中学受験するなら、塾は小学何年生から通うべきか

中学受験するなら、塾は小学何年生から通うべきか

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/02/23
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中学受験生の大半が進学塾に通って、入試に向けた準備をおこなう。どのような種類の中学受験塾が存在しているのか、わが子に合った塾はどこにあるのか、悩む保護者はぜひ参考にしてほしい。
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塾に通い始めるタイミング

中学受験をするに当たって塾は欠かせない存在です。受験生の中には塾に一切通わずに中学入試に挑戦する子もいるかもしれませんが、せいぜい数百人に1人いるかいないか……。そんなところです。

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それでは、中学受験塾の果たす役割はどういうものがあるのでしょうか。大雑把に3点示します。

1.中学受験塾はサービス業、すなわち代行業であり、ライバルたちと競い合いながら子が学習に励むことのできる場を提供するとともに、保護者に代わって中学受験に向けた指導をおこない、子の成績向上に努める

2.保護者に子の学習状況を逐一報告するのはもちろんのこと、最新の中学受験情報を随時伝えていく

3.子の成績を冷静に分析するとともに、「受験校選定」に向けたアドバイスをおこなう

中学受験塾に通い始めるタイミングとして多いのは、小学校3年生から小学校4年生にかけてです。中でも小学校4年生から塾通いを始めるケースが一般的です。

では、小学校3~4年生から塾で学ばなくては中学入試に間に合わないのでしょうか。そうではありません。

多くの中学受験塾では「5年生」「6年生」の2年間をかけて、中学入試において出題される学習範囲を網羅できるようにカリキュラムを組んでいます。ですから、5年生からの中学受験勉強であってもカリキュラム上の支障はないのですね。

それにもかかわらず、なぜ3~4年生から塾通いをされる方が多いのでしょうか。

わたしが経営するスタジオキャンパスの授業回数・時間を例に挙げて説明しましょう。

【例・スタジオキャンパス・1週間の学年別授業回数と授業時間】
小3 週1回 授業時間・1時間20分(週)
小4 週2回 授業時間・4時間(週)
小5 週3回 授業時間・11時間20分(週)※その他、土曜日のオプション講座有り
小6 週3回 授業時間・12時間(週)※その他、土曜日・日曜日のオプション講座有り

これを見ると瞬時にお気づきになると思います。そうです。「小学校4年生」から「小学校5年生」に進級すると一気に授業時間が増えるのです。これはわたしの塾に限った話ではありません。

小学校5年生以前から塾に通うのは「助走」のため

小学校5年生から中学受験勉強をすることは進度面では問題ありませんが、塾が求める質量にしっかりとついていくためには、基本的な学習姿勢が身についていなければなりません。そうでないと塾での学習を吸収、消化することは難しいからです。

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つまり、小学校5年生以前から塾に通うのは、小学校5年生からの本格的な受験勉強に備えた「助走」をおこなうためなのです。

家に帰ってきたら、すぐにテキストを開いて復習をする……。来週の確認テストに備えて日々の計算練習や漢字練習を欠かさない……。分からないことがあれば恥ずかしがらずに質問する……。初めて目にする用語を辞書や図鑑で調べる……。小学校5年生以前は、受験勉強で必要不可欠なそういう基本姿勢を培うための期間なのです。

もし、お子さんが1人で淡々と学習を進めていける、加えて、好奇心も旺盛であり、自分から分からない問題や知識を積極的に調べて身に付ける姿勢があるならば、小学校5年生からの塾通いでも全く問題はないでしょう。

しかし、わが子を観察して、どうもそういう姿勢は培われていないようだ、と保護者が思われるようならば、小学校5年生以前から塾に子を託したほうがよいでしょう。

最近は小学校1年生、2年生から塾通いを始めるケース、いわゆる中学受験の早期化が進行しているように感じています。

塾は算盤(そろばん)やピアノ、習字やスイミングといった習い事と同列の存在、習い事の1つであるという位置づけで、保護者が熱くなって子に学習のあれこれについて無理を強いることがないならば、低学年からの塾通いはアリなのかもしれません。

が、塾が子の生活の「メイン」のようになってしまい、保護者が子の学習状況に対して一喜一憂、感情的になってしまう危険性があるのならば、早期の塾通いはやめたほうが無難です。小学校低学年のうちから「勉強嫌い」になってしまった子の「修復」は相当骨の折れるものです(本当に大変なのです)。

塾側の都合で言えば、売り上げを安定させるために早期から「塾生」を確保したいという思惑があるのでしょう。

「早期から塾に通うべきだ」という塾サイドからの営業トークに対し、保護者は用心深く耳を傾けて判断してほしいと考えます。

大手塾か、小規模塾か

わたしは自塾に問い合わせてきた保護者と面談をしている際に、次のような質問をよく受けます。

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「塾を検討していて、いろいろな塾を見て回っていますが、正直どこにしようか悩んでいます。中学受験は大手塾が安心だと聞くのですが、わが子が大勢の子どもたちの中での競争についていけるかが不安ですし、小規模の塾だと面倒見が良さそうな気がしますし……」

この保護者のお悩みは理解できますが、大手塾の見方についても小規模塾の見方についても、このように言い切ってしまうのは早計です。

大手塾は確かに「確立されたシステム」があるため、敷かれたレールに乗るだけで何とかなるのではないかと、つい期待してしまいますね。しかし、大切なのは、システム云々以前に、子がその塾を好きになり、自ら多くの知識をどんどん吸収していける環境なのかどうかということです。そういった子の主体性を引き出す講師に出会えるかどうか……極言すれば、それが塾選びの最重要ポイントです。

大手塾の短所はアルバイト講師に依存せざるを得ないところが多い点です。試しにネットで「塾講師 アルバイト 大学生」と検索してみてください。有名大手塾がずらりと並ぶはずです。もちろん、アルバイト講師ではあっても親身に指導をしてくれ、学力向上に導いてくれる人はたくさんいます。しかしながら、「この仕事で一生食べていく」という思いを持った正社員のほうが、「良い講師」である可能性は高いでしょう(あくまでも確率論ですが)。

また、何十、何百もの校舎を抱える大手塾は毎年の人事異動が付きものです。保護者のお気に入りであり、子の優れたメンターとなってくれる講師が翌年も担当してくれるとは限りません。

一方で小規模塾は面倒見が良い……そうとも言い切ることができません。確固たるシステムを有している大手塾と比較すると、「自転車操業的」に運営している塾がたくさんあります。

塾というのは実にお手軽に起業できる業種です。だって、「講師」がいて「部屋」があり「机や椅子」があって「黒板やホワイトボード」があれば、すぐに立ち上げることができますから。さらに、塾講師には免許すらありません。誰だってすぐに塾を起業できるのです。

わたしの塾には大小問わず多くの「他塾」から移ってくる子どもたちがいます。

「質問をしても全く答えてもらえなかった」「先生が解答を見ながら授業をしていた」「中学受験を希望しているのに、小学校準拠の教材しか扱わなかった」……こんな信じられない事例を何度か耳にしたことがありますが、その多くは個人塾をはじめとした規模の小さなところばかりです。

塾通いの決断は親の意志で

中学受験に向けた準備として塾通いを始めるタイミングは小学校4年生がもっとも一般的だと申し上げました。だからでしょう、小学校3年生にもなると、子どもたちの周囲では「○○ちゃんは○○塾に通うみたい」とか、「わたし、○○塾に行くから一緒に通おうよ」とか……そんな塾に関する話題でもちきりになるのです。

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とりわけ、中学受験熱の高い都心の小学校では、塾の話題は「お天気の話」のようにごく自然とされるものです。そして、仲の良い友人の影響を受けた子が「自分も塾に通って中学受験をしたい」と言い出すケースがしばしば見られます。

しかし、まだ小学校3年生。周囲に流されてそう口にしているだけであり、子の心に中学受験に向けた「確固たる意志」など存在しないでしょう。そもそも「中学受験」って何なのか? 「塾」ってどういう空間なのか? それすら全くイメージできない状態なのではありませんか。これは何もわが子に限った話ではなく、塾や中学受験の話題を振ってくる友人たちも似たり寄ったりでしょう。

このような理由で、中学受験に向けて塾通いさせるか否かは子どもではなく、保護者の意志で決断すべきだとわたしは考えます。

たとえば、子に中学受験の道を選択させるメリット・デメリットを夫婦間で考え、その上でどうすべきかを膝を交えてとことん話し合う時間を設けるべきでしょう。こちらの記事がその参考材料になるはずです。

もし、わが子を中学受験させるかどうか悩んでいて、どうにも決断できない状況であれば、思い切って試しに塾通いさせてみるのも手です。そして、しばらく「様子見」に徹してみてください。学ぶことが思いのほか好きだった、あるいは、特定の科目に拒否反応を示してしまった、など塾通いすることでそれまで保護者には見えなかったわが子の姿が顕然とするかもしれません。

日々子どもたちと接したり、保護者からご家庭や学校でのわが子のエピソードを聞いたりすると、子は場によってその顔を使い分けていることがよく分かります。家庭では甘えん坊で幼稚に見えても、塾ではしっかり者で通っているようなタイプの子もいます(その真逆のタイプの子もいます)。

一度、第三者にわが子を預けてみると、子の「多面性」を見出す機会にもなります。

ですから、塾に通わせてみて、このまま中学受験に向けた勉強を続けるか続けないかを時間をかけて見極めていくのもよいと考えます。どの中学受験塾も小学校5年生からが本格的な「受験勉強」のスタートです。言い換えれば、小学校4年生以前は「進退」を決められる比較的余裕のある時期だと言えるでしょう。

子が自らその塾を選んだように思わせることが大切

さて、大切な塾選びについてです。

まずは、保護者がわが子の通塾候補となる塾をいろいろと探してみてください。

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塾探しの材料としては、すでに塾通いしている保護者からの「口コミ」が大変参考になります。ただし、その話を鵜呑みにせず、保護者が直接塾に足を運び、その塾の教育方針、指導方法、教材やカリキュラムなどの説明を受けたり、その塾の雰囲気を感じてみたりした上で、(できれば複数の)良さそうだなと感じた塾の授業を子に受けさせるべきでしょう。

その際、留意したいこととしては、子ども自身に塾を選ばせること、いや、子が自らその塾を選んだように思わせることです。

もちろん、ここには保護者の意向を働かせるべきだと思いますので、「○○塾の先生たちってとても雰囲気が良かったね」とか「○○塾だと成績がぐんと伸びそうだね」などの「誘導」は多少あってもよいでしょう。

いずれにせよ、子が「わたし、○○塾に通いたい」と自ら発言するように導くことが大切です。

中学受験勉強は「山あり谷あり」です。塾に通い始めてから順風満帆に中学入試本番を迎えられるような子はほとんどいません。大半の子が「塾を辞めたいなあ」と言い出したり、勉強が思い通りに進まずスランプに陥ったりするものです。そんなときに、保護者が「あなたの意志で選んだ塾でしょ」とビシッと言える「証言」を最初に得ておくことが大切です。

ただし、大手塾の一部では「体験用の授業」を用意しているところがあります。

指導経験の豊富な講師が「見栄えの良い」授業を提供して、体験生たちに塾に入りたいと思わせる……でも、塾通いを始めたら、その講師には一切教われなかった、なんてこともあります。できれば、普段の授業を体験できるところがいいですよね。

大切なことなので繰り返しますが、塾選びのポイントは「どんな講師に習えるか」です。この点については大手塾も小規模塾も関係ありません。

続きは『わが子のためにこんな塾は選んではいけない! SAPIX、早稲アカ、日能、四谷大塚「四大塾」の特色』です!

▼『令和の中学受験 保護者のための参考書』はこちら!

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第一章:中学受験向きの子、不向きな子

第二章:志望校の選び方

第三章:中学受験という世界

第四章:中学受験期の親子関係

終章:令和の中学受験

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