SNSでメンタルや生きづらさを題材としたイラストと言葉を発信しているなおにゃんさん(@naonyan_naonyan)は、かつてうつと適応障害から会社を休職。当初はそんな自身について「恥ずかしい、情けない」と感じていたが、今では「休職して良かった」と思っているそう。
コミックエッセイ「うつ逃げ~うつになったので全力で逃げてみた話~」は、そんななおにゃんさんの実体験をベースにした作品。病気から、会社から、果ては日本からも全力で逃げた1年間を赤裸々に描く。
第11回の今回は、休職届を出した時に言われた人事部長のある言葉について。

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うつに効果があるとされる朝散歩を毎日のように続けるなか、元気があるときはちょっぴり遠出もできるようになりました。知らない街で知らない家々を眺めていると、不思議とホッとしました。
知らないところで人それぞれの生活があるけれど、他人にはそれを認識できないわけで。辛い状況にある時は、つい自分を悲劇のヒロインにしてしまいがちですが、私の辛さなんて本来誰にも気づかれないものだし、海の中の一滴に過ぎないというか、なんだかどうでもいいもののように思えて、少しだけ気が楽になりました。
心が徐々に軽くなりだしたある日、うつで休職する際に人事部長から言われた言葉を思い出しました。「休職中は旅行とか行ったらどうかな?気晴らしになると思うよ」という一言に、「うつで休職するなんて、会社のお荷物でしかない」と感じていたわたしは、とても驚いたと同時に感動しました。
このエピソードを以前SNSで発信した際はフォロワーからたくさんのコメントが寄せられ、ネット記事にもなりました。
最初はこんなことを書くと、怒られるんじゃないかと思ってました。でも、意外にもすごく好評で、『こんな人事部長がいたらよかったのに』と言って下さる方が多かったです。会社の人間関係が原因でうつになってしまった方から、特に反響が大きかったように思います。
そして、人事部長のありがたい言葉を思い出すと同時に、「このまま遠くに行きたい」「逃げまくった先には何があるんだろう。それを知りたい」という、強い衝動に駆られました。まずは日本から逃げてみようと準備を始めました。
基本的に私は、ふにゃふにゃしていてだらしがないので、その分できることはきちんとやろうと思っています。実はこの漫画も9年前に『いつか絶対このことを描こう』と、会社のトイレの中で決めたものです。9年間思い続ける執念深さみたいなものは、あるかもしれませんね(笑)。
仕事から逃げ、会社から逃げ、ついには日本から逃げることを決意したなおにゃんさん。時には逃げることで人生が変わることを教えてくれる漫画「うつ逃げ」の今後に、期待してほしい。
取材・文=石川知京