米国の共和党指導部が17日に発表した2024年度予算案に共和党強硬派が反対票を投じると表明し、政府機関の閉鎖が近づいている。共和党内のイデオロギー対立が、今議会での数々の重要問題をめぐる膠着状態を招いているためだ。
共和党の下院議員6人は17日、9月30日の年度終了後も政府に資金を手当てする「つなぎ予算法案」として知られる短期予算について合意に達したと発表した。
共和党の「メインストリート・コーカス」と「フリーダム・コーカス」のリーダーが交渉したこの合意には、既存の支出レベルに対する1%の削減が含まれており、国防総省と退役軍人省を除くすべての省庁で8%の削減となる。
また、今年初めに下院が可決した不法移民を抑制するために国境の壁の建設を再開し、仮釈放の使用を制限するなどの国境警備法案も含まれている。この法案はフリーダム・コーカスの重要な要求だった。
さらに、この予算案にはウクライナへの追加援助が含まれていない。この問題は、ジョー・バイデン大統領の200億ドル(約2兆900億円)の追加援助案を支持している上院共和党と右派強硬派が追加援助に断固反対している下院共和党を二分している。
しかし、この予算案に反対する強硬派が、可決の可能性を絶望的にしている。また、共和党による歳出削減案が民主党が支配する上院を通過し、ジョー・バイデン大統領によって署名される見込みはほとんどない。そのため2023年度末に政府機関が閉鎖される可能性はさらに高くなっている。
17日に、この予算案作成に協力したフリーダム・コーカスのメンバーも含まれる12人の共和党議員が、反対票を投じる意向を表明した。その中には、アンナ・パウリナ・ルナ議員(フロリダ州)、マージョリー・テイラー・グリーン議員(ジョージア州)、そしてポリティコに対し、この法案は「ジョー・バイデンへの167ページの降伏」に等しいと語ったマット・ゲーツ議員(フロリダ州)が含まれている。
ウェルズ・ファーゴ投資研究所のストラテジスト、ゲーリー・シュロスバーグとジェニファー・ティマーマンは、政府支出の損失による「波及効果」が「過去の閉鎖における経済的ダメージ」をもたらしたと指摘し、1990年代半ば以降の3回の長期的な閉鎖は、いずれも「政府サービスの喪失による不便さと不確実性」から「消費者と企業の感情」を悪化させたと付け加えた。
連邦議会は毎年9月末までに、連邦予算を12の予算に分けて可決しなければならない。ケビン・マッカーシー下院議長(共和党、カリフォルニア州)は、今週中に予算案を採決に持ち込むと見られている。しかし、下院を9議席差で支配する共和党は、可決のために5票以上の票を失うことは許されない。
ポリティコによれば、アンナ・パウリナ・ルナ議員、フランク・ルーカ議員(オクラホマ州)、ダン・クレンショー議員(テキサス州)の欠席が、さらに事態を複雑にしている。上院は独自の予算案でほぼ団結しており、両党党首の支持を得て、すでに予算通過のための手続きを始めている。上院予算は、6月の債務上限停止交渉でマッカーシーとバイデンが合意した1兆5900億ドル(約234兆円)の予算に沿ったものだが、下院の強硬派は、1月の下院議長選に勝利するためにマッカーシーが合意した2022会計年度レベルに支出を戻すことを要求している。
数十万人の政府職員が閉鎖で一時帰休となり、納税者が不利益を被る可能性がある。上院小委員会の報告書によれば、過去3回の閉鎖では、一時帰休の職員への未払い給料として少なくとも総額37億ドル(約5400億円)、その他の経費として少なくとも3億3800万ドル(約499億円)が支払われた。
社会保障費の支払いは継続され、法執行機関を含む一部の必要不可欠な労働者は閉鎖の影響を受けないが、国立公園システムや空港に大打撃を与える可能性がある。2019年の閉鎖では、給与が支払われていない連邦航空管制官が病欠を申し出たため、全米の航空便が遅延し、国立公園ではビジターセンターやトイレなど一部の施設が閉鎖された。