「体育ではブラジャー禁止」も。“ブラック校則”投稿サイトを作った女性の思い

「体育ではブラジャー禁止」も。“ブラック校則”投稿サイトを作った女性の思い

  • 女子SPA!
  • 更新日:2021/04/07

先日、息子が通う公立中学に「真冬でも体操着は半袖・半ズボン着用」、「肩にかかる長い髪はポニーテール必須だが、ツインテールは禁止」という校則があることを知り、驚いた筆者。学校が指定する長袖のジャージと長ズボンを買わされたのにも関わらず、なぜ寒いなか半袖・半ズボンでないといけないのか――。

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(写真はイメージです、以下同)

しかも、女子は冷えるから男子だけが半袖・半ズボンを強いられているという。これは性差別とも言えるし、そもそも、ポニーテールがよくてツインテールがダメなんて謎だし、「ダイバーシティ教育」を掲げている学校なのに矛盾しすぎ……。怒りがこみあげてきた筆者は、早速学校に電話しようとしました。ところが、それを止めたのはなんと我が息子。「内申書が悪くなるから学校と問題を起こすのは止めてくれ!」と言うのです。

息子の中学の非合理的な校則にモヤモヤしていた筆者は、他の学校の校則を調べていたところ、日本各地に存在するブラック校則をデータベース化した「ブラック校則データベース」を発見。今回、運営事務局の黒井さん(仮名)に取材することができたので、皆さんとシェアしたいと思います。

◆「ブラック校則」のある学校に子供を入れたくなかった

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(画像:「ブラック校則データベース」より)

――「ブラック校則データベース」を開設した経緯は?

「『ブラック校則データベース』を開設したのは2018年12月ですが、そのころニュースやWebメディアで『ブラック校則』という単語を目にする機会がありました。話題で扱っていたのは確か下着関連の校則だったと思います。

そのときはそんな校則あるのかな……と半信半疑でしたが、中高生の子供を持つ友人と話していると『靴下は白でワンポイントも禁止』『私が通っていた中学は髪が肩にかかってはいけなかったので全員おかっぱだった』『下着チェックは他校で聞いたことがある』とのことで、私の子供がそのような学校に入ることになってはかわいそうだと思い、アンケートサイトを利用してブラック校則についての事例を募集してみたんです」(コメントは運営事務局黒井さん、以下同)

◆実際に苦しんでいる生徒・児童が大勢いる

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――アンケートではどのような反響があったのですか?

「200件近い回答があり、驚きました。なかでも、『校則として明言はされていないけど暗黙のルールとして決められている』という表面化しにくい校則が、とても問題だと感じました。そこで匿名の形で校則の事例を掲載できるWebサイト『ブラック校則データベース』を作り、少しでも問題視されるようになればと思ったんです。ブラック校則を面白おかしく取り上げるのではなく、実際に苦しんでいる生徒・児童の存在について世に広げていくのが目標です」

――黒井さん以外の事務局のメンバーはどのような方たちなのでしょうか?

「私は未就学児の娘がいる30代の女性です。Webサイト制作やWebメディア運営の会社に勤めています。ただ、私も含めスタッフ全員本業があり『ブラック校則データベース』の運営では収益は発生していないため、隙間時間にWebサイトのメンテナンスや広告を出すぐらいしかできていません。現在はWebサイトの運営で手一杯で、それ以外は動けていませんが、いつかブラック校則についても国会での議題となるような時代が来たときに、このデータベースが参考資料になればと思っています」

◆体育ではブラ禁止という校則も

――なぜ、学校名を実名で公開していないのでしょう?

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「学校からのクレームで投稿を削除させられる可能性がありますので、それよりも『学校名は出せないがこの地域にこのような校則が存在している』という事実が分かるほうがいいのではないかと思い、学校名は匿名の形をとっています」

――「ブラック校則データベース」には約450件の投稿がアップされていますが、そのなかでも黒井さんがすぐにでも無くさなければいけないと思う校則を教えて下さい。

「私が女の子の母親だからという個人的な理由もありますが、わいせつにつながるような校則は廃止すべきだと思います。特に、『下着の色に関する校則』、『ブラジャーの着用禁止』、『タイツの着用禁止』などは、本当に子供のためになるルールなのでしょうか?」

投稿いただいたブラック校則の事例をご紹介します: 娘の小学校では「体操服(トップス)の下は下着の着用禁止」とい… https://t.co/Jn3OnrjXaL #ブラック校則 #ブラ校 #下着 #制服 #スクールセクハラ #スクハラ
— ブラック校則データベース運営事務局 (@_ksk_black_)
June 23, 2020
from Twitter

投稿いただいたブラック校則の事例をご紹介します: 体育のときは下着着用禁止でした。流石に高学年からは許可されて… https://t.co/0JNv0up2b8 #ブラック校則 #ブラ校 #下着 #制服 #スクールセクハラ #スクハラ
— ブラック校則データベース運営事務局 (@_ksk_black_)
April 19, 2020
from Twitter

◆校則を「先生の個人的な感覚」によると感じることも

――現時点では、校則を定めた目的によって裁判所の判断が異なると聞いています。校則に合理性が認められれば合憲、そうでなければ違憲とみなされるとか。

「いきすぎた校則は憲法違反、人権侵害だと思います。ですが、学校の風紀や教育を守るためのルールは必要ですので、『最低限のルールとし、明確な基準を設ける』べきだと思います。

緊急事態宣言についても、私権制限にならないか・憲法違反ではないか、多くの議論が交わされました。校則も本来緻密な議論と検証を経て制定されるべきなのですが、先生方の“個人的な感覚”で決められているのでは?と思うことがあります。子供たちの生活のほとんどを占めるのが学校なのですから、法律を制定することと同じぐらいの責任感と分析を行って校則を考えていただきたいです」

◆「かつての常識は非常識」定期的な見直しが必要

――ここ数年、ブラック校則に反対する声も非常に多いのに、学校はなぜ変わらないのでしょう?

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「悪質な校則が存在する理由の一つとして、特に歴史のある学校では『数十年前に制定されてから何も変わっていない』という点も上げられます。私が子供のころを思い返してみると、小中学生は髪を染めることもありませんでしたし、下着売り場では白の下着が多くを占めていました。

そういう時代に制定された校則なら、『髪を染めるのは悪』、『白以外の下着は淫ら』という考え方も理解できます。しかし男女差別や人種差別が現在では許されないことであるように、かつての常識は現在の非常識ですので、定期的な見直しを義務化すべきだと思います」

◆ブラック校則の改善が難しい理由

――SNSではブラック校則に反対する教師も多くいるようですが、そういった教師や保護者でできることは何だと思いますか?

「ブラック校則の改善が難しい理由に、『生徒や児童、保護者から働きかけにくい』という点があります。生徒が働きかければ教師からの心象を悪くし、内申点への影響や高校への推薦が受けられないなどの不利益を被る可能性があります。保護者による行動も同じですよね。

署名サイトの利用やSNSを利用して世論を味方にすれば……とも思いますが、インターネット上で話題になると誹謗中傷や人格否定のような発言を受けることになります。近年でしたら堀越学園の恋愛禁止という校則やトランスジェンダーの生徒さんが女子用制服を強制されたことについての訴訟がありましたが、ネット上には『ルールの存在を分かっていて入学したのだろう』、『その程度は守らないとろくな大人にならない』といった意見もたくさんありました。誹謗中傷は大人であっても精神的にダメージを受けますので、未成年の生徒や児童ならなおさら……と思います」

◆学校の第一の存在意義は、校則よりも生徒の「学ぶ権利」を守ること

――もはや、志の高い校長が校則を変えるしかないのでしょうか? 千代田区立麹町中学校の工藤勇一校長は、校則、宿題や定期テストも廃止しました。

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「本来なら学校が自主的に校則を見直すとなってほしいのですが、世論に押されて仕方なく…という流れになる気がしますね。結果として改善されるのであれば、それは喜ばしいことですが、学校に任せるだけではなく、校則の改善については匿名で報告でき、『学校に是正を促すような第三者機関が設けられる』ことが望ましいですね」

――校則に関してお手本にすべき国内外の学校はありますか?

「私の知人で高等専門学校に通っていた人がいるのですが、制服はなく校則と言えるものはほとんどなかったそうです。だからと言って教育が崩壊しているかというとそういうわけではなく、授業の難易度が高く大量の課題やレポートで留年も珍しくないという学校だったそうです。

偏差値の高い学校ほど校則が緩いという声も聞きますので、教育水準の向上を優先し、それでも起きる問題を校則で制限する、という順序で考えると学校もよくなるのではないでしょうか。学校の存在意義は生徒の学ぶ権利を守ることが一番ですよね。校則で生徒たちの外見や行動を画一化することを、学力向上より大切にしている現状はおかしいと思います」

【取材協力】

ブラック校則データベース」運営事務局 Twitter:@_ksk_black_

<取材・文/此花わか>

【此花わか】

映画ライター。NYのファッション工科大学(FIT)を卒業後、シャネルや資生堂アメリカのマーケティング部勤務を経てライターに。ジェンダーやファッションから映画を読み解くのが好き。手がけた取材にジャスティン・ビーバー、ライアン・ゴズリング、ヒュー・ジャックマン、デイミアン・チャゼル監督、ギレルモ・デル・トロ監督、ガス・ヴァン・サント監督など多数。Twitter:@sakuya_konoInstagram:@wakakonohana

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