グルーヴ地獄V(1998)のクソゲーっぷりを再確認する:うえけんの「今そのゲーム!?」Vol.15

グルーヴ地獄V(1998)のクソゲーっぷりを再確認する:うえけんの「今そのゲーム!?」Vol.15

  • Engadget
  • 更新日:2021/05/04
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野ばら社といえば、略画やカット集、童謡、歌集などを発行している出版社だ。

私の小学生時代において学校行事のお知らせ、遠足のしおり、クラス新聞等の配布プリントに添えられる小さなカットは、市販の版権フリーのカット集などを使用したものも多く、当然野ばら社の本が基となった物もあった。

そして、おそらく2000年頃の事だったと思うが、野ばら社発行の「図画」を古本屋で見つけた時の衝撃というのは、実に局所的であり、他に共有できるものではなかったのだが、その後SNS でお好きな方々数名と分かち合う事ができたのは幸いであった。

その衝撃とは、今回取り上げる「グルーヴ地獄Ⅴ」に登場する人物イラストの数点、トモダチとして現れる人物や、セーブ画面に登場する女性等が、先程上げた本の中の略画から取られていたという事実である。……というわけで、どれだけの方がピンと来たのか筆者にもピンと来ない感じで今回のゲーム「グルーヴ地獄Ⅴ」についてつらつらと書いていこうと思う。

まず本作のタイトルだが、「Ⅴ」と銘打たれているが、「グルーヴ地獄IV」以前のタイトルがあるわけでもなく、意味は不明。オープニングは当時の最新CGを使ったムービーで、鬼の面が前面に付いたトラックが大音量で「グルーヴ地獄ファーイヴ」と、曲を流しながら人気のない夜の街を疾走。すると、そこに道を横切るメガネのサラリーマン風の男が! 危うしサラリーマン風の男! このオープニングがまた内容と一切関係がない。オープニングが終わると開くタイトル画面には、延々とタイトルを連呼する朗々たるア・カペラが3分程流れるのだが、(トラックが流していたのもこれ)歌うはピエール瀧! そう、本作は電気グルーヴのプロデュースによる、音楽エディターとミニゲームとあと様々な変な物で構成される、自ら「クソゲー」と標榜するゲームなのだ。

例えば「薪割り」見かけ通りのイジワルなクソババア(解説書ママ)が差し出す材木を斧で割るバイトだが、性質(たち)が悪い事に、たまに子犬やイルカなどの動物を出してくるので油断がならず、動物を割った瞬間バイトは終了。さりとて時間内(0.4秒)に割らないとこれまたバイト終了。それならばと、材木の茶色のみに集中しようとする、ところが連続してある程度の数をこなしていると、このババアときたら……

茶色いコアラを出してくるのだ。

性質の悪さここに極めり。そして、

どんなバイトなんだ!

というツッコミを禁じ得ない。

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本作が発表された当時はゲーム雑誌の評価も賛否両論だったようだ。大手が開発する大作ばかりでなく、今までゲームを作った事もないような会社が「なんかゲームって儲かるみたいだな」的なノリで作ったゲームも沢山あって、それがプレイステーションの隆盛を支える一助となっていた。

そんな中にあって、本作は世の中に出しやすいカオスな状況が整っていたように思う。だがノリだけで作られたのでは決してなく、アートディレクターの田中秀幸(スーパーミルクちゃんの絵の人)が手掛けるデザイン周りがかっこよく、ミニゲームのバランスや音楽やグラフィックス、おまけにローディングに流れるアニメも含め細部にわたって考えられたもので、大真面目にバカをやっている点が素晴らしく、ゲーム表現は自由なんだという事を体現しており、単にクソゲーなどと切って捨てる事はできないのだ。

ちなみに、ミニゲーム「キノコorDIE」の最初のタイトルは、

「スーパーマリ岡64歳」

だったそうな、何故このタイトルが没になったのかは、皆さん一人一人が考えてみて欲しい。

──うえけんWiki──

上野 顕太郎(うえの けんたろう、1963年4月18日 - )は、かなりアナログな漫画家である。デジタルなEngadgetとの接点は編集長が20年前、ゲーム誌編集者であったとき連載を担当したからと言われる。よく使うフレーズは「暇だからな!」......というわけで、かつてプレイした方もいるだろうマニアックなゲームを掘り起こし、あの当時を偲んでいただきます。

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上野顕太郎

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