一度は断念 売れ行き10倍「シンカンセンスゴイカタイアイス」用スプーン誕生秘話

一度は断念 売れ行き10倍「シンカンセンスゴイカタイアイス」用スプーン誕生秘話

  • 乗りものニュース
  • 更新日:2021/05/03

通常の10倍の売れ行き

東海道新幹線の車内販売で2020年12月26日(土)、新型新幹線「N700S」をデザインしたアルミ製のアイスクリームスプーンが新発売されました。

熱伝導率が高いアルミの使用により、スプーンを持った手の温度がアイスに伝わることが大きな特徴。車内販売の、とても固いため「シンカンセンスゴイカタイアイス」の俗称を持つアイスを、溶かしながらスマートに食べられることなどから話題になり、発売から約3日で売り切れたそうです。

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「シンカンセンスゴイカタイアイス」と「N700Sアルミアイスクリームスプーン」(2021年4月、恵 知仁撮影)。

東海道新幹線で車内販売などを担当するジェイアール東海パッセンジャーズ担当部長の舩越信郎さんによると、一般的な鉄道グッズと比較して10倍ほどの売れ行きだったといいます。

また同社担当課長の宮野入優香さんは、「お客さまのSNSでは以前、『アイスにスプーンが刺さらない動画』を多く拝見しましたが、それが『アルミスプーンが刺さっている動画』になりました。お客さまに車内をお楽しみいただけているようで、とても嬉しく思います」と話します。

コロナ禍で乗客が少なかった2020年の年末で、この人気。通常時だったらよりスゴイ売れ行きだったかもしれません。

ただこのアルミスプーン、実現に課題があり、当初はボツになっていたそうです。

もっともな「お蔵入りの理由」

車内販売でスプーンとアイスクリームを買って、スプーンに「洗ってからお使い下さい」と書いてあった場合、乗客は困ってしまうでしょう。

これが課題になって、アルミスプーンはいったんお蔵入りになりました。

時間はそれからしばらく経過。

そして2020年7月、ジェイアール東海パッセンジャーズの中村明彦社長が、SNSで友人から「東海道新幹線車内でアルミスプーンを販売したらどうか?」と提案されたそうです。

中村社長がこの話を社内にすると、「以前断念した」という話になったものの、そこで改めて「洗わないでいいスプーン」を探すことにしたところ、今度は発見に成功。商品化を実現したといいます。

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ジェイアール東海パッセンジャーズの舩越部長(右)と宮野入課長(2021年4月、恵 知仁撮影)。

舩越担当部長によると、スプーンは純水を使って洗浄するなどされており、使用前に洗わなくても大丈夫だとメーカーからお墨付きをもらっているそうで、パッケージ裏側に「洗わずにすぐにお使いいただけます」と書かれています。

この「N700Sアルミアイスクリームスプーン」は、2021年4月に新色のオレンジとレッドも登場。当初、シリーズ化の予定はなかったそうですが、反響を受けて制作したそうです。乗客のなかには、このスプーンを持参して車内でアイスクリームを食べる人もいるとのこと。

ちなみに台紙のサイズも、車内販売のワゴンの隙間から落ちず、かつ、お土産として持ち帰りしやすい大きさに工夫しているといいます。

新幹線車内でこそスプーンが本領を発揮するワケ

「個人的には、スプーンを新幹線の形にして0系タイプとか700系タイプとか、鉄仮面のような300系タイプとか作りたかったのですが、高くついてしまうので、できませんでした(笑)」(ジェイアール東海パッセンジャーズ 中村明彦社長)

中村社長は、今後も面白い商品の開発や新しい展開をどんどんしていければと話します。

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ジェイアール東海パッセンジャーズの中村社長(2021年4月、恵 知仁撮影)。

またJR東海は現在、アルミ合金製であるN700系と700系の廃車体をリサイクルし、活用を進める取り組みを行っています。

本物の新幹線に使われていたアルミを使い、「シンカンセンスゴイカタイアイス」用のスプーンができたら面白いところですが、ジェイアール東海パッセンジャーズによると「再生アルミを使用できたら素敵だと思い、検討は行っておりますが、現時点では実現できるかどうか未定です」。硬度の調整などが必要だそうです。

ちなみに「シンカンセンスゴイカタイアイス」は、車内販売だとドライアイスでかなり冷えているため固くなっていますが、一般的な冷凍庫の温度では、そこまで固くならないとのこと。「N700Sアルミアイスクリームスプーン」が本領を発揮するのは、新幹線の車内のようです。

恵 知仁(鉄道ライター)

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