プロジェクターで暮らしの楽しさが広がる。ホームエンタメのこれからの未来をどう考える?

プロジェクターで暮らしの楽しさが広がる。ホームエンタメのこれからの未来をどう考える?

  • ギズモード・ジャパン
  • 更新日:2021/06/10
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Photo: Kaoru Mochida

ROOMIEからの転載

いかに自宅で心豊かに過ごすか。2020年以降の私たちは、ことさらに「おうち時間の充実」を意識するようになりました。

できるかぎり外出を控えるように促され、室内での楽しみを探すうちに注目されるようになったのが、「ホームプロジェクター」です。

スクリーンや壁に向けて映画やドラマを投影するもよし。YouTubeや各VODサービスを利用して映像を楽しむもよし。その味わい方はここ最近少しずつ変化の兆しを見せているとか。

今回は、ホームプロジェクターを取り扱う4社にお集まりいただきました。ホームプロジェクターを取り巻く昨今の時勢の流れをはじめ、プロジェクターの楽しみ方について、自身もプロジェクター愛好家であるROOMIE編集長(ギズモード・ジャパン編集長と兼任)・尾田の進行のもと伺います。

今回お集まりいただいた4社

照明と一体型になった新感覚のプロジェクターから、高級志向の一品まで。ホームプロジェクターの世界は、さまざまな需要に合わせて広がりを見せています。それぞれの自慢の製品をお持ちいただいた各社をご紹介します。

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EPSON

エプソン販売株式会社:水野知之さん

オフィス機器をはじめ、電子機器を手広く取り扱うEPSON。ホームプロジェクター市場のマーケティングを担当されている水野さんにお持ちいただいたのは、天井にも投影できるオールインワン型の「EF-100WATV」モデル

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LG エレクトロニクス

LGエレクトロニクスジャパン株式会社:森 斗志也さん

テレビやスマートフォン、パソコン関連商品も取り扱うLGエレクトロニクスジャパンのマーケティングを担当。今回お持ちいただいたのは、わずかな距離で120インチの単焦点で4Kの映像が楽しめる「HU85LS」

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JVC

株式会社JVCケンウッド:那須洋人さん

Victorでおなじみ、JVCブランドを取り扱う株式会社JVCケンウッド。音や映像を本格的に楽しむ方にはお馴染みのブランドです。今回は、ご本人が商品企画を担当したメーカーが誇るハイエンドモデルの「DLA-V9R」をお持ちいただきました。

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popIn Aladdin

popIn株式会社:岡本岳洋さん

照明、スピーカーと一体型になっている、3 in 1の次世代ホームプロジェクターを取り扱うメーカーでマーケティングを担当。今回お持ちいただいたのはフラグシップモデルの「popIn Aladdin 2」

各社のプロジェクターを詳しくご紹介いただく前に、2020年以前と以降で業界はどのように変わったのかをそれぞれ伺いました。

この1年間でプロジェクター業界に起こった変化とは

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image via shutterstock

編集長・尾田:まずは2020年以前と以後で、業界にどんな変化があったのかをお伺いしたいです。ROOMIEでも、プロジェクターを扱う記事のPV数が明らかに変わってるんですよね。

昨今は「おうち時間」「巣ごもり」といった言葉とともに、部屋の中のアクティビティが注目される時代となりましたけども、こうした状況の中で目立った変化はあったのでしょうか?

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水野さん/EPSON:おっしゃる通り、2020年から2021年にかけて「巣ごもり」だったり「ステイホーム」だったり、そういった言葉が市民権を得た1年だった気がしますね。

たとえば好きなアーティストのライブや習い事、会議や飲み会にも「オンライン」とつくようになったじゃないですか。自宅でそういった催しを行うにあたって、スマホやタブレットでは実現できない、大画面で臨場感あふれる形で楽しみたい需要が増えたんだと思います。

自宅に籠らなきゃならないために人との繋がりが分断される社会になりつつあったところを、プロジェクターの大画面を使えば人との繋がりを失わずに楽しめる。そういった点をお客さまに評価いただいたのではないでしょうか。

尾田:プロジェクターは、単に映像を鑑賞するだけには留まらない、つまり新しい付加価値が生まれたということですね。岡本さんはいかがですか?

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岡本さん/popIn:私自身も、時代の勢いを感じます。客観的な指標としてもそれは明らかです。

たとえば「プロジェクター」でGoogle検索された量が、2020年の4月に出された最初の緊急事態宣言のタイミングを100だとしたら、それ以前は50くらいだったんですよ。数字上でも明らかに需要が高まっているのを感じますよね。

そして、肌感という意味では、これは偶然ですが、緊急事態宣言が発令された直後の昨年4月27日が、弊社の「popIn Aladdin 2」の発表&予約発売開始日だったんです。未だにあの日を超える販売台数はない、そんなところも需要の高まりを感じたひとつのシーンでした。

また、「日経トレンディ2020年ヒット商品ベスト30」で15位を受賞したというのも世の中的なトレンドを感じましたね。

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森さん/LG:大画面ってところがプロジェクターの魅力のひとつだと思うんですが、その点を考えると、ひと昔前まで「大きすぎるテレビは売れない」と言われてたんですよね。50インチのテレビなんかどこに置くんだよって感じで(笑)。

それが今では、どのご自宅のリビングでも50インチクラスのテレビが置いてあるなんて、珍しいことではなくなった。同じようにプロジェクターに関しても、その楽しみ方に多様性が出てきたのかなと思ってます。それもひとえに、各メーカーさんがいろいろな機種を開発されて、需要に合った映像の楽しみ方ができるようになってきたからかな、と。

これまでの市場データを振り返ってみると、その売上のほとんどがビジネスプロジェクターだったのに対し、やっぱり最近はホームプロジェクターが伸びてるんです。やっぱり2020年以降の巣ごもり需要に合わせて、「映画やドラマを観るなら大画面で楽しみたい!」といった方が増えてきてるんだと感じます。

尾田:プロジェクターの大画面で映像を楽しめるようになったら、ますますスマホを見る機会は減っていくかもしれませんね。

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那須さん/JVC:ちょうどEPSONさんがドリーミオのスクリーン付きモデルを出された2011年頃、ホームプロジェクター拡大の兆しが一瞬来たと僕は思ってるんです。当時市場に浸透しきらなかったのは、家にプロジェクターがあっても意外と観るものが少なかったからなんですよね。

それが今は、スマホで映画もドラマもアニメも、なんでも観られる時代になったじゃないですか。YouTubeやNetflix含め映像サービスが普及したこと、そして「巣ごもり需要」が同時に高まったことが、プロジェクターに再び注目が集まった理由だと思います。スクリーンがなくても壁さえあれば投影できますから、ミニマリスト的観点を持っている方にもリーチした感覚がありますね。

2020年以降、欧米では映画館までロックダウンされたことにより、ますます自宅で楽しめる本格シアターの需要が伸びてるんです。アメリカでは新型ウイルス流行以前と以後では売れ方が雲泥の差なんですよ。

我々JVCが目指してきた映画館クオリティな映像が、自宅にいながらにして楽しめることにお客さま自身が気づき始めてる。ハイエンドなプロジェクターの需要についても、これから先もう少し芽があるのかなと思ってます。

各社プロジェクターの特徴

尾田:それでは次に、各社プロジェクターの特徴を教えてもらえますか?

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エプソンのプロジェクター「EF100」112,200円(税込) *当社調べ

水野さん/EPSON:弊社は可搬性の良さ、コンパクトで持ち運びがしやすい点を売りにしてます。たとえば子ども部屋で使ったら、次はお父さんの部屋、とすぐに目的によって投影場所を変えられることがお客様に受け入れられています。

加えてオールインワンで映像も音声も楽しむことができます。今回お持ちした製品はメディアストリーミング端末を本体に格納していますので、配線は電源だけで、手軽に映像をお楽しみいただけます。プロジェクター以外にデバイスを接続する必要がないというところもメリットですね。

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popInのプロジェクター「popIn Aladdin 2」 99,800円(税込・送料込)

岡本さん/popIn:弊社製品の特徴として、ふたつお伝えさせてください。

ひとつ目は、場所を取らずに大画面を実現できるという点。もうひとつは単なる「エンタメの投影機械」ではなく、おうち時間を豊かにする製品であるという点です。

前者は、設置場所が天井という非常にユニークな特徴に起因するものです。弊社製品は工事不要で簡単に取り付けられるので、狭い部屋でも場所を取ってしまう、その他にも配線が気になる・危ないといった煩わしさから解放されます。また、それだけに留まらず独自開発の短焦点レンズによって、短い距離でも大画面が実現できるという特徴を備えています。

後者は、単なる「エンタメ需要に応える製品」ではなく、オリジナルのインテリアアプリや、キッズアプリ、そしてヘルスケアのアプリなどを搭載することで、一日を通してお客様の健康で豊かな生活を支えるサービスを実現している点です。

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LGのプロジェクター「HU85LS」 630,470円(税込)

森さん/LG:最大のポイントは壁から投影距離と本体を合わせても50cm強で120インチの画面が投影できますので、わずかなスペースで一般的なテレビの4倍近いサイズの画面で楽しめること。

画質も、3つのレーザーを使用した光源を使用して、かなりこだわりを持っています。そして、弊社のテレビにも採用されているWebOSによって、スマホの画面やウェブブラウジング、VODなどのさまざまなコンテンツを接続機器なしで楽しめます。

また、弊社のプロジェクターは、より映像マニアのお客さまにご満足いただけるように、スピーカーとBluetoothで繋げるようになっていて、ご自身で好きなスピーカーを選んでもらい、外部から迫力のある音を楽しんでもらうのがコンセプトのひとつ。

余談ですが、室内のインテリアにどれだけ溶け込めるかも、プロジェクターの導入には大切な要素ですよね。

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JVCのプロジェクター「DLA-V9R」 2,200,000円(税込)

那須さん/JVC:弊社のプロジェクターもスピーカーを積んでおらず、その分、映像の出力に特化してます。ARCやCECも積んでおらず、とことん映像にこだわったつくりになってますね。

水野さん/EPSON:映像にこだわる方は音へのこだわりも強いですから、スピーカーはご自身で選ぶ方が多いですよね。

尾田:技術としては、音も一緒にコンポジットで出力すると、映像に干渉してしまうものなんでしょうか?

那須さん/JVC:基本的には影響はありませんが、単純にスピーカーを入れることで筐体の開口部が広がってしまうため、その分のスペースを取らなきゃならないんです。

良い音を出すには、筐体内に十分な空間を設けなくちゃいけません。音に関する部分をカットして、あえて映像に特化するやり方は、弊社としてはまっとうだと思いながら取り組んでます。

プロジェクターに求められる意外なニーズ

尾田:「これは想定してなかった!」「こういう使い方をされるんだ!」みたいな、そういった意外なプロジェクターのニーズはありますか?

森さん/LG:ポータブルのプロジェクターの発売前に社内で出た声として、「天井に映せたらいいよね」って話を聞きましたね。

たとえば、小さなお子さんがいらっしゃるご家庭でしたら、天井に星空を映しておいて、お子さんが夢中になっている間にちょっと料理や家事を済ませるとか。就寝前にも良いですよね。

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エプソンのプロジェクター「EF-100」シリーズは壁だけではなく、天井にも投影できるモデルだ

水野さん/EPSON:確かにおっしゃる通り、弊社でもEF-100シリーズを出したときに、「天井もひとつの投影場所だよね」と話に出たことがありますね。実際にそういった使い方をされてる方は多く、こちらの商品を購入いただいたお客様のうち、約3割の方が天井に映像を投影して楽しんでいますね。

持ち運びやすい利点を活かすとすると、キャンプで使うのも良いんじゃないでしょうか。ドラムリールかなにかで電源を引いて、屋外で映像を投影する。プロジェクター=室内で使うもの、といった固定概念から飛び出した利用シーンが広がってる印象はありますね。

尾田:屋外でプロジェクターを使うと、よりイベント感、お祭り感みたいなものが強まりますね。キャンプも人気がありますし。

那須さん/JVC:キャンプのときって、何を観たら盛り上がりますかね?

尾田:オーソドックスに映画とか、YouTubeとか……。

森さん/LG:あとは音楽ですよね。パーティやフェスのような感じで、ミュージックビデオを流しながら盛り上がるっていうのは、結構聞きますよ。

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LGエレクトロニクスのプロジェクター「HU85LS」は単焦点で迫力ある大画面を投影できるのが魅力だ

尾田:ずっと室内でテレビやプロジェクターを観るって、これまでは不健康なイメージもありましたけど、最近はヘルシーなイメージに移り変わりつつあるのかなと。ひとえにメーカーのみなさんの企業努力やマーケティング効果による部分も大きいと思うんですが、そのあたりで工夫されていることはありますか?

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popInのプロジェクター「popIn Aladdin 2」は照明、プロジェクター、スピーカーが一体型で天井から投影するスタイル

岡本さん/popIn:弊社の場合は、常にプロジェクターが天井についているので、光源を覗かずに済む点がひとつ。お子さんやペットがいても目を痛める心配がありません。

そのほかにも、配線が外に露出しないため、コードに引っかかって家電を壊してしまうこともないですし、物を動かして掃除するなどの手間もないため、ご家族で使われる場合にはとくに重宝してもらえるのかな、と。

水野さん/EPSON:天井に固定されてるっていう特徴は、強いですよねえ。

那須さん/JVC:僕もpopInさんのプロジェクターを見たときは、「やられた!」と思いましたね(笑)。

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JVCのプロジェクター「DLA-V9R」は8K/e-shiftテクノロジーにより、4Kを超える高精細映像と、2,200ルーメンによる明るくくっきりとした高画質を実現するなど、とことん映像にこだわっている

水野さん/EPSON:JVCさんは、ホームシアターファンを虜にする画質へのこだわりがすごいですよ。私の部にも、プライベートではJVCさんのプロジェクターを使ってるメンバーがいますし。

那須さん/JVC:ありがとうございます……! そう言ってもらえると非常にうれしいですね。

弊社は音を追求するイメージが強い会社だと思いますが、実は世界で初めてテレビのブラウン管を開発したメーカーでもあるんですよ。当時から映像技術が積み重なっていて、それがプロジェクター開発にも生かされてるんです。映像のコントラストが評価されて、業務用航空機シュミレーターにも採用されてます。

そういった「プロ向けのクオリティの商品をホームシアターに展開すると、こんなプロジェクターができますよ!」という展開の仕方をしてきたので、かなりマニアックなお客さまに評価いただいてる自負はありますね。

ホームプロジェクターがつくる新しい生活様式に向けて

尾田:新生活にプロジェクターを取り入れたい、生活を変えたいと思われてる方に対して、メッセージをいただければ。

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エプソンのプロジェクター「EF-100」シリーズは極めてシンプルなデザイン。このコンパクトさでオールインワンというのも暮らしに取り入れやすい

水野さん/EPSON:気軽に外出したり、外で何かを楽しむこと自体あまり歓迎されない風潮の中で、室内にじっと籠ってストレスを溜めてしまうのが一番よくないと思うんですよ。そのストレスの解消方法はさまざまですが、そのひとつにプロジェクターを選んでもらえると弊社としては嬉しい限りです。

プロジェクターって、動画や映画を観るだけにはおさまらないんですよね。朝から晩まで使い道がある。さまざまな面で社会と繋がれる要素を持ってます。「プロジェクターを買ってよかった」「毎日の暮らしが楽しいものになった」と言ってもらえれば、これ以上の幸せはないので、ハードの進化もさることながら、利用シーンをさらに拡大するためのアプリをいかに増やすか、この点も含めがんばります。

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popInの「popIn Aladdin 2」は照明一体型だが、明るい時間でも投影可能

岡本さん/popIn:我々は「子どもたちが次々に新しいものを発見し、その感動を共有しあえる世界を実現すること」をビジョンに掲げています。

家族で見るコンテンツにはさまざまなものがありますよね。思い出の写真や映画、世界の風景もそうだと思います。それらを共有するためにリビングなどに家族みんなが集まって、家族の会話が増え、リアルタイムに感動を共有しあえる世界をどんどん作っていきたいと思っています。

家族で会話をする機会を作ることで、自分の目で見たいと思える場所や新しい価値観を見つけてほしい。次の「好き」に出会ってほしいなと我々は思っています。そういったメッセージを発信していくという姿勢は崩さないようにしたいですね。

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LGエレクトロニクスのプロジェクター「HU85LS」はインテリアにすんなり馴染むミニマムなデザインが印象的

森さん/LG:我々も、やっぱりみなさんにワクワクしてもらいたいんですよ。

映像って、やっぱり大画面で、迫力のある形で観たいって思うものじゃないですか。わいわい言いながら観る映画は楽しいし、期待感もより倍増する。弊社ももちろんですが、今回集まった各メーカーさんも引き続き良いものを作っていくはず。

そして、今まで以上にワクワクできるような、プロジェクターだからこそできる考えもつかなかった楽しみ方を提案していく。いわば新しい楽しみ方をしてもらえれば、我々にとってもお客さまにとっても、一番いい形なのかなと思いますね。

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JVCのプロジェクターの圧倒的なパフォーマンスにはただただ驚かされるはず。機会があればぜひ体感してみて

那須さん/JVC:幸いにも、これだけプロジェクターの裾野が広がったというところで、1000人に1人でも弊社のプロジェクターを買ってくれないかなという思いがまずあります(笑)。

たとえば車で言うとクラウンですとか、そういった伝統あるブランド、いつか手に入れたい憧れのブランドといったポジションを保ち続けたいと思ってますね。

こうやって裾野が広がりはじめてる中で、一握りでも二握りでも映像の質にこだわりを持つ方が生まれてくれると嬉しいな、と。こう言ったらあれですけど……、一度ぜひ観てもらいたいんですよ、弊社のプロジェクターで映した映像を。もちろんROOMIEの読者の方々にもです。プロジェクターの常識というものを覆すような体験をしてもらうと、見識が広がるのではないでしょうか。

尾田:ありがとうございます。みなさんの話を聞かせてもらって、あらためてプロジェクターの魅力を感じました。

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※価格など表示内容は、執筆現在のものです。変更の可能性もありますので、販売ページをご確認ください。

Photo: Kaoru Mochida, Text: 北村 有

編集部

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