ケインは素晴らしいキャプテンで、見上げた男でもある

ケインは素晴らしいキャプテンで、見上げた男でもある

  • J SPORTS|コラム(サッカー フットサル)
  • 更新日:2023/01/25

わずか3か月で3人もの友人・知人を失えば、だれだって動揺する。

昨年10月5日、トッテナムのフィットネスコーチを務めていたジャンピエロ・ベントローネ氏が白血病で亡くなった。享年61歳。12月16日には左足のFKで一世を風靡したシニサ・ミハイロビッチ氏が同じ病により53歳で早逝し、今年1月6日、イタリア代表やユベントス、チェルシーなどで大活躍したジャンルカ・ヴィアリ氏が、すい臓がんのために58年の生涯を終えた。

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彼らと親しかったトッテナムのアントニオ・コンテ監督は、同年代の早すぎる死に憔悴しているという。

たしかに、近ごろはコンテらしくなかった。テクニカルエリアを激しく動きまわり、敵将やアシスタント・レフェリー、第四審判にまで食ってかかっていた前のめりの姿勢が消え、静かに戦況を見守るだけ……。闘将の面影はどこにもない。

こうしたシーンの連続が、イングランドメディアのあらぬ想像をかきたてた。

「ダニエル・リーヴィー会長との権力争いに疲れきってしまった」
「モチベーションがまったく感じられない」
「6月30日で切れる現行の契約を更新するそぶりすらない」

コンテは今シーズン限りで退団する、という流れができあがった。

同世代の友人・知人が相次いで天に召された場合、だれもがみずからのキャリアを見つめ直したくなる。

コンテも家族が住むイタリアにできるだけ早く帰り、コメンテイターとしてフットボールに関わっていく。もしくは監督業を続けるとしてもセリエA 限定。家族との時間を最優先する、と考えはじめていたとしても不思議ではない。

ただ、サポーターには不安が募る。現地時間1月15日のアーセナル戦で0-2、4日後のマンチェスター・シティ戦は2-4。レベルの違いをまざまざと見せつけられた。

21試合を消化した時点で許したゴールはリーグワースト6位の31。最少失点のニューカッスルより20点も多い。守備を重んじるコンテのチームが、だ。

攻撃もハリー・ケインへの依存がますます大きくなり、23ゴールで昨シーズンの得点王に輝いたソン・フンミンはわずか4ゴール。ライアン・セセニョンは懸案のフィジカルが、いつまで経っても強くならない。

また、スポーツディレクターのファビオ・パラーティチが、イタリアサッカー連盟から処罰された。ユベントスに所属していた当時に深く不正会計に関与していたとして、30か月の職務停止。この決定がイングランドでも適用されるとしたら、強化プランは根本から覆される。

したがって最悪の場合、監督とディレクターが揃って退団する事態を引き起こしかねない。

それでも、ケインだけは前を向いている、ネガティヴな噂が連続するいま、契約更新に向けて前向きな姿勢を明らかにした。

さらに、「近しい方々が3人も亡くなったというのに、監督は情熱を注ぎ、相談にも乗ってくれる。いまこそわれわれは監督のために闘い、ハードワークしなければならない」とまで語っている。

素晴らしいキャプテン! 見上げた男! 幼いころから夢見ていた「トッテナムで必ず栄光をつかむ」は、30歳を間近に控えたいまも揺るぎない。

さぁ、次はリーヴィー、あなたの番だ。会長として、クラブが抱える問題の対処法を鮮明にする必要がある。サポーターはなにを求めているのか、ケインの発言でも十分にわかるはずだ。

文:粕谷秀樹

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