レアル、久保建英にもたじたじ...。王者の貫禄なく、ビジャレアルは途中出場組が躍進【分析コラム】

レアル、久保建英にもたじたじ...。王者の貫禄なく、ビジャレアルは途中出場組が躍進【分析コラム】

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  • 更新日:2020/11/22
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【写真:Getty Images】

意外な形でゲームが動く

ラ・リーガ第10節、ビジャレアル対レアル・マドリードが現地時間21日に行われ、1-1のドローに終わっている。セルヒオ・ラモス筆頭に複数の主力選手が不在だったマドリーはドローで御の字といった内容。終盤には危うく久保建英に決定機を沈められるところだった。王者の貫禄はどこにもない。(文:小澤祐作)

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代表ウィーク明け後の上位対決となったビジャレアル対レアル・マドリードは、いきなり…それも予想外の形でゲームが動くことになった。

2分、トニ・クロースが右サイドへ展開すると、ダニエル・カルバハルがルーカス・バスケスへパス。これがDFに当たり再びカルバハルの下へこぼれると、今度はクロスを中央へ送る。これに反応したマリアーノ・ディアスが頭で合わせ、マドリーが先制に成功した。

ただこのシーン、カルバハルがL・バスケスにパスを出した時点で副審が一度フラッグを上げている。それを見たビジャレアルの選手たちは動きを止めてしまったのだが、副審は自分の判断が間違っていると判断し、すぐにフラッグを下げたためプレーは続行。失点を招くことになった。

副審は一度フラッグを上げたならば、主審が笛を吹くか主審の「下げていい」という指示が出るまでフラッグは上げ続けなければならない。一度上げて勝手に下げるのでは、今回のように選手の誤解を招く。確かにビジャレアルイレブンもセルフジャッジを行ってしまったが、それでもかなり不運な失点だったと言わざるを得ない。

こうして少しラッキーな形で先制に成功したマドリーは、その後ゲームのペースを握った。ビジャレアルは4-4-2ブロックを形成し前からプレッシャーを与えていたが、ルカ・モドリッチやエデン・アザールが巧みなボールコントロールでプレスを的確に回避。低い位置で捕まることなく、ビジャレアルにほとんどチャンスを与えなかった。

守備時はトップ下のマルティン・ウーデゴールが積極的に前へ出て的を絞り、その後ろのモドリッチやクロースも連動することでビジャレアルのビルドアップを阻止。とくに運動量の多いモドリッチの二度追いがかなり効いていた印象で、ホームチームは中盤の主導権を握れぬまま時間を過ごしていた。

マドリーは最終ラインのバランスも良かった。フェルラン・メンディのパワーとスピードは流石で、人に強いラファエル・ヴァランとエリアで勝負できるナチョ・フェルナンデスのコンビも落ち着きがあり、右サイドバックのカルバハルは抜群の安定感を誇示。ビジャレアルは前半、枠内シュート0本に終わった通り、ほとんど得点の可能性を示すことができていなかった。

流れを変えたエメリの選手交代

しかし、攻撃面で苦戦していたのはマドリーも一緒だった。同チームは前半、枠内シュート1本。つまり、マリアーノの先制弾のみだった。

両サイドバックのF・メンディとカルバハルが幅を取ることでサイド攻撃の厚みは増していたが、中央を固めるビジャレアルに対し最後の局面で違いを作り出せない。マリアーノは中央で起点となれるようなタイプではなく、ウーデゴールは密集地帯となった中央で存在感を消す。右ウイングのL・バスケスも個で仕掛けられる選手ではないので、攻撃時の怖さは皆無だった。

後半に入ってもお互いに攻め手を欠き、時間は60分を経過。そんな中最初に動いたのはウナイ・エメリ監督だった。サムエル・チュクウェゼ、ジェレミ・ピノ、ペルビス・エストゥピニャンの3枚を一気に投入し、システムをそれまでの4-4-2から4-2-3-1へと変更したのである。

中盤の人数を増やしたことで、ビジャレアルのボール回しはよりスムーズとなった。マドリーは疲れの影響もあったのだろう、奪いどころが定められず、全体のラインが後ろに下がる。マドリーはついに主導権を握られたのだ。

右サイドに入ったチュクウェゼは、自慢の快速を生かしながら中へ切り込むことで相手のマークを混乱させた。それが功を奏したのが75分。カルバハルとヴァランのギャップを突き、GKティボー・クルトワのファウルを誘発してPKを獲得したのである。

もちろんエメリ監督は守備時のこともよく頭に入れていた。チュクウェゼが中へ切り込んだ状態でボールを失った場合、空いた右サイドのスペースを埋めに行ったのはトップ下のモイ・ゴメス。運動量豊富で献身性の光る彼は攻撃時と守備時で中央とサイドを頻繁に行き来し、陰ながら効果的な役割を果たしていた。

上記したものは、同じポジションを務めることができる久保建英ではなかなかこなすことができない任務と言える。エメリ監督の交代が遅かったのは、こうした理由があったからかもしれない。

久保が躍動。マドリーは危うく…

逆転の可能性を十分に作り出していたビジャレアルのエメリ監督は、89分に守備で貢献していたモイ・ゴメスを下げ、久保を投入。最後の最後で攻撃に厚みを加え勝負に出た。

久保は他の選手同様、うまく試合に入った。91分にはG・モレノがタメを作り、その左を久保がランニングで追い越す。そこへスルーパスが通ると、GKクルトワと1対1に。しかし、角度的にシュートを打つことが難しく、クルトワの飛び出しのタイミングも良かった。久保は左足から右足にボールを持ち換えて中央へのパスを選択したが、結果的に引っかかってしまった。

終了間際の93分にはチュクウェゼとの連係から右サイドを突破。危険と見たクロースに“狙い通り”のファウルで止められたが、非常に良いプレーだった。

こうして後半に流れを得たビジャレアルだったが、追加点を奪えず1-1でドロー。試合後、エメリ監督が悔やんだように、勝ち点3に十分値する内容だったと言える。

一方でマドリーは勝ち点1で御の字といったところ。とくに後半はまったくいいところがなく、シュート数はわずか6本。マリアーノのラッキー弾がなければどうなっていたかを想像するのは決して難しくないだろう。

チュクウェゼ、エストゥピニャン、ピノ、そして久保ら途中出場の選手が躍動したビジャレアルとは対照的に、マドリーは交代選手が不発。ヴィニシウス・ジュニオールもイスコも、何もできぬまま試合を終えている。

セルヒオ・ラモスやカゼミーロ、カリム・ベンゼマにフェデリコ・バルベルデら多くの主力が不在だったとはいえ、内容はあまりに酷過ぎた。得点の可能性はほとんど感じられず、後半は守備に追われギリギリの勝ち点1。王者の貫禄はどこにも感じられない。危うくレンタルで出している久保に決勝弾を浴びるところだった。

とくにウーデゴールやヴィニシウスら、若手がまったく存在感を発揮できていないのが気になるところ。今に始まったことではないが、この日最も献身的に動いていたのは35歳のモドリッチ。ナチョの言葉を借りれば、マドリーは「非常に困難な時期にある」。

(文:小澤祐作)

小澤祐作

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