【F1分析】リカルドはF1イタリアGPに勝つべくして勝った? データから見える”絶妙な戦略”の兆しと速さ

【F1分析】リカルドはF1イタリアGPに勝つべくして勝った? データから見える”絶妙な戦略”の兆しと速さ

  • motorsport.com 日本版
  • 更新日:2021/09/15
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F1イタリアGPは、マクラーレンのダニエル・リカルドが優勝、ランド・ノリスが2位に入り、マクラーレンが1-2フィニッシュを達成した。この結果は、大番狂わせなのだろうか? レース中の数値を分析して見ると、リカルドには勝つべくして勝つだけの速さがあり、そしてチームの絶妙な判断が行われた可能性が見え隠れする。

メルセデスとレッドブルが圧倒的な強さを見せる今シーズンの中で、このマクラーレンの1-2は、大いなる番狂わせのように見える。実際、タイトルを争うふたりのトップドライバー、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とルイス・ハミルトン(メルセデス)はコース上でクラッシュし、揃って姿を消している。

しかしリカルドはこう語り、今回のレースは勝つべくして勝ったと示唆している。

「ピットストップを終え、先頭でコースに戻ることができた時、『大丈夫。今日は僕らのモノだ』と思えるようになった。何か不幸なことが起きない限り、本当にこのレースに勝つことができると思ったんだ」

今回、リカルドは本当に勝つべくして勝ったのだろうか? 当時のラップタイムやデータを見て、検証してみよう。

リカルドは2番グリッドからスタート、抜群の蹴り出しを見せてポールポジションのフェルスタッペンよりも前に出て、そこからレースをリードした。そして22周目を走り切ったところでピットインし、ハードタイヤに交換した。これは2番手を走るフェルスタッペンよりも早いタイミングでのピットストップだった。

この1周前、21周目を走り終えたところでのリカルドとフェルスタッペンの差は1.434秒。本来ならばフェルスタッペンが先にピットに入り、新しいタイヤでペースを上げてその差を縮めるいわゆる”アンダーカット”を狙いたかったはずだ。しかしリカルドが先に動き、フェルスタッペンのアンダーカットを封じた。

そのためフェルスタッペンは、リカルドがピットに入った後に飛ばしに飛ばし、いわゆるオーバーカットを狙うしかなくなった。ただフェルスタッペンは、リカルドの1周後にピットインしたものの、タイヤ交換で大きくタイムロス。オーバーカットするどころか、ポジションを落とすことになった。

ただこのタイムロスがなかったとしても、フェルスタッペンがリカルドの前に出るのは難しかっただろうと思われる。

ピットストップは、リカルドが2.4秒で終えたのに対し、フェルスタッペンは11.1秒かかった。つまりフェルスタッペンは、ここで8.7秒タイムを失っているということになる。

また、ふたりがピットストップをした前後、22周目から24周目のラップタイムを合計してみると、リカルド(22周目にピットイン)が283.639秒なのに対し、フェルスタッペン(23周目にピットイン)は292.719秒かかっている。この3周に限っては、フェルスタッペンの方が9.08秒遅いということになる。つまりピットでのミスがなかったとしても、フェルスタッペンの方が0.3秒遅かった……むしろ差が縮まるどころか、計算上は差が開いていたということになる。

フェルスタッペンはリカルドがピットに入った際にチームから「プッシュしろ」との指示を受けたが、「タイヤがダメだ!」と言い返すシーンがあった。そういう意味でも、今回のレースでオーバーカットを成功させるのは、例えマシンパフォーマンスが圧倒的なレッドブルやメルセデスにとっても、難しかったのだと思える。

しかしトップスピードが伸びるマクラーレンをコース上で抜くのは難しい……フェルスタッペンが勝つためには、アンダーカットするしかなかった。ただ前述のようにマクラーレンに先にピットストップされてしまったわけだが、このタイミングはレッドブルにとっては意外なことであり、さらに動けないタイミングだったかもしれない。

コース上のポジションを見てみると、リカルドはピットアウトした後、まだコース上を走り続けていたカルロス・サインツJr.(フェラーリ)の真後ろに入っている。逆にサインツJr.の前には、マシンの走っていない”スペース”があった……タイムをロスしないためには本来ならばここに戻りたかったはずで、もう1〜2周ピットストップのタイミングを遅らせることができれば、ここに入ることができたかもしれない。ただ、リカルドがピットに入ったことで、勝つためにはフェルスタッペンも1周遅れでピットストップをしなければならない状態になった。

フェルスタッペンとしては、もしサインツJr.に引っかかってしまい、その間に後を走る1台がペースを上げてポジションを逆転されてしまったら、それこそ大惨事……つまりハミルトンのことを考えれば、サインツJr.の後ろに引っかかることは是が非でも避けたかったはずだ。

つまりリカルドのピットインしたタイミングは、フェルスタッペンとしては動きたくても動きにくい、絶妙なタイミングだったのではないだろうか。そう考えれば、マクラーレンは見事な作戦を立案し、さらにそれを実現するための速さを兼ね備えていた……今回のマクラーレンは、まさに勝つべくして勝ったと言うことができるかもしれない。

Motorsport Network.

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