窓辺の小石 第89回 メトセラのパターン

窓辺の小石 第89回 メトセラのパターン

  • マイナビニュース
  • 更新日:2022/11/25
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コンピュータやそれに使われる商業オペレーティングシステムには「寿命」がある。ソフトウェアとしては「死ぬ」ことはないが、ハードウェアの製造が終われば、その上でしか動かないオペレーティングシステムは終わる。こうして多くのオペレーティングシステムが寿命を迎えた。

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最近では、サポート作業の肥大化、長期化を避けるために出荷から一定期間が経過すると、開発元によるサポートが終了する。オペレーティングシステムが寿命を迎えれば、そのハードウェアにも寿命がくる。プラットフォームとしてオペレーティングシステムとハードウェアが強く結びつけばつくほど、命運を共にしやすい。

Windowsには、予め寿命が定められている。Windows 10に関しては、すでに2025年10月14日というサポート終了日が公開されていて、マイナーバージョンには、18カ月(または30カ月)の寿命がある。いまのところWindows 11に関しては、サポート終了日は定義されていないが、毎年予定されているマイナーアップデートに関しては、24カ月という寿命が定められている。

Windowsの寿命は、以下のサイトで調べることができる。

・製品およびサービスのライフサイクル情報の検索
https://learn.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/products/

Windows 10、11では、対象プロセッサが明確にリスト化された。Windows 11は、対象外のプロセッサにもインストールが可能であること、Windows 10からのアップグレードが無料であることなどから、寿命はあいまいだ。今後条件が厳しくなると、他のオペレーティングシステムのように、ハードウェアと稼働できるオペレーティングシステムの関係が固定されるのではないかと考えられる。

Chromebookの場合、寿命はAUE(Auto Update Expiration。自動更新期限)か決定する。簡単にいうと、どのChromebookもアップデートを受けとれる期限が定まっている。Chromebookの「設定 ⇒ ChromeOSについて ⇒ 詳細 ⇒ 更新スケジュール」でAUEを見ることができる(写真01)。

ただし、この寿命はハードウェアの寿命ではなく、正確にはChromeOSのイメージの配布期間である。同じイメージを利用する製品は、発売時期にかかわらず、最初のイメージの出荷日時でAUEが決まる。AUEの上限は発売時期によって3年、6年などと異なるが、2020年以降に配布が開始されたChromeOSイメージは最長8年となった。しかし、最新機種であっても前世代機種と同じイメージを利用していると、そのAUEが適用されてしまう。今年発売されたChromebookでも、2030年ぐらいまでAUEのあるものもあれば、2026年となっているものがある。ただし、過去にGoogleは、特定のハードウェアに関してAUEを延長したことがある。

以下のページにあるデバイスの一覧が、現在Googleが配布しているChromeOSイメージの一覧である。ここにある表の“release”がイメージの配布開始日時を示し、“EOL/AUE”の欄にあるリンクでAUEの一覧ページを開くことができる。“Code Name”欄が配布されるイメージのIDである。このIDは、Chromebookの「設定 ⇒ ChromeOSについて ⇒ 詳細 ⇒ ビルドの詳細」で開くブラウザのページにある「カスタムID」に対応する。

・Developer Information for Chrome OS Devices
https://www.chromium.org/chromium-os/developer-information-for-chrome-os-devices/

アンドロイドの寿命も、アップデートの配信期間で決まる。ただし、寿命を決めているのは、メーカーであり、一律に発売後、何カ月と決まるわけではない。また、サポート期間を明言していないメーカーもあり、気がつくとアップデートが止まっていたこともある(写真02)。ただし、いくつかのメーカー、機種では、アップデートの配布期間を明言しているものがある。Pixelシリーズの最近のものではアップデート期間が3年とされているようだ。そのほか、“Android One”というブランドを使う機種では、2年間のアップデート、3年間のセキュリティパッチ配布が明言されている。アンドロイドの場合、長くて3年前後というのが1つの目安になる。

Chromebookやアンドロイドの寿命に対して、そのカーネルとして使われているLinuxの寿命は長そうだ。開発プロジェクトも活発で、今のところ、寿命を感じさせる要素はない。さまざまなハードウェア・アーキテクチャ上で動作するため、特定のプラットフォームが廃れたとしても命運を共にするわけでもない。UNIXなどを見るに、商業オペレーティングシステムだからといって長寿ではないとも言い切れない。UNIXは1971年に登場した世界初の移植可能なオペレーティングシステムである。UNIX以前、オペレーティングシステムは、ハードウェア・アーキテクチャ固有のソフトウェアだと考えられていた。やはり、さまざまなプラットフォームに対応することが肝要なのだろう。

メトセラとは聖書登場する長寿の人物。Conwayのライフゲームで単純なパターンなのに長い間動き続けるrペントミノのようなパターンをメトセラ(長寿型)と呼ぶ。メトセラといえば思い出すのがロバート・A・ハインラインの「メトセラの子ら」(Methuselah's Children)。今回のタイトルは、この2つを元にした。

塩田紳二

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