参院選・物価高対策 賃上げの明確な道筋示せ

  • 福井新聞ONLINE
  • 更新日:2022/06/23

【論説】参院選が公示され、舌戦の火ぶたが切られた。福井選挙区では過去最多の6人が立候補。全国的な争点に加え、北陸新幹線県内開業や原発政策など足元の懸案を巡っても実りある論戦を期待したい。とりわけ、県民、国民が関心を寄せるのが物価高対策だろう。

今回の物価高は原材料など生産コスト増に起因。コロナ禍からの経済回復を背景に世界的にインフレとなり、そこにウクライナ危機が追い打ちをかけ原油が高騰し、4月の原油価格は前年同月比で約80%も上がった。生鮮食品を除いた消費者物価指数は2・1%上昇。日本の場合、約20年ぶりの円安水準が輸入価格をさらに押し上げる格好だ。

先が見えない物価高への不安の高まりから、報道各社の世論調査で内閣支持率は軒並み下落。官邸筋からは「(岸田文雄首相も)ナイーブになっている」との声も聞こえてくるという。21日の党首討論会の前に、政府が「物価・賃金・生活者総合対策本部」の初会合を持ったのもその表れか。

総合対策本部で示された対策で目新しいものといえば、節電した場合にポイントが還元される制度だろうが、これとて一部の電力会社で導入されており既視感が否めない。食料価格に響く肥料の値上がり緩和策も表明したが、早急に実行に移す必要がある。

物価高の影響は食費の支出割合が多い中低所得層の方が重い。家計への支援は本来、これらの層を対象に実施すべきだろう。この点で与野党の違いが鮮明なのは消費税の扱いだ。与党の現状維持に対して、野党は減税や3年間ゼロ、廃止を主張している。消費税は低所得の世帯ほど負担割合が大きく、減税による一定の効果は見込めるだろう。ただ、1%の減税で2兆円超の税収がなくなる。年金など社会保障の財源でもある税の変更には長短を含めた丁寧な説明が求められる。

日本の物価上昇率は欧米に比べ低いものの、欧米以上に打撃なのは賃上げが追い付いていないからだ。30年ほど上がっておらず景気低迷の大きな要因になっている。にもかかわらず各党の対策は最低賃金の引き上げのほかは中身に乏しい。首相は金融資産の運用所得倍増を掲げるが、決め手に欠け論点のすり替えとの指摘もある。より明確な賃上げへの道筋を示すべきだ。

円安が物価高に拍車をかけている点を踏まえれば、日銀の大規模な金融緩和が問われて当然だ。首相は利上げについて中小企業や住宅ローンへの影響が大きいと述べたが、最も影響を受けるのは政府ではないか。1千兆円超の借金があり、金利1%上昇なら返済額は10兆円超に膨れ上がる。有権者は借金急増の弊害にも目を向ける必要があろう。

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