愛猫をなくして涙が止まらない...ペットロスを癒やすため迎えた2代目猫・グレちゃんとの運命の出会い

愛猫をなくして涙が止まらない...ペットロスを癒やすため迎えた2代目猫・グレちゃんとの運命の出会い

  • fumufumu news
  • 更新日:2022/05/14
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松原さんの家に迎えられたばかり、生後2か月くらいのグレちゃん

1986年、39歳でのデビューから現在まで「ひとりの生き方」をテーマに、多くの著書を発表してきたノンフィクション作家の松原惇子さん。松原さんが愛してやまない猫たちとの思い出と、猫から学んだあれこれをつづる連載エッセイです。

第1回→《「シングル女性が猫を飼うなら40歳になってから」どん底を救った“招き猫”がもたらした幸せな日々

◇   ◇   ◇

第2回

ペットロスで世界が灰色に

わたしは基本的に家で仕事をしているので、メッちゃんはご機嫌だったのかもしれない。わたしにとっても、かわいいお顔を見ながら、美しい毛皮で覆われた体を触らせてもらい、いつもそばにいてくれるメッちゃんに癒やされっぱなしでご機嫌だった。「なんて、きれいな子なの。長生きしてね」それがわたしの口癖。

仕事中はそばの椅子に座ってじっとしている。わたしが執筆の合間にソファで休息していると背中に乗ってきて、もみもみを始める。それも延々と。一度、数えてみたことがあるが、100回で数えるのに疲れたのでやめた。長電話をしていると「話が長すぎる」とばかりにニャーニャーと大声で止めに入る。

夜はもちろん、布団の中に入ってくる。ああ、何をしていても、何をしていなくても、いつもメッちゃんを感じる至福の生活だ。これを幸せと言わずに何と言おう。しかも、カメラを嫌がらないので、猫雑誌に何度もご登場! 人が来ると必ずお出迎えするので、みんなの人気者だ。海外旅行で家を空ける時もお留守番ができる、通信簿でいえば、オール5の子である。

このメッちゃんとの蜜月は延々と続くかと思われたが、寿命にはかなわず20歳の誕生日を迎えた年に、老衰で亡くなった。猫としては長生きだが、昨日まで一緒に暮らしてきた相棒の姿がないのは、想像以上につらく、家に帰れない、ドアを開けられない、シーンとした部屋が冷たい、なにもかもが無機質に感じる。これをペットロスというのか。家にいても、外を歩いていても涙はとめどなくあふれだす。恋人が去ったときも泣かなかったのに……メッちゃんがいないことで、世界が灰色に一変してしまった。

わたしが深い悲しみにくれていると、猫博士から、悲しんでいないで、すぐに次の子を飼いなさいという連絡が入った。間をあけてはだめだという。また、新しい猫と暮らして楽しい毎日を取り戻すのよ、と励まされた。猫博士に背中を押され、徐々に次の猫を探す気になる。このままでは廃人になってしまう。それだけは避けたい。

家で生まれた子猫を探すのは困難だったため、保護猫をもらうことにした。ダメもとで、「性別はメス、色はグレー、しっぽの長い子猫希望」とリクエストをだすと、先方から「グレーの子は、アメリカンショートヘアの血が入っているので、なかなかいない」と即答される。本当はどんな子でもよかったが、だんだん面倒くさくなってしまい、河原で捨て猫を探そうかと思うようになった。

仏のご縁か!? グレちゃんとの出会い

愛するメッちゃんを失い傷心のわたしは、そのころ、座禅に惹かれてお寺に通っていた。その日も、座禅をするためにお寺にいた。すると、携帯電話が鳴った。保護猫団体の方からだ。慌てて出ると、「グレーの子猫を保護しました。これから譲渡会に連れていくので、駅前まですぐ見に来てください!」と言うではないか。他に欲しい人がいるらしい。「今すぐ?」一瞬迷ったが、これも仏のご縁かと駆けつける。

駅前に並べられたケージの中には、もらい手がなかなか見つからないうちに大きくなってしまったのだろう、大人の猫が多い。お目当ての子猫はすぐにわかった。しかし、なんだか元気がない。軽い失望感に襲われる。団体の方の説明によると、この子猫の父親は地域では有名なアメリカンショートヘアのボス猫で、道を渡るときは車を止めるという。母親も野良猫だ。出産したがおっぱいが出なかったそう。大家族の中で愛情をたっぷり受けて育ったメッちゃんとは、真逆の環境で育った子だったのだ。なんだかかわいそうになり自然と涙があふれてきた。

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とても小さくて弱々しかったグレちゃん

「猫は実家が大事よ」という猫博士の言葉が頭をよぎったが、震えているちっちゃな命を前に、「別の子がいい」とは言いだせない。これもご縁だ。名前は「グレ」よ。

後日、グレは団体の人に連れられてわたしの家にやってきた。知らなかったが、保護団体は譲渡先の環境を確かめてから正式に譲渡するらしい。これは正しいと思うが、ただ、ひとり暮らしの人には譲渡しないと聞いていたので、わたしは姪と二人暮らししている体にして、ドキドキしながら「姪は今、仕事に行っているので……」と嘘をついた。

和猫の穏やかなメッちゃんとは違い、グレはワイルドなアメリカ人と日本人のハーフ。ハーフのせいかなにかが違う。ごめんね、グレちゃん。メッちゃんに出会ったときのような感動がわかない。子猫なのに目つきが鋭い気がする。それに、すぐに隠れてしまう。

ああ、やっぱりあの時はっきり断るべきだったのかもしれない。果たしてこれから先の十数年間をこの子とうまく暮らしていけるのか、初日から不安がよぎり始めた。

*不安ばかりのグレちゃんとの暮らし。さてどうなる……? 第3回に続きます。

松原惇子

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