
労働時間とは?
労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことをいいます。そのため、指示があれば、すぐに仕事に取りかかれるように待機している時間も労働時間に含まれるのです。ちなみに、この時間のことを「手待ち時間」といいます。例えば、飲食店では客がいないときも接客スタッフは店内におり、客がきたらすぐに接客できる状態です。この場合、実際に接客していなくても、手待ち時間であると見なされ、労働時間に含まれるのです。以上を踏まえて考えると、タバコ休憩の場合、労働時間に含まれるケースと含まれないケースがあることがわかります。北大阪労働基準監督署長事件(大阪高判平21・8・25)の判例では、店内で喫煙していて、仕事の指示があればすぐに対応できる状態であったため、労働時間と見なされました。一方、泉レストラン事件(東京地判平26・8・26)の判例では、仕事場と喫煙場所が離れていて、往復するのに相当の時間がかかるため、仕事の指示があればすぐに対応できる状態ではありませんでした。そのため、タバコ休憩は労働時間とは見なされなかったのです。労働時間と見なされない場合、給与からたばこ休憩分の賃金は差し引かれることになります。例に挙げたタバコ休憩をする職場の人の場合、仕事の指示があればすぐに対応できる状態かどうかによって、給与から差し引かれるかどうかが分かれるでしょう。
臭いが気になる場合は?
タバコの臭いが気になる場合、本人に注意するという方法があります。しかし、注意することで職場の人間関係が悪くなるかもしれません。タバコを吸う人との関係性によっては、直接の注意は避けたほうがよいでしょう。自分自身でできる対策としては、卓上型の空気洗浄機や無香の消臭剤といった「消臭グッズ」をデスクに置いておくという方法があります。また、消臭・脱臭効果の高い「活性炭入りのマスク」をつけるといった方法もよいでしょう。このほか、上司や人事・総務に相談するといった方法もあります。昨今、企業は「スメルハラスメント(略してスメハラ)」に敏感です。スメハラとはタバコや香水、柔軟剤の臭いなどで周囲に不快感を与えるハラスメントを意味する言葉です。タバコの臭いに悩んでいることを相談すれば、何らかの対処をしてもらえる可能性があるでしょう。
タバコ休憩=労働時間と見なされるかはケースバイケース
タバコ休憩分の賃金が給与から引かれるかどうかは、仕事の指示があればすぐに対応できる状態かどうかがカギになります。タバコの臭いが気になる場合は「卓上型の空気洗浄機や無香の消臭剤といった消臭グッズをデスクに置いておく」「消臭・脱臭効果の高い活性炭入りのマスクをつける」「上司や人事・総務に相談する」といった方法があります。タバコの臭いから身を守るようにしましょう。
出典
厚生労働省 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン厚生労働省 岡山労働局 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン執筆者:FINANCIAL FIELD編集部ファイナンシャルプランナー
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部