指揮官は「現時点での最大出力」を強調。今やるべきことを徹底しながら、アビスパは理想の地へと邁進する

指揮官は「現時点での最大出力」を強調。今やるべきことを徹底しながら、アビスパは理想の地へと邁進する

  • サッカーダイジェストWeb
  • 更新日:2021/05/02
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13試合を消化して、5勝4分4敗の勝点19の7位。長谷部監督は「良い方向に回っていると思う」と手応えを語る。写真:滝川敏之

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10節・FC東京戦、続く広島戦、直近の浦和戦と白星を重ねて目下3連勝中の福岡。目に見える結果が出ることでチームも確かな自信を得ている。写真:滝川敏之

[J1リーグ12節]福岡2-0浦和/5月1日(土)/ベスト電器スタジアム

必ずしも理想通りの戦いではなかった。前半は浦和のボール回しに圧倒され、一方的に押し込まれる展開が続いた。

しかし、高い集中力を発揮して浦和の攻撃に耐え、相手のミスで手に入れた立ち上がりの1点を守ると、後半は徐々に自分たちのリズムで戦える時間を増やし、終盤にダメ押しの1点を奪って勝利。それは、まさに狙い通りの展開だった。長谷部茂利監督は「我々らしい戦いができた。よくできた試合。選手たちはよくやってくれた」と試合を振り返る。

「堅守速攻」のイメージで語られることが多い福岡だが、実際の理想はそこにはない。攻守どちらに偏ることなく、攻撃も、守備も100パーセント。攻守にわたってアグレッシブに戦うことを目指す。

守備はゴールを守るためではなく、ゴールを挙げるために相手からボールを奪うためのもの。奪った瞬間に攻守を鋭く切り替えて、その状況の中で最も早くゴール前に運べる方法を選択する。実際にこれまで奪ったゴールに手数が多くかかったものは少ない。

ただ自分たちの理想通りのサッカーができる時間帯もあれば、相手の時間帯もあるのがサッカーというスポーツ。現時点で言えば、相手にボールを握られる時間帯が多く、浦和戦で言えば、ボールを握る、ボールを動かすという点では浦和が上回っていたことは事実としてある。

だが、そういった時間帯にどのように対応するのか。そこに現時点での福岡の好調の要因が隠されている。
理想のサッカーを語ると同時に、長谷部監督がしばしば口にするのは「現時点での最大出力を出す」という言葉だ。上手くいかない時間帯に理想とするやり方に執着しすぎたり、普段とは違ったやり方で耐えるのではなく、自分たちが持っている力をどういう形で発揮すれば凌げるのか。そこに注力する。

スカウティング。コーチによる状況分析。選手同士の話し合い。監督からの指示。そういったものをひとつに合わせて、今やるべきことを徹底する。

それは攻撃にもつながる考え方でもある。個の能力に頼るのではなく、チームとして戦うスタイルの福岡では、それぞれのポジションに役割と責任があり、それは細部にわたっている。
しかし、やり方に選手を縛ることはしない。長谷部監督が個々の選手に求めるのは自分の特長を発揮すること。「特長を発揮してくれることがチームのためになる。そういう選手が集まってくれている」と話す。

例えば、守備が得意ではなかった選手が長谷部監督の下で守備が得意になることは多い。それは守備をやらせているのではなく、自分の特長をどのように活かせば守備が得意になるのかを示しているから。攻撃に特長のある選手が、その特長をさらに発揮するのは当然のこととも言える。

そうして日々成長を続けるチームには、ひとつの明確な特長がある。ここまでルヴァンカップを含めて16試合を戦ったが、そのほとんどの試合で、飲水タイム、ハーフタイムを挟んで劣勢の展開を自分たちの戦いに持ち込み、後半は互角の戦いを演じている。

それは数字にも表われており、リーグ戦の総得点16の内、実に13点が後半に生まれ、敗れた試合でも必ず点を取り返している。

その繰り返しの中で、選手たちは確実に自信をつけ、チームは一歩ずつ成長を遂げている。「良い方向に、良い方向に回っていると思う。今日のゲーム(浦和戦)だけではなく、全般的にそういうところは少しずつ芽が出て成長している」とは長谷部監督。そして次のように続けた。
「川崎フロンターレさんのように、いつも勝てるというチームではないが、そういうところを目指していきたい。そういう場所に選手たちと一緒に行きたい。遥か彼方だが、自分たちのやるべきことを一歩ずつ踏みしめて階段を上っていきたい」

理想とする姿はまだまだ先。現状に満足することなく、その場所に向かって福岡は走り続ける。

取材・文●中倉一志(フリーライター)

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