エクソン、1970年代に今の温暖化を驚くほど正確に予測

エクソン、1970年代に今の温暖化を驚くほど正確に予測

  • ギズモード・ジャパン
  • 更新日:2023/01/25
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Image: rafapress / Shutterstock.com

知ってたのは知ってたけど、ここまで知ってたのね…。

石油メジャーExxon Mobil(エクソンモービル)は、40年以上前から気候変動がどれだけひどくなっていくかを、驚くほど正確に把握していたという研究結果が発表されました。

2015年の内部文書でエクソンの嘘が明らかに

2015年にExxon Mobilの気候変動に関する内部文書を入手したジャーナリストたちの調査報道によって、同社の科学者による研究結果と対外的な広報活動の矛盾が明るみに出ました。Exxon Mobilが気候変動の科学的事実とその危険性を知りながら、気候変動を否定して世間を欺き続けたことを暴いた一連の報道は、「Exxon Knew」というキャッチフレーズとともに広まりました。Exxon Mobilの内部文書に関するその後の報道や研究は、同社が資金を提供して気候変動を否定するネガキャンを拡大させた経緯に焦点が当てられました。

驚くほど正確だった70年代の温暖化予測

これまでExxon Mobil独自の気候変動予測が、外部の科学者によって分析されたことはありませんでした。今回Scienceに発表された研究で、Exxon Mobilの科学者によって40年以上前に構築された気候モデルとその予測の精度を分析したところ、びっくりするくらい正確だったそうです。研究の主執筆者でマイアミ大学の准教授であるGeoffrey Supran氏は、次のように述べています。

Exxon Mobilが知っていたことは以前から知っていました。『Exxon Knewバージョン2.0』とも言える今回の研究結果は、Exxon Mobilが何を知っていたかについて、統計を用いた正確な分析によって学術的にも興味深くて実用的な知見を与えてくれます。

Twitter上の仮説を定量的に検証

面白いのは、今回の研究がTwitterに端を発していることです。Supran氏をはじめとする研究者がExxon Mobilの内部文書に関する論文を発表した後、Twitterで科学者やユーザーが内部文書の予測グラフと実際の温暖化予測を重ねあわせて、Exxon Mobilの予測が正確であることを指摘し始めました。

Supran氏は、これまで科学者らがExxon Mobilの気候変動に関する言説を厳しく監視してきたにも関わらず、同社の気候予測やデータが実際に分析されていないことに気づいたそうで、今回の研究によってTwitter上の仮説が査読済み論文という形になったと言います。

研究チームは、Exxon Mobilの科学者が作った気候変動予測とモデルをすべてとりまとめ、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が採用している2つの確立された分析方法によって定量的に検証し、予測能力の正確性に点数をつけて評価しました。

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Exxon Mobilによる気温上昇予測(グレー)と観測結果(赤)。実線はExxon Mobilの科学者による予測。破線はExxon Mobilのデータを元に再現した予測。数字(1~12)は時系列で古い方から順番Image: Supran et al. 2023 / Science

その結果、1970年代後半から80年代前半にかけて、Exxon Mobilのモデルが温暖化を63%~83%の精度で「正確かつ適切に」予測していたことがわかりました。同社の気温上昇予測は、1970年から2007年までに作られた政府や科学者によるモデルの予測とほぼ同じだったそうです。実際のところ、Exxon Mobilのモデルは、最も著名な気候科学者の1人である元米航空宇宙局(NASA)のJames Hansen氏が、1988年にアメリカ連邦議会で証言する際に使用した有名なモデルよりもわずかに点数が高かったそうです。

Supran氏は「地球温暖化の父」と呼ばれるHansen氏を引き合いに出したことについて以下のように弁明しています。

文脈を伝えるのに役に立つと考えただけで、Hansen氏を批判しているわけじゃないですよ。Exxon Mobilのモデルは、少なくとも史上最も影響力を持ち、評価も高い気候科学者の1人が作ったモデルに匹敵する精度だったという意味の称賛です。

Exxon Mobilの科学者は、気温上昇だけじゃなく氷期が来るという言説を「的確に否定」し、人為的気候変動が顕著になる時期(2000年ごろ)を正確に予測、そして危険な温暖化を引き起こす二酸化炭素濃度を合理的に予測していたんです。40年以上前に。

誤情報の言い訳に躍起になる石油ガス企業

Exxon Mobilの内部文書がリークした2015年以降、同社や化石燃料産業による誤情報やあからさまな嘘に対する世間の風当たりは強くなってきました。また、気候変動を否定するネガキャンの片棒を担いだとして、アメリカの自治体が石油ガス企業を相手取って多くの訴訟を起こしています。

化石燃料産業はそれに対し、さまざまな方法で反論を試みています。最近だと、Chevron(シェブロン)が「1990年代にはマンガやテレビ番組で気候変動について言及されていたのだから、石油会社による気候変動否定を非難できないはず」と、法廷で意味不明な主張をしようとしました。Exxon Mobilは「Exxon Knew」を活動家グループによる組織的キャンペーンと主張し、公式サイトにわざわざ専用ページを設けて責任転嫁しようとしています。

Supran氏は、自身が長年取り組んできた内部文書に記載されていたExxon Mobilの予測の正確さに驚かされたと言います。

Exxon Mobilの科学者が、気候変動についてただ漠然と何かを知っていたわけでも、お遊びでやっていたわけでもないことに息を呑みました。彼らは気候科学の発展に貢献していました。彼らは誰よりも多くのことを、そして間違いなく知るべきことを知っていたんです。

もしも40年前にExxon Mobilの予測に基づいて世界が気候変動対策に取り組んでいたら、私たちは今ごろどんな地球で暮らしていたのでしょうね。

大手石油企業が投資する「空気中から二酸化炭素を吸い取る技術」

Kenji P. Miyajima

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