解雇されたグーグル従業員ら、その理由も知らされず

解雇されたグーグル従業員ら、その理由も知らされず

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2023/01/25

Google(グーグル)のスンダー・ピチャイCEOは米シリコンバレーで最も尊敬されているテック系CEOの1人として広く認められている。そのピチャイが珍しくグーグル社員1万2000人の解雇の扱いをめぐり非難されている。

人員削減に関する全社員に向けたメモの中でピチャイは「ここに至った決断には私が全責任を負っており、過去2年間、我々は劇的な成長を遂げた。その成長に合わせて、また成長を促進するために、今日直面しているものとは異なる経済実態を想定して人材を採用した」と述べている。

Collaborative Robotics(コラボレーティブ・ロボティクス)のCEO兼創業者でAmazon(アマゾン)の元エンジニア、Scale AI(スケールエーアイ)の元最高技術責任者であるブラッド・ポーターは「従業員解雇を発表するこれらのCEOメモで行われている微妙な責任転嫁(Blame-shifting)のことを私はBSと呼ぶ。これらの多くは真実の記述だが、少し不誠実だ」とLinkedIn(リンクトイン)に投稿した。

ポーターによると、ピチャイの責任を取るという主張は「異なる経済実態」に責任を転嫁することで希薄化された。CEOの最も重要な仕事の1つは「シナリオプランニング」に取り組み、組織に悪影響を及ぼす可能性のある予期せぬ出来事に備えるために時間、エネルギー、労力を費やすことだ。インフレが進み、バブルが崩壊したかのような状況でもグーグルは採用を続けた。

共感できるコミュニケーションの欠如

Meta(メタ)のマーク・ザッカーバーグCEOも同様に、従業員1万1000人の解雇について「オンライン商取引が以前のトレンドに戻っただけでなく、マクロ経済の悪化、競争の激化、広告のシグナルロスにより収益は私が予想していたよりもはるかに少なくなる。これは私の失敗で、その責任を取る」と述べた。

ピチャイやザッカーバーグのようなCEOは経済状況の分析を間違えたと認めているのに、なぜ職とかなりの報酬を維持しているのだろうか。もし彼らが本当に自分たちに責任があると思っているなら、なぜApple(アップル)のティム・クックCEOのように自らの意思で減給を受け入れなかったのだろうか。会社の経営判断をするのは自分たちではないのに、なぜ普通の従業員が失業という影響をもろに受けることになるのだろう。もしCEOや経営幹部のボーナスが従業員の満足度や定着率、組織の長期的な収益性と結びついていれば、リーダーシップのあり方も変わってくるだろう。

アルファベット労働組合は、今回の解雇を「前四半期だけで170億ドル(約2兆2170億円)もの利益を上げた企業としては容認できない行為」と断じた。

While Alphabet leadership claims "full responsibility," that is little comfort for the 12,000 workers who are now without jobs. This is unacceptable behavior for a company that made $17B in profits last quarter alone. https://t.co/bIsvMjKp6h
— Alphabet Workers Union (AWU-CWA) (@AlphabetWorkers)
January 20, 2023
from Twitter

CEOや経営幹部の報酬の大部分は株式交付やオプションだ。最近のように株価が下がると、上級管理職は自社株でペーパーロスを被る(株を売ったときだけ損をする)。人員が削減されると、株主や投資家は会社が財政的責任を果たしているととらえて拍手を送る。そうして解雇が発表されると株価は上昇し、幹部は利益を得る。

--{それぞれの解雇}--

一方、テック業界の解雇を追跡しているLayoffs.fyiによると、1月に5万5000人超のテック専門家が仕事を失った市場で労働者はスクラムを組んで仕事を見つける必要がある。2022年にリストラされたテック職の労働者は15万人を超えた。

労働者たちは多額の報酬、雇用の安定、無料の食事や洗濯サービス、在宅勤務、数々のアメニティや特典に慣れ、力関係に変化が生じた。テック職の労働者に頭を下げるのではなく、現在、投資家が優先されている。

それぞれの解雇

報道によると、人員削減の対象者がどのような理由で選ばれたのか明確ではない。グーグルの従業員は、それが評価によるものなのか、報酬によるものなのか、あるいは特定の指標に結びついたものなのか知らされなかった。CNBCは「誰がなぜ解雇されたのかを知るために、従業員は社の質問プラットフォームであるDoryに殺到し、仮想コミュニティを立ち上げている」と報じた。これに対し、従業員は取締役から翌週に行われる対話集会のために質問を用意しておくようにいわれた。

It's hard for me to believe that after 20 years at #Google I unexpectedly find out about my last day via an email. What a slap in the face. I wish I could have said goodbye to everyone face to face.
#layoffs
— Jeremy Joslin (@jcj)
January 20, 2023
from Twitter

ジョスリンはさらに「私の社屋へのアクセスはすぐに失効し、当分の間『ゲスト』として訪問しないようにといわれた」と付け加えた。ジョスリンはこの知らせを冷静に受け止め「何の通知もなかったが、解雇手当が出たのでゆっくり次のことを考える時間ができた」と同情者に知らせた。

エンジニアリングマネジャーのジャスティン・ムーアは、グーグルで過ごした時間を「おおむねすばらしかった」と表現した。ムーアはグーグルで16年以上働いた後、午前3時に解雇された。

ムーアはリンクトインに「Googleで16年半以上働いた後、幸運な1万2000人のうちの1人として今朝3時に自動のアカウント停止で解雇されたようだ。他に情報は何もない。ウェブサイト(こちらも今やアクセスできない)に書かれていた、受け取るはずの画一的な言葉『あなたは解雇されました』という連絡すら受け取っていない」と書き込んだ。

「この件はただただ仕事は人生ではないこと、雇用主(特にグーグルのような顔の見えない大企業)は従業員を100%使い捨てのものと見なしていることを痛切に感じさせる。仕事ではなく、人生を生きよう」とムーアは前向きで大局的な考えを示した。そして、詩人トーマス・ムーアの言葉「I'll lay me down and bleeding a while and then I'll rise and fight again(身を横たえ、しばし血を流す。そして起き上がり再び戦う」を引用した。

グーグルの課題は、次に起こることだ。残った従業員は、使い捨てにされ、安全でなく、いつ解雇されるかわからないという恐怖を感じるようになるかもしれない。このような感情は組織に浸透し、緊張や心配、不安を生み出す。ピチャイと経営幹部が働きかけ、何が起こったのか詳細を提供するには多くの労力が必要だろう。

forbes.com 原文

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