【マツダ×パイオニアの挑戦 】第3話:熱い情熱と高い技術のぶつかり合いが新しい形を生み出す~短期集中連載全5話~

【マツダ×パイオニアの挑戦 】第3話:熱い情熱と高い技術のぶつかり合いが新しい形を生み出す~短期集中連載全5話~

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  • 更新日:2023/01/27
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【マツダ×パイオニアの挑戦 】第3話:熱い情熱と高い技術のぶつかり合いが新しい形を生み出す~短期集中連載全5話~

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マツダがこれまでとは異なるアプローチで純正オーディオの音質アップを目指したMAZDA3の開発時。カウルサイドへのスピーカー取り付けやエンクロージャー化などの大胆な変更を打ち出し、オーディオメーカーとして参画していたパイオニアとの開発も佳境を迎える。

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クルマメーカーとオーディオメーカーという立場の異なる両社の開発陣が、ひとつの目標に向かってもの作りを進めたこの時期、単にオーダーされたスピーカーを作るだけでは無く、お互いの開発陣が高音質化への思いを込めた設計を実施。それによる相乗効果によって良い製品開発が実現するという好循環が生まれた。今回はマツダ×パイオニアがタッグを組んだ純正オーディオの開発では具体的にどんなやりとりがあったのかを中心にスポットを当てた。

◆社内調整を乗り越えて高音質を追求 理解者を増やしたからこそ実現出来た理想の音

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MAZDA3でのスピーカー開発に対してマツダ、パイオニア双方の開発陣はいくつかの難局を迎えることになる。マツダ側ではそもそもカウルサイドへのスピーカー取り付けに抵抗があったのは事実。マツダの若松さんは当時の社内事情を振り返ってくれた。

「カウルサイドへのスピーカー設置はこれまでのクルマの設計を変更する必要があったため社内に抵抗感があったのは事実です。しかし一方ではドアにスピーカーの穴を空けなくても良いというメリットもあります、またドアにスピーカーを設置する際にドアの制振対策に使っていた部材も不要になるなど、有利に働く部分も多くあったのです。それらをひとつひとつ提示して社内に理解者を増やしていったからこそ実現できたとも言えます」

一方、パイオニアの開発陣はカウルサイドへの取り付けで目標としている低域を出すことに苦慮していた。パイオニアの藤本さんは当時の開発時の細かな経緯を語ってくれた。

「低域を出すためにはスピーカー口径は大きくするのがセオリーです。しかしカウルサイドは限られたスペースなのでそれが叶いません。また小容量のエンクロージャーであることもスピーカー口径を大きくできない要因でした。対策として磁気回路を高品質化する方法もありますがコストとのバランスを考えるとすぐには採用できませんでした。しかし磁気回路を新たに設計し直して少しずつ目標の音に近づけていったんです」

ギリギリの線を突いた開発を続けるパイオニアの開発者達。理想の音とコストの狭間でアイデアを絞りより良いプランを出していく。こうして“12cm口径のウーファーユニットで60Hz~80Hzの低音をタイトに出す”という命題を見事クリアするのだった。ただし高い周波数は200Hzでカット、これはカウルサイドという見えない部分にスピーカーを取り付けるため目立つ高音はカットして低音再生に限ったスピーカーにするための割り切った設計だった。

◆最終段階でスピーカーをブラッシュアップ
歪みの少ないクリアなサウンドを実現

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スピーカーシステム全体を見るとMAZDA3の開発は「フロント3ウェイ」として開発はスタートしている。ツイーター(高域)、スコーカー(中域)、ウーファー(低域)と3つのスピーカーで役割を分担することで、よりスピーカーの能力を引き出し、高音質を実現するのが狙い。ただし、クルマの設計上、スコーカーは8cmサイズが条件。これは口径の大きなスコーカーは取り付けが難しくなるという設計上の問題からだった。あくまでもクルマに取り付ける純正スピーカーを想定した設計なので、この要求は当然と言えば当然だった。またツイーターはドアミラー裏への設置が既定路線として決まっていた。カウルサイドへのウーファー開発と並行して、そんな前提条件のもとフロント3ウェイスピーカーの開発は進んでいた。

マツダとパイオニアの開発陣がもっとも密に交錯することになるのは第2回でも紹介したMAZDA3の開発最終段階でのオーディオの仕様変更だった。マツダの開発陣はギリギリまでサウンドの高音質化にこだわり、最終案では満足せず当初聴いていた高音質を確認していた“試作車両の音”により近づける策を模索しギリギリの段階での仕様変更を決意するのだった。パイオニアの開発者はマツダからのいくつかの要求に対して急ピッチで対応することになった。

「ひとつのテーマが高域のクリア感をさらに出すことでした。そのためには高域を担当しているツイーターの歪みを極限まで下げる必要があります。これはコストの問題もあって一筋縄ではいかない問題でした。しかし対策としてフィルムセミドームと呼ばれる振動板素材を採用することや独自の手法を駆使することで歪みを大きく下げることに成功したのです。要求に対してアイデアを出し、新しい手法を生み出したことでブレイクスルーがあったのです。MAZDA3の“雑味を出さない高域特性”はこうして生まれました」

◆高音質純正オーディオが完成 結果を出して変わる社内の空気を実感する

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両社の開発陣が妥協せず目標とする高音質を追求してきた純正オーディオの開発。“音源が持つ本来の音を車内で表現する”という目標がMAZDA3で実現したことで社内の空気も変わったとマツダの若松さんは感じている。

「我々はこのオーディオは絶対良いものになると信じて開発してきました。その過程で理想のオーディオとは何かを役員にプレゼンする機会があったのですが、試聴も含めて体感してもらったところ、高評価を受けました。後日知ったことなのですが、そのプレゼンの後、役員が集まるランチの席では純正オーディオの音質向上が話題になっていたようです。そして多くの役員が“試作車両を聴かせて欲しい”と我々の元にやって来たんです。これによって社内に音の良いオーディオの魅力がしっかりと伝わったことを感じました」

マツダ純正オーディオのサウンドを高音質化させる取り組みは両社の開発陣の協力によって完成する。MAZDA3の純正オーディオを聴いたユーザーであれば“音源本来の音を車内で再現する”という開発陣が意図した音が理解できるだろう。この開発を通じてマツダには新しい純正オーディオのスタンダードがで出来上がったと言える。

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土田康弘

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