義母の日記帳、同居嫁のSNS

義母の日記帳、同居嫁のSNS

  • CHANTO
  • 更新日:2021/04/07
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三世代同居生活を続けていくと、どうしても溜まる家族への愚痴。嫁姑の間はもちろんのこと、我が家のように一つ屋根の下に6人家族で暮らしていれば、お互いへの愚痴は溜まっていくばかりです。胸に収めきれないちょっとしたモヤモヤ、同居嫁と義母はどう解消しているかというと…?

義母の日記は閻魔帳?

義母は、ここ数十年というもの、なんと毎日欠かさず日記をつけ続けています。

手帳に毎日数行ほど、その日にあったことを書き留める程度ですが、三日坊主で日記も家計簿も長く続いた試しのない私からすると、お世辞抜きで尊敬してしまいます。

義母自身もやはり自慢に思っているらしく、家族の誕生日や記念日など節目の日にはよく自分の過去の日記帳を取り出してきて、〇年前の今日はこんなことがあった、×年前のあの日はあんなことがあった…と教えてくれます。

忘れがちな日常の一コマを記録できるなんて素晴らしい…とは思うのですが、そこは一筋縄ではいかない我が家の義母。日記の内容が問題なのです。

「一昨年の今日は、サカヱさんが体調不良で寝込んだから私が三食作ってたんですって!」

「その前の週はサカヱさんが遊びに行って居なかったから私が晩御飯にハンバーグを作ったんですって!」

「去年の私たちの結婚記念日は、おじいちゃんがケーキを作ってくれて、息子がお花を買ってくれて、夕飯(私の担当)はいつも通りですって!」

待って。待ってくださいよ、何だその同居嫁の悪行(?)を事細かに記録している閻魔帳は。

いや、書いてること自体は全然かまわないんですよ?誰だってちょっとした日頃の愚痴を吐き出す対象は必要だし、私自身、非の打ち所がない完璧な主婦だなんてまったく思っておりませんよ。そりゃ義母の立場からすれば、私にいろいろ言いたいこともあるでしょう。

しかし、しかしですよ。

普通、そういう愚痴めいた記録って本人の前で読み上げたりはしなくないですか?私の立場を無邪気にゴリゴリ削り取るのやめてもらえませんかね?

こういうあっけらかんとした悪気の無さが、根っから天真爛漫な義母らしい、といえばらしいのですが…

閻魔帳、都合の悪いことは書かれない

ある日、いつものように義母が日記を開き、

「〇年の今頃はサカヱさんがインフルエンザで寝込んでて、私が全部ご飯作ってたんですって!」と言ったとき、ふとその頃の記憶が蘇ってきました。

「その前に確か、お義母さんもインフルに罹ってませんでしたっけ…?」

そう、普段元気印の義母には珍しく、その年は真っ先にインフルエンザに罹患して数日寝込み、その後私が(おそらく)義母からうつされる形で同じインフルA型にかかって寝込んだのです。

別に恨んでいるわけではありませんが、私が倒れる前、数日間は義母も自室で隔離されており、その間、私が義母にせっせと三度の食事や飲み物を運んだり、病院に送迎していたはずなのです。

私に言われて日記帳のページをめくった義母は、

「ああ、確かに私も寝込んでたみたいね。部屋に籠って退屈だって書いてあるわ」

…いや、自分が世話されたことはスルーなのかよ!

思わず心の中で前のめりに突っ込んでしまいました。さすが義母。

吐き出す先が違うだけ?義母の日記と嫁のSNS

そんな、あくまで自分目線の義母の日記に苦笑することも多い私ですが、それでは私はどこで義母をはじめ同居生活のうっぷんを吐き出しているかというと、TwitterをメインとしたSNSです。

もちろん実名は明かしていないから、読んでいる方は私たちがどこの誰だかわからないわけですが、同居生活の愚痴を面白おかしく全世界に向けて発信していることを考えると、むしろ私の方がタチが悪いかもしれません。

自分だけの日記帳であれ、オープンなSNSであれ、自分の気持ちを文字にして記録するという行為は、やりどころのないうっぷんを少しずつ整理する効能があります。

私の場合はとくに、日ごろの愚痴をたくさんの人に笑ったり共感してもらったりすることで、ともすれば落ち込みがちな気持ちを何とか上向きに軌道修正できていると思うのです。

もちろん私には、とても義母のように、自分の書き込みを義母に読んで聞かせる勇気はありまえせんが…。

自分の気持ちを吐き出せるすべがあるというのは、義母にとっても私にとっても良いことには違いありません。これからも末永く日記を書き続けて欲しい…そしてできれば私の前で読み上げるのはやめてほしい…と思う同居嫁です。

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文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ

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