緊急事態追加「やむを得ない」福岡県知事に突きつけられた「最後通告」

緊急事態追加「やむを得ない」福岡県知事に突きつけられた「最後通告」

  • 西日本新聞
  • 更新日:2021/01/14
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【福岡コンフィデンシャル】

「福岡の数字が改善しない。これ以上、福岡からの感染拡大を何としても防ぎたい」。12日夕、新型コロナ対策を担当する経済再生担当相の西村康稔は、福岡県知事の小川洋に電話をかけ、緊急事態宣言の再発出を「最後通告」した。

西村と小川は同日朝も電話で話している。小川は、西村に県内の感染状況、病床や宿泊療養施設などの医療提供体制をさらに拡充する方針を説明。現段階で宣言は必要ないとの考えを伝えていた。

宣言が再発出されれば飲食店を含め影響は甚大だ。小川はまず大阪府や愛知県など宣言を要請している自治体を指定した上で、「(福岡については)もう少し状況を見て(必要なら)追加的な指定ができないか」と電話で食い下がったが、西村は揺るがなかった。「短期集中で止めたい。時間をかけている余裕はない」

押し切られる形で了承した小川。13日朝、県庁で記者団に囲まれ「私としてはやむを得ないと判断した」と絞り出すように語った。

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小川は県のコロナ対策の柱に「医療提供体制の維持と経済活動の両立」を据えてきた。だが「第3波」の猛威は容赦なく、県の体制を揺るがした。

県内の12日現在の感染状況を政府分科会の指標に当てはめると、7項目のうち、確保想定病床の使用率、10万人当たりの新規感染者数、感染経路不明者の割合など6項目が「ステージ4(爆発的感染拡大)」に該当する。それでも小川は8日の記者会見で、こうした指標について「一つ一つの数字は意味があるが、総合的な判断が必要だ」などと繰り返し、宣言の要請に慎重姿勢を崩さなかった。

その方針は、県内感染者の5割超を占める福岡市の市長、高島宗一郎とも「珍しく一致していた」(同市幹部)。同市の感染者が初めて200人台に到達した7日も、高島は飲食店への営業時間短縮の要請について、記者団に「今、決断することではない」と語った。北九州市長の北橋健治とも対策を擦り合わせ、県全体で経済活動を制限する対応は極力避けてきた。

小川は「人の命は大事だが、厳しい措置をすれば雇用や経済活動に影響する。厳しい措置は長続きしない」と話す。大都市を抱える首長ゆえの経済への強いこだわりが、判断の遅れを招いたことは否めない。

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福岡県に宣言が再発出されるとの情報が広がった13日朝から、県庁には電話やメールが相次いで寄せられている。「なぜ福岡に宣言が出るのか」「いつから発令されるのか」。多くは宣言による生活不安を訴える内容という。

ある中堅県議も「県から医療提供体制が逼迫(ひっぱく)する状況にはないと説明を受けたが、その翌日に緊急事態宣言が出ると言われた。1日でこんなに変わるのか」と戸惑いを隠さない。県幹部は「国が先に動いた形になったことで、知事が要請を見送った判断はおかしかったと批判されることになるだろう」と危惧する。

急転直下の再発出は県民に驚きとともに痛みを強いることになる。高島は13日夜の記者会見で「気持ちを切りかえて、市民が一つに協力することで短期間で乗り越えよう」と強調。小川は、分析の甘さを問われると「指摘は必ずしも当たらない。医療は直ちに逼迫する状況にない」と気色ばんだが、すぐに取り直し「感染防止に歯止めをかけ、医療提供体制の維持確保の努力を続ける」と語った。(敬称略)

西日本新聞

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