【静岡知事選】川勝、岩井両氏にアンケート リニア、経済、医療の考えは...

  • 産経ニュース
  • 更新日:2021/06/10

3日告示された静岡県知事選をめぐり、産経新聞静岡支局は、20日の投開票に向けて立候補したともに無所属で、現職の川勝平太氏(72)と、新人の元参院議員、岩井茂樹氏(53)=自民推薦=の2氏に対し、12項目のアンケートを行った。その回答を紹介する。(可能な限り原文を尊重しながら同程度の分量としています)

【問1 知事候補者の資質として他候補より優れていると考える点は】

川勝氏=12年間の静岡県政の実績。この間、貫いてきた独自のスタイルがあります。第1に「身に私を構えず」を信条に、公益を常に最優先し、県民の幸福の最大化を心がけてきたこと。第2に、自ら現場に出て(3000回以上)、現場の声を聞き、徹底調査の上で政策を決める「現場主義」を堅持していること。第3に、就任当日から知事室のドアは常に開け、広く意見を聞き、「万機公論に決す」民主主義の原理を貫いてきたこと。

岩井氏=端的に申し上げれば、

・変わる。シズオカの未来

・「日本一住みやすい静岡県!」実現へ

・政治は子どもたちのため

・「対話」と「連携」

以上を確実にやり遂げる信念と実行力。

【問2 政策面での他候補との最大の違いは】

川勝氏=最大の違いは特定の組織・党派・団体に属していないこと。既得権益などに縛られず、公平に県民の幸福をめざせるのが強み。具体的には、リニア問題で他候補が唐突に地域住民へのへつらいを口にして大きなブレを見せたのと異なり、筋を通すことなど。利権に厳しく、正義感が強いのも小生の年来の気質。他候補は国とのパイプを強調しますが依存体質につながりかねません。補足すれば「稼ぐ力」を強調しすぎると下品です。

岩井氏=コロナ禍を乗り越えるため全力を挙げたい。感染拡大防止、ワクチンの速やかな接種実現のためマンパワーをはじめとした「医療資源の増強策」「限られた医療資源の平準化」などとともに、医療崩壊を防ぐための対策を講じる。

コロナ禍以前から静岡県の最大の課題は人口減少。人口減少を防ぐことにより地方を元気にする戦略が地方創生。当時、内閣府の政務官を務め、立ち上げの仕事に関わった。

【問3 直近12年の静岡県政をどう評価するか。改善点があればどのような点か】

川勝氏=評価は県民、後世に委ねる。ただ県民のためになったことを挙げれば、①小・中学校35人以下学級を国に先駆け実現、②市町の協力を得て幼児から高校生世代までの医療費無料を実現、③「住んでよし・訪れてよし」を実現(昨年の移住希望地全国1位)、④富士山世界文化遺産、静岡の茶草場(ちゃぐさば)農法世界農業遺産が認定された平成25年からの丸8年で「世界クラスの地域資源・人材」を96件にし本県の魅力を向上させた、など。

岩井氏=課題が数ある中で、県の人口減少は歯止めがかからず、若い世代を中心に、転出超過の傾向が続いている。人口減少問題に対処し局面転換を図っていく。

・「命を守る」防災・減災、医療の充実による安全安心の確保

・「教育の充実」ふるさと静岡愛を醸成

・「静岡の稼ぐ力の復活」若者、女性が働きたい仕事の創出

【問4 現状の県と市町、県議会、国などとの関係・連携をどのようにみるか】

川勝氏=市町とは、地域サミットや個別の面談などを通じ、現場の実情を直接聞き、その意見を踏まえ県政を推進してきました。

県議会とは、各会派から予算編成や災害発生時などで頂く意見を踏まえ、予算を作成して施策を推進し、予算が否決されたことはありません。

国とは、要望・提案を毎年度、行い、インフラ整備が滞ったことはなく、重要な多くの事業の支援を獲得しています。

岩井氏=政治を行うにあたっては、共有、対話、感謝、心遣いなどが必要であり、大切だと思っている。なぜなら、何をやるのでも、静岡県だけでできる、完結する話などないと思う。大きな事業は国が政策を打ち、至らないところをしっかりと県が補完する。県が施策を打ち、至らないところは市町としっかり連携しながら施策を打つ。本県はそれが不足していると感じる。

【問5 全国の知事の平均年齢は61歳。地域のリーダーの年齢、多選をどう考えるか】

川勝氏=本県の県民の健康寿命は世界トップクラス。体力は個人差がありますが、小生は72歳で、(県独自の人生区分では)「壮年熟期」で人生の稔(みのり)の秋であり、体力・気力も充実しています。

一般的に新陳代謝は盛んなほうがよいのですが、現在のように国難の危機に直面している最中でのトップの交代は現場に混乱を生みます。継続することが危機を乗り切る力になります。

岩井氏=政治という激務をこなすためには相応の体力が必要であるが、私自身が53歳であり、これまでの国政でも十分に責務を果たしてきたし、まだこの先20年は十分に耐えられると考えている。多選については、長期政権になれば、どなたがなられても組織の硬直化は避けて通れない。ましてや、コロナによる社会情勢の変化には新たな発想と指導力の革新が必要と考える。

【問6 新型コロナウイルスで選挙活動に制約がある中、どのように県民に訴えるか】

川勝氏=感染症対策は2本の柱(検査充実とワクチン接種)を基本に実施中で、感染症対策が最優先。唐突な政府方針(65歳以上の7月末接種完了)を受け、市町の支援に自ら乗り出し、全首長と意見交換・情報共有しながら市町の希望を全てかなえる作業をしています。一方、有権者に政策を訴えるため、感染対策をしっかりとった県民各位の主催する公開討論会や集会には参加するほか、WEB上での意見交換やSNSも活用します。

岩井氏=基本的に自民党は地域政党として日頃より県内各地の支部と密接に連携を図っており、これまでのネットワークを生かした選挙活動を行う。感染予防策に心掛けつつも、期間中、多くの有権者に直接声を届ける必要があるため、十分に場所、時間や人数などに配慮した選挙活動になる。同時に若者や女性に県政について関心を持ってもらいたいのでSNSを通じ双方向の意見交換や動画系サイトを利用した情報発信を行いたい。

【問7 感染症対策としてどのような政策に重点を置き、展開するか】

川勝氏=希望するすべての県民にワクチン接種をすることが第一の政策課題。①全35市町と意見交換・情報共有②65歳以上の7月末接種完了を念頭に集団接種会場の設置・運営③ワクチンチーム派遣④接種を行う医療従事者への協力金支給、入床病院確保、転院者・自宅療養者の療養体制の強化⑤8月以降の64歳以下への接種円滑化のため市町と協力しガイドライン作成⑥マスク着用、手指消毒、〝密〟回避等の一人一人の感染防止策の徹底

岩井氏=短期的には迅速かつ広範な検査体制と、感染を封じ込めワクチン接種完了まで拡大のピークを抑えるため、知事のイニシアティブで円滑な接種体制を構築する。長期的には医療従事者数を増やして必要な医療体制を守り、県民の健康を守るため、平時は医師や医療スタッフの育成センターとして人材育成の機能を、有事には専門病院として感染症や自然災害時にも機能する、国県連携による専門病院の機能を持った施設をつくる。

【問8 リニア中央新幹線建設計画に対する考えは】

川勝氏=トンネル工事から「命の水」「南アルプスの自然環境」を守ることです。JR東海の社長は(流出する水の大井川への)全量戻しの約束を反故(ほご)にしました。国土交通省は有識者会議における「全面公開」の約束を無視しています。JRの代替案「トンネル完成後に水を溜めて20年以上かけて戻す」には多くの問題点があります。問題点や不安が解消されないかぎり、工事は避けるべきです。

岩井氏=大前提は「(トンネル工事で流量が減少すると試算された大井川の)流域の皆さんの理解と協力、科学的検証と技術的担保が得られない限り、工事の着工は絶対に認められない」という姿勢で臨む。流域の不安に寄り添う解決策を国やJRに強い姿勢で求めていく。水問題は流域全体での水利用の最適化を考えるべきである。国、県、関係市町、JR、利水者からなる円卓会議を提案し「信頼」を醸成して進めていく。

【問9 新型コロナで疲弊した地域経済の回復策、雇用対策は】

川勝氏=当面の活性化策は、①飲食店・宿泊施設等への感染防止対策を支援(補正予算の執行)②「ふじのくに安全・安心認証」で安全安心な施設利用が進む環境の整備。

今後4年間の活性化策は、新経済政策「フジノミクス」(「バイ・シズオカ」「バイ・ふじのくに」「バイ・山の」)で個人消費を喚起(例えば山梨県と相互の物産販売・観光交流を構築)し、新たな広域経済圏の構築、など。

岩井氏=静岡に若い世代を呼び込み、活力を取り戻すチャンス。働く世代にテレワークやサテライトオフィス誘致による新しいライフスタイルの提供。AIやIoTなどを活用したDX(デジタル技術を用いた業務変革)により、静岡が築き上げてきたものづくり産業を深化させ、新たなイノベーション創出による成長産業への転換を図る。その象徴である(裾野市のトヨタの)ウーブン・シティと連携した未来都市づくりに県も参画する。

【問10 静岡県は全国的にも医師不足が顕著だが、医療の充実に向けた対策は】

川勝氏=県内における医師偏在が課題。地域の実情に応じ、効果的な配置を図っています。看護職員の養成も関係団体の協力により進めています。医療従事者は「ふじのくにバーチャルメディカルカレッジ」(本庶佑学長)の展開が奏功し、県内勤務者が平成22年の18人から今年は578人に大幅増加。医系大学の地域枠設置数は全国1位です。健康寿命延伸へ県立社会健康医学大学院大学を4月に開校。総合医科系大学院大学に育てます。

岩井氏=現在の医師不足は、「医療費亡国論」に基づく国の政策の失敗が原因であり、その方針転換を国に求めたい。また、県内に感染症や災害時の対応と人材育成の機能を兼ね備えた国と県の連携による医療施設を作りたい。ただ、医師育成には時間がかかるので、知事がトップセールスで医師確保に動き回ることが、現時点では最も重要と考える。

【問11 東日本大震災から10年。地震や津波への備えなど県内の防災をどう進めるか】

川勝氏=地震・津波対策は地域ごとに住民と徹底的議論を行い、地域の特性に応じた対策「静岡方式」を展開中。南海トラフ地震の被害を低減する「地震・津波アクションプログラム」を推進し、想定犠牲者約10万5000人を令和元年度末までに3万3000人に約7割減少させた。最終的にゼロを目指す。風水害・土砂災害は河川内掘削などのハード対策と、住民がいつ、何をするのかを時系列で整理した「マイ・タイムライン」作成を支援。

岩井氏=防災は私の専門分野。南海トラフ巨大地震を想定した津波対策では、これからは単に堤防を造るにとどまらず、津波を「受け流す」ことも含め、まちづくりの観点からも防災・減災に取り組むことが重要。遅れている民間建築物の耐震化を進め、津波対策については国が進める「流域治水」の考え方も参考に、ソフトとハードのバランスのとれた整備を進める。

【問12 人口減少・少子高齢化の対策でどんな点に力を入れるか】

川勝氏=「住んでよし、訪れてよし」の静岡県を目指してきました。雇用、安全安心な県土、自然・文化等の魅力などを発信し、移住をうながしています。取り組みの効果で、本県は昨年の移住希望地ランキングで1位。新型コロナ禍の令和2年度の移住者数は1398人、移住相談件数も1万1604件で、いずれも過去最高。移住者のうち20~40代の子育て世代が8割強。

岩井氏=人口減少や少子高齢化の傾向そのものは続くと思うが、人口の社会減、特に若者の流出を食い止める必要がある。そのためには、防災・防疫施策を充実し「安全・安心の確保」を行い、地元愛にあふれた風土づくり「静岡愛の醸成」に努め、製造業・農林水産業・観光業など潜在成長力のある産業を伸ばすことで「稼ぐ力の復活」を図り、豊かさと雇用に結びつける必要がある。

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