ワイルドな見た目で損をしている? 味も食感も抜群の希少魚「スギ」の秘密に迫る

ワイルドな見た目で損をしている? 味も食感も抜群の希少魚「スギ」の秘密に迫る

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  • 更新日:2021/07/21
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スギの魚体

皆さんは、「スギ」という魚をご存じでしょうか?

「スギ? 植物でも、芸人でもなくて魚? 聞いたことないなぁ・・・」。そう思われている方も多いと思います。

スギとは、大きく分けるとスズキの仲間の魚。主に亜熱帯から温帯の暖かい海に生息しています。その体長は2メートル近くにもなる大型の肉食魚です。

かつては「クロカンパチ」などと呼ばれて食べられていたこともあるようです。スギは群れを作らず単独で行動することが多く、たまに定置網などに入る程度。あまり多く流通していなかったために認知が広がらず、スーパーなどではほとんど見かけることのない希少性の高い魚なんです。

そのスギが、最近、再び注目を集め始めています。

【見た目で損をしている「スギ」。お寿司はこちら!】

理由は、味の良さと養殖効率の良さ。スギのお寿司の写真を見ていただいてもおわかりの通り、その身は非常にきれいで、脂の乗り具合もよい。見るからにおいしそうだと思いませんか。

筆者も実際に食べてみましたが、口当たりは、コリコリとシャリシャリの間とでも言ったらいいでしょうか。とても気持ちのいい食感でした。味の方は、上品な脂が程よく乗っていて、旬の時期のヒラマサを思わせます。かつてクロカンパチと呼ばれていたのも納得の、絶品の味です。

魚体は黒地に白い線が入っていて、釣り上げた時に胸びれを左右に広げたさまは、一見するとサメのようにも見えるとのこと。姿形は、頭の部分が上下に潰れたコバンザメのよう。今でも「コバンザメノコバンガトレタウオ」という呼び名で呼ばれている地域があるとか。

こうした若干「ワイルドな」外見から、非常においしいのに損をしているような気がしますね。

養殖の効率も非常にいいんです。

通常、マグロを1キロ太らせるには、10キロ以上のエサが必要なんですが、「スギ」の場合は、(地域によって多少の差があるようですが)約1.5キロ程度で1キロ太るそうです。この1キロ太らせるのに何キロのエサが必要なのかという数値を「増肉係数」と呼びます。

2012年の農水省の資料によると、ブリの増肉係数は約2.8、マダイで2.7程度となっています。ブリやマダイに比べても、「スギ」の効率の良さがわかりますね。

例えが少々不適切かもしれませんが、「いくら食べても全然太らないんだよね~」という方はマグロタイプで、「ちょっと食べてもすぐに太ってしまうねん…」という方は、スギタイプということになるかもしれませんね。ちなみに筆者は典型的なスギタイプです…。

魚以外では、鶏の増肉係数は2~2.5、豚で3~3.5、牛の場合は10以上となっているようです。単純に考えると、増肉係数と肉の値段は比例しているようにみえますね。

養殖におけるコストの大半はエサ代と言われています。エサとなるイワシなどの値段が高騰してきている中、少ないエサで効率よく成長させることができ、味も良い「スギ」は、漁業関係者の方々にとっては、救世主のような存在といえるかもしれません。しかも成長速度も速く、病気にも強いなど、養殖にはもってこいの魚種なんだとか。

くら寿司でも、沖縄県で養殖されたスギを、7月16日から25日まで「琉球スギ」として全国のお店で販売しています。絶妙の食感と上品な脂乗りの一品をぜひ体験してみてください。

○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)

1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長

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岡本浩之

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