「日銀が大株主」の企業ランキング!3位TDK、2位ユニクロ、1位は?21年3月末のETF保有大幅増

「日銀が大株主」の企業ランキング!3位TDK、2位ユニクロ、1位は?21年3月末のETF保有大幅増

  • ダイヤモンド・オンライン
  • 更新日:2021/04/08
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3月末でETF保有総額51兆円 保有シェア10%以上は75社

日本銀行が買い入れた上場投資信託(ETF)の保有総額が、2021年3月末時点で51.4兆円(時価)になっていることがニッセイ基礎研究所の試算でわかった。

コロナ禍で買い入れを増やしたことや経済回復期待から株価が急上昇したことで20年3月期から約20兆円も膨らんだ。

ETF購入を通じて日銀が間接保有する株式のシェアが20%以上の企業は、アドバンスト、ファーストリテイリングなど4社、10%台を占める企業は71社に上る。

日銀は3月の政策決定会合で、長期緩和の副作用対策として、株式市場の機能を低下させていると批判の強いETF買い入れの見直しを打ち出したが、市場への影響を考えれば、保有額の縮小には時間がかかる。

中央銀行が株式市場の「最大株主」という異常な状態が解消されるのは当分は難しそうだ。

株主保有企業の上位に 京セラ、ファナック、コナミなど

試算をまとめた井出真吾・チーフ株式ストラテジストによると、21年3月末現在での保有株の簿価は36.0兆円(20年3月期は30.9兆円=日銀公表値)、含み益は15.4兆円(同2937億円)。保有株に含み損が発生する損益分岐点は、日経平均株価2万436円だ。

ETF購入を通じて日銀が「大株主」になっている上位企業では、発行済み株式の25.2%を持つアドバンテストを筆頭に、「ユニクロ」のファーストリテイリング(保有シェア20.7%)、TDK(20.6%)、太陽誘電(20.1%)が20%以上の保有シェア。10%台を占める71社の中には、日産化学や京セラ、コナミホールディングス、キッコーマン、ファナックなど、さまざま業種の企業が入る。

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(注1)ランキングの個別銘柄の保有シェアは、日銀が保有するTOPIX連動型や日経平均連動型などのETFの構成割合に応じて、それぞれに組み込まれている個別銘柄の「間接保有額(時価)」を出し、各銘柄の発行済み株式総額(時価)で割って算出した。

「株価買い支え」の大規模ぶり 改めて浮き彫りに

コロナショックによる世界同時株安への対応策として日銀は昨年3月、年間の買い入れ上限を「12兆円」に引き上げた。だが昨年11月以降、経済回復の期待から活況の米国株式市場にけん引されて東証平均株価が上昇軌道に乗った後も、市場の不安定化を抑えるなどの名目で買い入れを続けてきた。

試算では改めて「株価買い支え」の大規模ぶりが浮き彫りになった形だ。

井出氏は「いくら何でも(株式を)持ち過ぎと言わざるを得ない。これまでも投資家がもう少し株価が下がったら買いたいと思っても、その前に日銀に買われてしまうということがあったが、株価が上昇局面になった後も、いわば無駄に買ってきた面がある。仮に今後、膨大な保有株式を実際に減らしていくとなると、相当な時間とコストがかかることになる」と懸念する。

政策点検で「見直し」決めたが 自縄自縛で保有株縮小は困難

実際、日銀は3月19日に、年間12兆円の上限は残すものの原則年6兆円の買い入れ目安をなくす「政策見直し」を打ち出した後も、株価が下落するとETFの買い入れを行った。

「下落したといっても日経平均株価が3万円程度を維持している状況だ。本来ならETF買い入れはすぐにでもやめて少しずつで保有株を減らしていくべきだ。よく言えば安全運転で慎重に進めようとしてともいえるが、現実は、これまでかなりのペースでETFを買い入れてきたため、株価への影響を懸念して買い入れを減らそうにも減らせない状況だ」と井出氏は話す。

東証市場の株式保有シェアでは、日銀は約7%と、昨年11月にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を抜いて最大の株主になったものの、存在が大きすぎて、売れば株価が急落するので動くに動けない株式市場のクジラのような状況だ。

買い入れ見直しを決めた決定会合後の記者会見でも黒田東彦総裁は、金融緩和の転換と受け取られ市場が不安定化するのを懸念して、今後も状況に応じてETF買い入れを増やす可能性があることを強調せざるを得なかった。

結局、自らの発言に縛られて、買い入れ見直しを言いながら保有株を縮小できない「自縄自縛」の状況が続きそうだ。

「売らない大株主」の「負のコスト」 今後も払い続けることに

今後、ETF買い入れは株価の堅調が維持されて結果的に少なくなる可能性はあるにしても、「売らない大株主」の存在が市場機能を弱める状況が続くことになる。

日銀自身もETFの分配金を得る一方で手数料を払い続けることになり、その分は結局は国民負担になる。

ETF買い入れは白川方明総裁時代の2010年10月から「包括緩和策」の一環として始められた。

短期金利がゼロに近い中で、長めの金利を下げるために中央銀行がリスク資産を購入することでリスクプレミアムを下げる「異例の措置」として実施された。

買い入れは年間上限4500億円で始まったが、黒田総裁の下での「異次元緩和策」では、「2年間で2兆円」(2013年4月)と大幅に増え、その後も年間買い入れ目標額は、「3兆円」(2014年10月)、「6兆円」(2016年7月)と増やされ購入の目的も当初とは変質している。

「株価買い支え」の効果は日本経済にとってゼロではなかったにしても、その恩恵を受けたのは企業や一部の富裕層で、格差を拡げることになった。

さらには株式市場の価格形成がゆがみ資本市場が「官製市場」化したり、本来なら退出すべきゾンビ企業までが生き残ることになって産業の新陳代謝を遅らせたりという「負のコスト」はなお続くことになりそうだ。

今のペースでは22年3月末に 「大株主」の企業100社に迫る?

試算では、1年後の2022年3月末の保有シェアについても、日銀が年間6兆円のペースでETFを購入する前提で推定している。

黒田総裁が今後の買い入れについて、「(12兆円という)十分な大きさの上限を示すことでその範囲でかなり大胆に大規模に購入する姿勢を示した」と語るなど、緩和縮小の見方を表向き否定しているからだ。

試算によると、22年3月末では日銀が20%以上の株式保有をする企業は7社、10%台のシェアを持つ企業は86社に増える見通しだ。

(ダイヤモンド編集部特任編集委員 西井泰之)

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