小池都知事「コロナ政局」勝利も「全部、政府のせいにしようとしている」と批判の声

小池都知事「コロナ政局」勝利も「全部、政府のせいにしようとしている」と批判の声

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  • 更新日:2021/01/13
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小池百合子東京都知事(C)朝日新聞社

菅義偉首相が小池百合子都知事に押し込まれる形で1月8日に発出された、首都圏1都3県を対象とする緊急事態宣言。ここまでのプロセスに対して小池氏の政治的手腕を評価する声もあるが、都政に詳しい人物からは異論もあがっている。

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自民党東京都最高顧問の深谷隆司・元衆院議員は次のように語る。

「小池氏が救世主のような存在として振る舞っているのは違和感があります。菅首相のほうが後手に回った印象がつくられつつありますが、小池氏はこれまで何をやっていたのか。昨年の段階で、飲食店などに対して東京都として独自にさらなる時短営業を要請するなど、さまざまなことに取り組むことはできたわけですよ。それが不十分だったから、これだけ多くの感染者や重傷者が増えてしまったんです」

1月2日、小池氏ら1都3県の知事が内閣府を訪れ、西村康稔経済再生相に緊急事態宣言の発出を要請した。この際、西村氏からは逆に、現状で午後10時になっている首都圏の飲食店の閉店時間を午後8時にするように要請されたという。前出の深谷氏はこう続ける。

「大阪では昨年11月末から飲食店に午後9時までの『時短要請』を出し、それが当たり前の文化として定着していた。ところが、小池知事は営業時間の短縮に難色を示し、東京では午後10時閉店を続行していたんです」(深谷氏)

菅首相も8日に出演した「報道ステーション」(テレビ朝日系)で、飲食店の営業時間を20時までとすることについて電話で小池氏に要請したものの、拒否されたエピソードを“暴露”した。

小池氏が政府からの時短強化要請に従わなかったのはなぜなのか。都政の専門紙「都政新報」の後藤貴智編集長がこう語る。

「これまでの小池都知事の説明としては、『さらなる時短要請をしても、従わない事業者が出てきてしまう、そうなると実効性が担保できるのか』というものでした。さらには『まず、知事の権限を強化する特措法の改正と、時短要請をした場合の財源をセットに、国のほうで位置づけるべきだ』と主張していました」

この「財源」というのが重要なポイントだ。東京都は新型コロナウイルスの「第1波」が襲った昨年春の段階で、自治体の「貯金」に相当する財政調整基金として貯めていた1兆円のほとんどをコロナ対策のために使い尽くしてしまった。もう、新たに大規模な補償を行うカネが残ってないのだ。自民党関係者がこう語る。

「要は金目の問題なんです。飲食店の営業時間が短くなる分の支援を、国がどこまで出してくれるかだった。ベースを勝ち取る交渉のため、東京だけだと厳しいので埼玉と組み、神奈川や千葉の知事を巻き込んでいったわけです」

前出の後藤編集長は、次のように指摘する。

「財源が足りないからといって東京都として打つ手がなかったのかというと、もう少し何かできたのではないかと思います。実際に北海道や大阪ではGo Toトラベルキャンペーンの中止を国に要請し、一定程度は感染拡大を防いだ面があると思います。東京都の場合、経済活動の維持に重きを置きすぎたところもある印象です」(前出の後藤編集長)

地域政党「自由を守る会」代表の上田令子都議も同様にこう指摘する。

「大阪と北海道では早い段階で、Go Toトラベルの対象から除外して欲しいと国に要望しました。その時に、東京も除外を要請しておくべきだったのではないでしょうか。小池氏は関連業界から突き上げを恐れたのか、結局、Go Toトラベル除外も昨年末のギリギリまで引き延ばしました。その結果が、年末年始の感染爆発につながったのではないか。小池氏はその責任を免れるために緊急事態宣言の発出を国に要請に行き、『全部、政府のせい』というイメージをつくろうとしているように見えます」(上田氏)

自民党の川松真一朗都議は、小池氏の「医療崩壊」に対する対応の遅れを指摘する。

「小池さんは都立・公社病院の計14病院でコロナ患者のための病床を1100床確保しているとしていますが、実態は医療人材の不足などの理由で、その半分程度しか患者を受け入れられていないんです。こうした状況なのに、1月8日の緊急事態宣言発令の記者会見では『600床増やし、1700床の確保を目標にする』と目標値を引き上げて、『遅れの実態』をうやむやにしてしまいました」

世論へのアピールのうまさは以前から定評がある小池氏。実際、コロナ対応については菅首相側の優柔不断さがばかりが目立つ印象となり、政権への支持率も下落の一途をたどっている。前出の上田都議はこう話す。

「菅首相は小池氏に対して油断しすぎていたように思います。私は小池氏をそばで見てきたからわかりますが、このままでは小池さんにしてやられてしまいますよ」

今年の夏には都議選が控えている。小池氏が特別顧問を務める地域政党・都民ファースト会の今後はどうなるのだろうか。2017年の都議選では55議席を獲得して都議会最大会派となったが、あれから3年が経過し、6人が離党。以前のような存在感は示せてはいない。上田都議も小池氏の方針に疑問を抱き、離党した一人だ。

「1月2日に小池氏らが内閣府で西村経産相と会談する前に、都民ファーストの会が小池知事に対して緊急事態宣言の内容について要望書を出しています。これも、今夏の都議選を見据えて都民ファーストの会の“実績”をつくる演出の一つだったのでしょう」(上田都議)

ただ、こうした仕掛けが選挙で功を奏するかは未知数だ。前出の自民党都連の深谷氏が話す。

「選挙というのは直前までわかりませんが、都民ファーストの会に前回ほどのブームは起きないと思います。小池さんは劇場型の状況を作って、自分が『正義のスター』の立場に立てば、選挙にも影響してプラスになると思っているのでしょう。だけど、このコロナ危機の中で政治家がそんなことを考えてはダメですよ。パフォーマンスではなく命がけで危機を防ごうと心しないと、都民の支持は得られないでしょう」

小池氏は2017年、「希望の党」を立ち上げて電撃的な国政進出を模索したものの、国民の支持が広がらず頓挫した経緯がある。今後、再び国政を目指す展開はあるのだろうか。「都政新報」の後藤編集長はこう語る。

「これまでの経緯を見ても、小池氏にとって都知事の座は国政へのステップだったと思います。だから、総理の座は今もチャンスがあれば虎視眈々と狙っているところはあるでしょう。ただ、今のところは具体的に国政に復帰する道筋が見えない状況なので、都政に軸足を置いて待機するしかない。政治的なパワーゲームをするのではなくて、もうちょっと地に足のついた取り組みを第一に考えてもらいたいなと思っています」

(本誌・上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事

上田耕司

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