暮らしの達人が吟味して部屋に招いた 日用品や家具など愛用品7選 “育つ楽しみが味わえる”品々ばかり

暮らしの達人が吟味して部屋に招いた 日用品や家具など愛用品7選 “育つ楽しみが味わえる”品々ばかり

  • CREA WEB
  • 更新日:2022/09/23

暮らしの達人が日頃愛用している道具や家具をじっくりと拝見する連載「暮らしのMY BEST」。

ご登場いただいた方の目を通して選ばれたものたちが、快適な暮らしにどう役立っているのか、その魅力をひもときます。もの選びの参考にぜひ!

一緒に育っていくものたちが愛しい

◆CASE07 菊池裕子さん (フラワーデザイナー)

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あちらこちらに、さりげなく花が飾られた室内。ガジュマルの枝には、カイ・フランクのガラスのオブジェが。

季節が夏から秋へと向かうなか、知る人ぞ知る駒沢のフラワーアトリエ、「Malmö(マルメ)」にお邪魔しました。迎えてくれたのは、フラワーデザイナーの菊池裕子さん。

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Malmöのシンボル、ツバメをモチーフにしたアイテムたち。買ったものやプレゼントされたもの……長い時間をかけて集まってきた。

ドアの向こうに広がっていたのは、有機物と無機物、新しいものと古いものが心地良く混ざり合う、隠れ家のような空間。ふと、ここが令和の東京だということを忘れてしまいそうになります。デザイン性と実用性が違和感なく同居する少し懐かしく優しい雰囲気は、「Malmö」のお花のイメージそのもの。

早速、「おうちにいるのが大好き!」と言い切る菊池さんが日々を一緒に過ごすものたちを紹介していきましょう。

着るほどに着心地の良さを実感! アトリエ ベトンのワークエプロン

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WORK APRON (WERKZEUG) 6,600円/アトリエ ベトン

「洋服は生活を快適にする暮らしの道具」と考えるブランド、アトリエ ベトン(ATELIER BÉTON)。定番のワークエプロンは、その哲学が凝縮された一枚です。

紡績と製織加工のすべてを国内で行う富士金梅帆布は、ふっくらとした適度な重みのある質感が特徴。その上質な生地を活かした過不足のないデザインが、そっと暮らしに寄り添います。

「元々デザイナーが友人で、ブランドを立ち上げたときにこのエプロンを使ってみたら、とても良くて。もう5年以上使っています。このエプロンのお気に入りポイントは、ポケット。スマホ用ポケットもハサミが入る大きなポケットもあって、とても便利なんです。

こちらのブランドの洋服を着たときにも言えることですが、試着しただけではわからない、着れば着るほど実感する着心地の良さがあって。デザイナーの話を聞いていると、素材や細部へのこだわりがこの品質を生むことをあらためて感じます」

次に登場するのも、確かな品質の一品。ドイツブランドの定番ステーショナリーとは?

紙を切るときに手放せない、ヘンケルスのハサミ

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ヘンケルスハサミ(HIシリーズ) 140mm 880円/J.A. HENCKELS INTERNATIONAL

双子マークで知られるツヴィリング(ZWILLING)の姉妹ブランドであるヘンケルス(HENCKELS)は、手ごろな価格とデザイン性の高さが魅力のドイツブランド。こちらのハサミも独特のフォルムがクセになる逸品です。

「よく使うものだからこそ、こだわりを持ちたい。ボールペンひとつとっても、書ければ良いわけじゃない。目にして心地良いものを探します。

元々そういう傾向はありましたが、ものにこだわりを持ちたいと強く思うようになったきっかけは、北欧旅行でした。スーパーに並ぶ牛乳やお菓子のパッケージが、どれも洗練されていて。暮らしの中に心地良いデザインが組み込まれていることに衝撃を受けました。

それ以来、審美眼を養うためにも、普段使いするもののデザインに妥協しないよう気を付けています。高価なものである必要はないけれど、少し高くてもデザインが良い方を選ぶ、という風に」

そんな菊池さんが愛用するハサミは、実は二代目なんだそう。

「以前使っていたヘンケルスのハサミは失くしてしまったんです。とても使いやすかったので、二代目もヘンケルスで探しました。デザインはもちろんのこと、手にあたるゴムの部分が優しくて痛くならないし、切れ味も良い。ラフィアやラッピング用の紙をカットするので切れ味は重要。シャーッと一気に切れないとダメです。こちらのハサミは、使っていくうちに一層良さがわかるところも気に入っています」

次に紹介するのは、お花の撮影時にも活躍するアンティークチェアです。

10年越しの友、アンティークチェア

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ヨーロッパのアンティークチェア

「Malmö」のインスタグラムにも度々登場するアンティークチェア。撮影専用なのかと思いきや、普段から玄関で活躍しているそう。

「初めてアンティーク小物を間近で見た若い頃は、高過ぎる価格にびっくりしました。でも、人の手を経て大事にされてきたものは佇まいが違うことに気付いてから、“アンティークってこんなに素敵なんだ”と目覚めて。流行のものを買うよりも、ずっと使っていきたいと思うものを大事にしようと決めました。

こちらの椅子を見つけたのは、10年以上前。吉祥寺のアンティークショップだったと思います。気軽にものが置ける小さな椅子を探していたときでした。フラワーデザイナーとして独立してからは、バスケットなどお花のアレンジを載せて撮影するのに大活躍。小さくて軽いので、外に持ち出して撮影することもあります」

続いても、ヨーロッパから海を越えてやってきた一品です。

デンマーク生まれの羊毛スリッパ、グレーラップ

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スリップ・オン(レザーソール) 13,200円/GLERUPS(グレーラップ)

1970年代にデンマークのひとりの女性の手から誕生したスリッパ。北米をはじめ世界で愛されるブランドとなった今も、すべてのデザインはデンマークで生まれています。

使われている羊毛は、デンマークのゴットランドウールとニュージーランドのクロスブリードホワイトウール。人間と自然に配慮しながら作られる製品は、その佇まいからして温かいのが印象的でした。

「北欧旅行の最後に、夫とヘルシンキ空港のお土産売場で見つけたものです。ほっこりしたデザインが可愛いし、ちょうど冬のスリッパが欲しいと話していたところだったので、ふたり分買ってみたところ大正解。ウールは通気性が良いので、暑い盛り以外は愛用していますが、北欧で生まれた製品だけあって冬に本領を発揮しますね。

生花を扱うアトリエは暖房を入れられないので、冬場は本当に寒くて。でも、靴下にこのスリッパを履くだけで、全然寒くなくなります。それに、二重構造のインナーソールとレザーソールのおかげか、長時間立っていても疲れない。この冬で5年目になりますが、形崩れすることもなく、日を追うごとに自分の足に馴染んできて愛しさは増すばかり」

次は、究極の育てる逸品。なかなか手に入らないフライパンが登場します。

待って、待って、遂に出会えた、木屋の打出しフライパン

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打出しフライパン 鉄 260mm 14,300円/木屋

熟練の職人の手によって数千回叩かれてやっと出来上がる、打出しフライパン。薄くて頑丈、さらに深さがあるこちらのタイプは、焼く、炒めるにとどまらず、揚げ焼きやあんかけにも向いているのだとか。

「一生使える鉄製フライパンを探していたときに、こちらを買おうと決めました。でも、大量生産できる製品ではないので、いつも販売開始と同時に売り切れてしまって。“今回も無理だった。次は半年後か……”と、何度かおあずけを食らっていたときに、たまたま立ち寄ったお店で在庫を見つけて。もちろん即決で購入しました。

まず、強火で炒めていても柄に熱さを感じないことに驚きました。鉄のフライパンは重いイメージがありましたが、こちらは薄く打ち出されていて軽いところが気に入っています。ほかにも、表面に小さな凸凹があるおかげで油が馴染みやすい、柄と本体に継ぎ目がないため洗いやすいなど、使ってみて初めてわかる良さが続々。期待以上でした。良い感じに育ってきているのを眺めていると、さらに愛着が湧きます」

次は、可愛らしいキッチンツールが登場。こちらもよく育っています。

真鍮の柄の育ち具合が落ち着く、東屋のバターナイフ

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バターナイフ 4,950円/東屋

ナイフ部分はステンレス製。刃を薄く仕上げてあるためバターにスッと入り、美しい切り口に。柄の部分は、写真の通り使い込むほどに味わい深くなる真鍮製です。

「バターにスッと入るところが、何とも言えず良いんです。真鍮でできた柄の部分は、最初は金色だったのが今は良い飴色になりました。生活に馴染んでいく、自分たちと一緒に時を重ねていく感じが好きです。

小さな道具ですが、ふと取り出すときに気分が上がるし、洗うときも丁寧になります。お気に入りのものがたくさんあると、おうちの中が一層楽しくなる。家で過ごす時間を豊かにしてくれる、とっておきの小物です」

最後に紹介するのは、20世紀を代表する巨匠のフラワーベースです。

世紀を超えて愛される花器、アアルトベース

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アルヴァ・アアルトコレクション ベース 160mm クリア 27,500円/イッタラ

フィンランドを代表する近代建築、そしてデザインの巨匠であるアルヴァ・アアルトが、1936年に発表したフラワーベースです。フィンランド語で波を表す「アアルト」の名前にふさわしい、流れるようなフォルム。20世紀の匠が生んだ傑作は、21世紀の今も、イッタラの工房で職人の手吹きによって製作されています。

「アアルトの建築もプロダクトも好きです。だから、このフラワーベースは長年の憧れの品でもありました。花器なのに、何も活けずにただ置いてあるだけで美しい。だからこそ最初は、“どうやって活けるんだろう”とも思いました。何度か活けているうちに、意外と深く考えなくても決まることに気付いたので、今は気軽に使っています。どの向きを正面にしても素敵。プロダクトの完成度の高さを感じます」

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部屋のいたるところで見かけたフラワーベースは、それ単独でも美しいことが印象的でした。

菊池さんの暮らしを垣間見て、「製品は作られたときに完成するのではなく、使っていくうちにその人の暮らしの中で完成する」ことを、目の当たりにしました。育っていく製品の背景には作った人の物語があり、使い込むにつれ自分たちの物語が刻まれていく。

そして、そうした余白を持った品々を見極める菊池さんが束ねるお花もまた、祈りや願いに似た余白があることを思い出しました。

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ポップアップショップやファーマーズマーケット出店時の目印となる「Malmö」の看板。

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ポップアップショップやファーマーズマーケット出店時の目印となる「Malmö」の看板。

●教えてくれたのは……菊池裕子さん

フラワーデザイナー。大学卒業後、会社員やインテリアショップ勤務を経て、本格的に花の世界へ。2011年にスタートした「Malmö(マルメ)」の花は、スタイリストや芸能関係者にも人気が高い。現在は、店舗を持たないオーダー制のフラワーアトリエを運営。Instagram@malmo_flower

松山あれい

プランナー&ライター。日用品、マンガ、ファッション、ドライブ情報など、ジャンルを問わず読者の暮らしに役立つ記事を届けることが喜び。韓国コスメが好き。

文=松山あれい
撮影=平松市聖

松山あれい

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