『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』はライアン・ジョンソン、そして偉大なシリーズ最終章を飾るエピソード9『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』はコリン・トレヴォロウ。だが2017年9月、トレヴォロウの降板が発表される。監督が更迭されるという異常事態が起こってしまった以上、クリエイティヴの決定的な相違があったことは間違いない。『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』には、「原案」という名目で彼の名前がクレジットされているものの、最終的にJ・J・エイブラムスによって完成に漕ぎ着けた実際の作品とは、大きく異なる内容だったという。筆者の推測だが、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』はトレヴォロウにとって『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の雪辱戦だったのではないか。映画史に燦然と輝くシリーズ最終作を手がけるはずだったにも関わらず、そのプロジェクトからの離脱を余儀なくされた男が「異なるシリーズ最終作で、その手腕を高らかに示そうとした」というのは考えすぎだろうか。明らかに『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』は、主要キャストがあまりに多すぎて、ストーリー的に交通渋滞を起こしている。だが『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の雪辱戦と考えれば、それを覚悟した上で新旧キャストにこだわったことは納得できる。それが彼にとっての『ジュラシック・パーク6』最善策だったのだ。

“新たなる支配者”コリン・トレヴォロウ

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おそらくトレヴォロウはこのシリーズを、恐竜から人々が逃げ惑うパニック映画から、遺伝子組み換えやクローン人間などのモチーフを交えたサスペンス・アクションへと意識的にシフトチェンジしたのではないだろうか。恐竜の闇取引が行われている地中海マルタ島でのシークエンスは、ド派手なカーアクションといい、バイクチェイスといい、完全に『ミッション:インポッシブル』、もしくは『ワイルド・スピード』シリーズのようだ。それはスピルバーグが創造した偉大なシリーズの引力から逃れ、新たな地平を築こうとする行為であり、他の映画シリーズへの目配せも怠らないという、大胆極まりない試みだ。『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』……このタイトルが指し示すものとは、「人間と恐竜が共存する世界で誰が盟主となるのか」という意味だけではない。コリン・トレヴォロウこそが、映画界の“新たなる支配者”であることの高らかな宣言だ。『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のリベンジを果たさんと誓った男は、その牙を研ぎながら、新しいチャレンジをしていくことになるだろう。(C)2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.※2022年8月6日時点の情報です。

竹島ルイ

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