赤楚衛二の芝居には愛さずにはいられない可愛げがあふれている【てれびのスキマ】

赤楚衛二の芝居には愛さずにはいられない可愛げがあふれている【てれびのスキマ】

  • WEBザテレビジョン
  • 更新日:2022/09/23

■赤楚衛二の母性本能をくすぐる愛らしさ

【写真】赤楚衛二のあどけなさが残る2020年のショット

「12時に床(ゆか)に就きました」

赤楚衛二は「とこ」を「ゆか」と言い間違えるような天然キャラだ。とあるレストランに行った際には洒落た瓶が置いてあるのを見て「誰か香水忘れてますよ」と声をかけたが、実際にはそれは醤油瓶。そんな間違いは日常茶飯事だ。夜中、自宅のあるマンションでエレベーターを待っていたら、最初8階で止まっていたエレベーターが一度上の階に上がった。誰かが乗って降りてくるのだろうと思っていたら誰も乗っておらず、「お化けだ!」と思って怖くなり、夜中にもかかわらず女性マネジャーに助けを求める電話をしてしまったというエピソードもある。

けれど、すべて許されてしまう母性本能をくすぐる愛らしさがある。そんな赤楚のことを「SUPER RICH」(2021年フジテレビ系)で共演した江口のりこは見事に形容している。「スーパー子役」だと(「A–Studio+」2022年8月12日TBS系)。まさに彼の魅力の本質を突いた言葉だ。

赤楚の父は言語学者で現名古屋学院大学学長の赤楚治之。だから勉強に関しては厳しくスパルタ教育だったという。一方で、週末の顔は違った。公園でキャッチボールをしたり、仮面ライダーごっこを一緒にしてくれたりもした。その時、父は必ず「敵」役。赤楚はもちろんライダー役だった。また小学生の頃は、月に1度、両親と弟を含めた家族4人で父が選んだ映画を見るという習慣があった(「朝日新聞」2017年12月1日)。そこで見た映画に赤楚は魅了され、いつしか演技の世界に憧れを持つようになっていった。

10代の頃に名古屋のモデル事務所に所属し、芸能活動を始める一方で、父が勤める大学に進学。そんな中で、役者への思いが強くなり、父に「東京の事務所に入ります」と宣言。父は「やりたいことを見つけるのが一番だ」と送り出してくれた。だが、上京して1年、仕事はもちろん事務所すら決まらない時期があった。ようやく事務所に入ってもオーディションで落ちる日々が続いた。その頃、「お芝居が好き」とは言えなかったという。「何をやっても本当に下手だったし、何が楽しくてやっているのかも分からなかった…」(「クランクイン!」2020年11月26日)と。

最初に彼が世間から注目を浴びた作品は「仮面ライダーアマゾンズ」(2017年Amazonプライムビデオ)と「仮面ライダービルド」(2017~2018年テレビ朝日系)。相次いで仮面ライダーシリーズに出演し、メインキャストのひとりとして登場したことだ。そう、幼い頃、父と遊んだライダーに本当になったのだ。

その後も出演作が続く中、芝居のレッスンを受けていく過程で「スランプ」に陥ったという。「役になるというより『自分がその役をどう見せたいか』と考えすぎてしまったのかもしれませんが、その時は『あれ、お芝居ってどうやってやるんだっけ』と迷ううちに、自分自身のことも分からなく」(同)なってしまった。そんな折、コロナ禍の自粛期間に突入する。赤楚にとってはそれが良かった。少し時間が空いたことで改めて自分に向き合い初心に戻った。「人にどう見えるのかではなく、お芝居の空気のなかで相手から受け取るものを大切にして演じていこう」(同)と。

ちょうどそんな心境の変化をした時に舞い込んだのが“チェリまほ”こと「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」(2020年テレビ東京系)だ。言うまでもなく彼の大きな転機になった作品だ。彼は自己肯定感の低い冴えない主人公・安達清を演じた。赤楚は安達そのものだった。赤楚自身も「根本で自分のことが好きじゃなかった」と言うように自己肯定感が低かったこともハマった一因なのだろう。一方で自分を見つめ直す中でもう少し自分を認めてやろうという気持ちにもなれていた。それがなければ「陰の強さが出てしまって、見る方が疲れてしまうような安達になっていたかも」(同)と赤楚は言う。

彼が大事にしているのは「心で演じる」こと。「四六時中役のことを考える、役で生きる、というのを忘れずに生きていきたい」(「タレントパワーランキング」2021年12月29日)と語っている。その役を演じている間はずっと役でいるように生きるのだ。だからだろう。彼が演じる役にはいつも愛らしさがある。「天然」とは、たとえ隠そうとしてもにじみ出てしまうものだ。赤楚衛二の芝居には愛さずにはいられない可愛げが溢れ出ている。

文=てれびのスキマ

1978年生まれ。テレビっ子。ライター。雑誌やWEBでテレビに関する連載多数。著書に「1989年のテレビっ子」、「タモリ学」など。近著に「全部やれ。日本テレビえげつない勝ち方」

※『月刊ザテレビジョン』2022年11月号

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