連日秒殺、台湾で空前のブーム! カラーマスクの人気の秘密に迫る2

連日秒殺、台湾で空前のブーム! カラーマスクの人気の秘密に迫る2

  • CREA WEB
  • 更新日:2020/09/16

台湾でカラフルなサージカルマスクが大ブームになっている。

現地在住日本人ライターが、ブームを牽引するメーカー「CSD中衛」を直撃取材。生産のいきさつ、人気の秘密、そして今後の展望とは? 2回にわけてお届けします。

「カラーサージカルマスクに台湾が熱狂 火付け役メーカーに聞く誕生秘話①」

「CSD中衛」のカラーマスクが 超絶ヒット

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定番色だけで25種類ほどあるカラーサージカル。鮮やかな色味ほど人気が高いという。

コロナウイルス第二波の到来に備えるべく、マスク着用が義務づけられる場所が増え、街ゆく人々のマスク姿が再び見られるようになった台湾。しかし、その景色は以前と少し違って見える。

俄然、カラフルなのだ。しかも人々が着けているのは布マスクではない。不織布製のサージカルである。

台湾のマスクは、もともと水色または薄緑色が主流で、白色が大半を占める日本とは趣きが違うのだが、ここへきてマスクのポップ化が進んでいる。

それを象徴するシーンがある。

[建構臺🤝美供應鏈新模式] #Taiwan - #U .S. partnership could spur new supply chain: vice premier https://t.co/rwcVw3wQIE
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— Taiwan in the US (@TECRO_USA)
August 14, 2020
from Twitter

2020年8月10日(月)から、医療・衛生分野での交流強化のため、アメリカのアレックス・アザー保健福祉長官らが訪台。

滞在中に行われた専門家会議の席で、賴清德副総統、陳建仁前副総統、陳時中衛生部長(厚労大臣に相当)ら台湾勢は揃ってビビッドカラーのマスクを着用。全員が水色のアメリカ側とのユニークなコントラストを演出して見せた。

これはもう、サージカルマスクの先進性についての勝利宣言といっても過言ではないだろう。

こうしたビビッドカラーの流行を牽引するのは、医療用消耗品の老舗メーカー「CSD中衛」。SNSで検索すると「永遠に手に入らない」「買える気がしない」「もはやプラチナチケット並み」など、ため息混じりのコメントが並ぶ。

入手が困難な理由は、政府によるマスクの徴収令によって、自由に販売できる量に限りがあるためだ。

不定期な発売情報をキャッチし、ネットに張り付き、徹夜をし……争奪戦に勝ち抜いた者だけが手にすることのできる激レアアイテムである。独特の色合いと向かって右上に光る「csd」のロゴは、まさに勝者の印だ。

かくもレアなアイテムであるのに、街ゆく人のマスクが、日ごとカラフルになっていくのは、なぜか。

それは、人々がカラーマスクを渇望している今こそ商機と、他メーカーがこぞって追随したため。実に台湾らしい現象といえる。以前からあるパステル調のカラーバリエが増えたほか、ビビッドカラーも急増中だ。

最新トレンド、季節感、年相応、クラス感、ブランド信仰……。台湾のファッションは、こうした縛りから潔いまでに解き放たれていて、とにかく自由だ。そんな土地柄で、身に着けるものに関して、これほどのブームが起きたことは、とても興味深い。厳密に言うと、マスクは衛生用品であってファッションアイテムではないけれど。

後扁でも引き続き、大手マスクメーカー「CSD中衛」の營運長(最高執行責任者)で、カラーマスクの生みの親である張德成(ジョナサン・チャン)氏にカラーマスクの未来について伺っていく。

コロナ禍でマスクをとりまく環境が激変

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厳格な衛生管理下で粛々と生産されるマスク。作業員の方々もカラーサージカルを着けている点に注目!

「ビビッドカラーのサージカルマスクを発売したのは2017年。当時は、マスクとしては特殊な明るい色は敬遠され、黒などのシックなカラーが人気でした。

ところが今は完全に逆転していて、ビビッドオレンジ、アップルグリーンなど、他にはない色味が受けています。

思えば、あらゆる事柄が、コロナの前後で一変しましたね。例えば“マスクの乱”といわれている争奪戦。購入の攻略法をシェアしあうSNS、交換の掲示板的なSNSができていること。また、人々がマスクの規格や機能、原料の産地などに関心を持ちはじめ、専門家のように詳しくなってきたのも、コロナ禍による変化です」

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熱可塑性樹脂を使った着色法は、退色や化学物質の残留の心配がないという。

日本でも、一部の輸入マスクが劣悪な工場環境で作られており、機能どころか安全性も担保されていないことなどが報道され、人々は価格よりも安全性を優先するようになっている。発色の良いマスクとなると、安全性も気になるところだろう。

「安全性については、SGSの認証を得ていて、蛍光剤、重金属、可塑剤などの有害物質が含まれていないことが確認されています。

カラーマスクの材料となる不織布は、ポリプロピレンを吹き付けて不織布を作る際、“色母粒”と呼ばれる色つきのポリプロピレンを使う“マスターバッチ”という手法で色付けしています。実は、淡い色の一般的なマスクも、カラーマスクも、着色の方法自体は同じなんですよ」

今後はコピー商品がさらに増えていくことが予想されるので、発色の良さだけで手にしないことが大切。マスクに鼻をつくニオイがあるもの、70℃のお湯に30分浸して異臭や色落ちがあるものは、絶対に使用しないようにと警告している。

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フィルターとなるメルトブロー不織布を2種類のPP不織布で挟み、三層構造にする工程。中間層の色が製品の色味の決め手。ここでは黒を選び、臙脂色に深みを出している。

マスクの色やデザインはどう決まる?

さて、ここで、ひとつ疑問が生じる。色付けの手間は同じなのに、なぜ他社がビビッドカラーに手を出さなかったか? である。

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カラーマスクブームの源流となったデザインの数々。耳ひもにも同系色を採用している。

「それは、不織布のロールのオーダーが1トン単位なので、ブーム以前は、それだけの量を使い切る見込みが立たなかったからではないでしょうか。カラーマスクも、洋服と同じでトレンドがありますから、ひとつの色の寿命は意外に短いんです」

一度作ると決めたら大量生産となるカラーマスク。当然、色やデザインの選択には慎重にならざるを得ないだろう。

「新色を出す際には、洋服からスマホまで、生活を取り巻くさまざまなアイテムのトレンド、次にくる流行色などを多角的に分析して見極めていきます。ブランドイメージに合うかどうかも重要なポイントです。

私はデザインを学んできたので、その知識を活かし、微妙なニュアンスにも徹底的にこだわって作ってきました。幾度もの調整を経て、ようやく完成するのが新色。ですから、このブームに乗って似たようなものは出てくるでしょうけど、完全コピーはとても難しいと思いますよ(笑)」

と自信を見せる。実を言うと、試着してみるまでは“色出しの妙”については半信半疑だったが、実際に着けてみると、このマスクの色が持つパワーのすごさがわかる。

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ビビットカラーであるほど、メーカーによる発色や質感に違いが出る。選択肢が増えてもCSD中衛が選ばれる理由はそこに。

その実感については、熱苦しく語った前篇を参照していただくとして、ここでは洋服をモードに寄せるほどマスクが引き立ち、また同時に洋服の魅力をも引き立てる、と繰り返しておこう。

今回、ひとつ付け加えるなら、顔色のくすみや法令線が気になるお年頃のほうが、よりカラーマスクの魔法の効力が高いように思う。

洋服とのコーディネートに関してもうひとついえば、台湾の一般的なサージカルマスクを着ける生活のなかで、どうにも悩ましいのが薄緑色のマスクである。最も無難なモノトーンで全身をまとめても“壊滅的な何か”をプラスした感が否めない。平たく言えば、どんなファッションも台無しにする破壊力を持っているのだ。

防疫第一の段階から脱した今、色を選り好みする贅沢が許されるなら、せめてお気に入りの装いで出かける日には、カラーマスクを身に着けたい。

「すでにいろいろなカラーを集めている方は、装いに合わせて楽しんでいだたいているようです。同系色でまとめる、差し色として使う、アイメイクとリンクさせる等々、楽しみ方はいろいろあると思います。

レース柄マスク『csd×謝金燕 姐姐・蕾絲口罩』は、ファッション誌上でマスクを主役にしたメイク特集が組まれました。マスクのデザイン性が高まれば高まるほど、マスクを際立たせるための装いが可能になってくるでしょう」

サージカルではないが、日本のドメスティックブランド「gomme」では、ブランドを象徴するカラーである黒色のフェイスカバーを着用したビジュアルを発表。

また、NYを拠点とする「VIVIENNE TAM」では、色とりどりの洋服のプリント地と共布のマスクを発売するなど、マスクありきのファッションを提案。ウィズコロナの装いを示している。

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ビジュアルデザイナーの許博竣氏。ドイツのファッションブランド「DAMUR」とのコラボレーション等を担当。耳ひもの色を左右で変えるなど細部にまでこだわりが。

「当社のマスクのデザインに際しては、基本的には私と2人の社内デザイナー、外部のデザイナーが関わっています。プロジェクトによっては、デザインチームを作って取り組むこともあります。

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デザイン性が高いコラボレーションは、デザイナーの腕の見せどころ。この後、あっと驚く斬新なデザイン画面を目撃!

我々のデザインが大きなムーブメントとなり、多くの人々に求めてもらえるようになったことに、どのスタッフも大きな達成感を抱いています。

また、徴収用マスクの製造のため、残業続きだった社員たちも“この小さなマスクが人々に、そして社会全体に大きな安心感を与えているのだ”という自負が芽生え、自身の役割に誇りを持って働いています。

特に、7月末に蔡英文総統が激励に訪れた際は、労いの言葉に皆が感動し、社員の士気が一層高まりました」

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2020年9月に発売になった「防疫新生活紀念包」。感染ゼロを維持しようというリマインドの意味を込めて制作された。5枚+収納ケースつきで149元(約540円)という価格も話題に。

今後のコラボレーションと日本での展開について

防疫への貢献は公的機関も認めるところ。

国立歴史博物館における防疫の足跡を残す展示品として、カラーマスクの提供を求められているほか、10月10日の国慶節(建国記念日)紀念マスクを発売する計画も進んでいる。

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過去にはドイツのファッション・ウィークで「DAMUR」のランウェイに登場。

「今後はコラボレーションが続きます。10月には台湾の映画祭・金馬賞の記念デザインを出しますし、デパートの一階に入るような海外のハイブランドとのコラボも控えています。

また、アメリカではオンラインのテスト販売なども始まっていて、今まで以上にクライアントのニーズに応えるオーダーメイド、より独自性の高いマスクを提案していくことになりそうです」

欧米での展開と聞いて気になるのが、彼らのマスク観。未だ着用への抗議活動なども盛んなようだが、果たして……。

「一般的なサージカルマスクに対しては、やはり抵抗感があるようですね。2020年1月、ドイツのファッション・ウィークのアフターパーティで配布した際は、彩度が高いものはクールだと捉えていて、興味を持ってもらえたという感触がありました。

コロナ禍であれば、防疫に有効なサージカルという付加価値から、広く支持されるのではないかと思います。ただ、徴収令下の限られた生産量のなか、一定量の輸出は難しい。まずは企業とのコラボや国ごとの限定デザインなど、少量から展開していく予定です」

となると、日本での展開にも期待が集まる。

「実は、2020年11月に一部デザインを販売することが決定しています。2019年9月に東京ギフトショーに出展したのですが、鮮やかなカラーなのにサージカルであることに驚かれましたね。

それから約1年。マスクが生活に欠かせない世の中になりました。どうせならサージカルを選びたいところですし、できればファッションの一部になるようなマスクを……そう考えている方は、ぜひ試してほしいですね」

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奇しくも取材オファー中に飛び込んできた日本進出のニュース。台湾では未だファン垂涎の幻のマスク、日本でなら手に入るかも!

コロナ禍初期には貨幣になりうるとも言われ、その後は外交カードとなり、今では世界各地で着用の是非が問われるなど、世界情勢に翻弄され続けているサージカルマスク。

カラーマスクの躍進は、マスクを着ける習慣のない国への普及を促進し、すでに生活の一部となっている国にとっては、ウィズコロナのささやかな潤いに。

リーディングブランドである「CSD中衛」に、これからのカラーマスクが何になりうるかと問いかけた。

「今後は、だんだんとコレクションアイテムになっていくのではないでしょうか。すでに香港では、絶版品が高値で取引されているようです。コラボ商品などの限定品は、蒐集の方向に進むでしょう。

定番品に関しては、供給量が増えれば、装いの一部として楽しんでもらえると思います。日本の白マスク文化も、このカラーマスクによって打ち破れたら。化粧品メーカーとのコラボなど、日本のマーケットには、さまざまな可能性を感じています」

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写真は、カラーマスク全4種5枚入り 各350円。他に迷彩柄を含むバイカラーマスク全3種 5枚入り各400円も発売に。2020年11月1日(日)より、全国のLOFT(一部店舗を除く)、カタセ公式オンラインショップ・楽天「HADACOCO」、Yahoo「glass OneR」で先行発売予定/カタセ(06-4705-6861)

マスク先進国の台湾が誇る秒殺カラーサージカル。いよいよ日本初上陸です。台湾の熱狂をあなたも体感してみませんか。

堀 由美子 (ほり ゆみこ)

ライター。慶応義塾大学文学部を卒業後、広告制作会社にて、大手メーカーの企業コピー、商品パッケージ原案等を担当。ライターとして独立後は、女性誌にて、ファッション、恋愛、占い、エンタメ等、オールジャンルの特集に携わる。2011年より台湾在住。現在、CREA WEBにて、台湾発の占い連載・悟明老師の「神鳥さん占い」「世界の空気」をお届け中。

文・撮影=堀 由美子
写真提供=CSD中衛

堀 由美子

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