「生理のテレビ番組」が話題!昭和の“隠す生理”からの脱却

「生理のテレビ番組」が話題!昭和の“隠す生理”からの脱却

  • 週刊女性PRIME
  • 更新日:2020/09/22
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2020年9月放送『生理CAMP2020』(c)テレビ東京

8月最後の月曜日、31日深夜2時に放映されたテレビ東京の番組『生理CAMP2020』が、放映終了後にも話題になっている。一時、ツイッターのトレンドワードにも上がったこの番組、見逃した人や地方在住で見られなかった人たちから「見たい!」の声が高まっているが、なんと史上初!「生理」だけをテーマにしたバラエティーなのだ。

【写真】哺乳瓶の口のような「生理カップ」を不思議そうに眺めるゆきぽよ

番組は「生理」という、女性ならどちらかというと隠したい、しかもドヨ~ンとしがちなテーマを扱いながらも、キャンプ場にいるようなラフなイメージのセットの中、あれこれ体験や新しい生理用品などについてワイワイと明るく、日ごろは友達同士でもなかなか話せないことまで突っ込んで、赤裸々に語り合っていたのが実に画期的だった。

「生理はないよ!」と会議でピシャリ

出演者は進行役にフォーリンラブのバービー。森三中の黒沢かずこ、ゆきぽよ、そして、りゅうちぇるが出演……って、えっ? りゅうちぇる? 男性が生理の番組に? びっくりするかもしれないが、それこそ、この番組の狙いの要。一体、どういうことなのか? 番組を制作したテレビ東京の工藤里紗プロデューサー、制作会社ホールマンの新井若菜プロデューサーと豊村奈緒美ディレクターの女性ばかりのお三人と、zoomをつないで話を伺った。

「私と新井さんが10年ぐらい前のディレクター時代に、YOUさんなどが出演する『極嬢ヂカラ』という女性向けの深夜情報番組を担当していて、その中で生理企画がわりとヒット・コンテンツだったんです。折しも東日本大震災があって『ナプキンがなくて困りました』とか、『そうそう、生理って大切なテーマなんですよ』と共感のメッセージが数多く寄せられたり、『元気もらいました』という声も多かった。生理というテーマへのニーズはあるなぁと、ずっと思っていたんです」(工藤プロデューサー)

工藤プロデューサーは6月下旬、テレビ東京が配信した「テレ東 無観客フェス2020」でも、「性に対するうやむや」を言語化する『withコロナ時代に必要な「新・性教育」セクシャルマインドセットをバージョンアップせよ!!』という番組を制作し、生理についても発信していた。

「3~4年前から“female(女性)とテクノロジー”を掛け合わせた『フェムテック』という女性の健康にまつわる課題をテクノロジーで解決しようというサービスや商品などの大きな流れが世界で生まれてきました。生理用ナプキンを妻のために作ることでイノベーションを巻き起こした、男性主役の映画『パッドマン』が公開されたりで、これは時代がキテるな!と思いました。そこで生理を主にした番組企画をこの1~2年書いていたんですが」(工藤プロデューサー)

ですが?

「女性特有の悩みに関する企画はすごくいいし、ニーズはあると思うけど、でも、生理については誰も見たくも聞きたくもないだろう? 生理はないよ!と会議でピシャリと言われてしまったんです」(工藤プロデューサー)

はぁ、やっぱり……。

でも、だからこそ多くの人が見るテレビでやる意味がある!と信じ、ひとりなら難しいことも二人、三人と力をあわせたら実現する。元々、工藤さんは同期でもある新井さんと生理についてよく語ってきてもいた。

「なんせテレビ業界で働いていると、番組の収録時間は長くて自分のタイミングでトイレに行くなんて難しいですから。特に最近の特番収録は長い!! 地方ロケに行っても、『ご飯を作って下さい』とお願いして撮影してたら思ったより時間がかかった……なんてときでも、『ちょっとここで止めて下さい』とはなかなか言い出しにくいんですよね」(工藤プロデューサー)

「そうなんです。それで、お宅のトイレをお借りしても、ご高齢の方のお家だとサニタリーボックスがなかったりします。ナプキンならクルクルっとペーパーに巻いてなんとかなっても、タンポンだとビニール袋に入れないとだめだよねとか。そういう女性ならではの事情、テレビ業界はあまりに男性社会なんで、逆に普段から女性同士ではよく話していました」(新井プロデューサー)

タンポンを使ったことがない若者

なるほど! テレビ業界は生理的にいったら最も過酷な業界のひとつ。そうした実体験からも番組化を切望する中で、ユニ・チャームの生理用品ブランド「ソフィ」発のプロジェクトである#NoBagForMe(生理用品を買うときに入れる紙袋から着想を得た言葉)とつながって放送が決定した。番組進行役のバービーは、このプロジェクト・メンバーでもあり、YouTubeの自身のチャンネルで生理特集をしてもいる。

「番組ではみなさん、しゃべりたい!という空気にあふれていましたよね。聞きたい!知りたい!という気持ちにもあふれていて、産婦人科の先生への質問も、これは? あれは? と、放送したもの以上に止まらなかったんです。とにかく終始、楽しそうでした」(新井プロデューサー)

生理について、女たちはこんなにも語りたいのか!と、よくわかった。森三中・黒沢は初潮を迎えたときお母さんに半年以上も言えなくて適切な処理ができなかったことを告白。また、生理期間を考慮してもらえぬまま温泉ロケを入れられて困るとか、ゆきぽよがTバック着用での撮影に生理が重なると、夜用タンポンを2本重ねで使うとか、壮絶な体験談をバンバン話していく。ちなみにタンポン2本使いは絶対にNG!番組中でも強く注意喚起していたが、真似しちゃダメです!

しかし、そういった苦しい体験を女性だけで語り合っていては解決しない。男性にこそ、わかってもらわなければ。

「会議で男性陣に『生理の番組は、ないよ』とされたのは今の時代、違うかな? とも思いましたから、男性にわかってもらいたいというのは強くありました」(新井プロデューサー)

そこで、りゅうちぇるの起用だったわけだ。

「マネージャーさんに出演オファーのお話を最初にさせていただいたときは『確認してみますね』という感じだったんですが、すぐに『大丈夫です』とお返事をいただきました。スタジオでりゅうちぇるさんご本人がおっしゃってましたが、お連れ合いのぺこさんとも普段から生理の話をしていて『男性に知ってもらうことが大きく変わるきっかけになるから、僕、出たい!と思って今日はルンルン気分がやって来ました』と、積極的に参加していただきました」(新井プロデューサー)

りゅうちぇるは番組中で初めて手にするタンポンに、「初めて触った」と素朴に声を出し、そうだよな、男性は知らないよなぁと、改めて思わされた。思い出せば筆者が小学4年生だった40年ほど前、教室に女子だけが集められて生理についての学習が保健師さんからあった。今もそうなのだろうか? 思えば、生理こそ、男女共に教えるべきことだろう。

しかし、制作陣お三人が驚いたのは、生理についての知識や常識、男性だけでなく当事者である女性もけっこう知らないということ!

「番組で紹介した生理カップや生理ディスクは使ったことはないのですが、番組で黒沢さんがタンポンを使ったことがないと話していたように、視聴者の20代、30代の女性たちへアンケートを元にインタビューさせていただくと、けっこうタンポンを使ったことがないという方が多くて驚きました。

ゆきぽよさんが『こんな便利なものをどうして使わないんだろう?』と、よさを語ってらっしゃいましたが、それを使っているかは、当たり前ですが、知っているか知らないかが大きい。知らないと使えない。知らせることが大事で、それで選択肢が増えるんですね」(豊村ディレクター)

生理カップはシリコン製のカップでタンポンと違って何度でも使えるもの。生理ディスクは、ゴム製のリングにフィルムが付いている使い捨ての最新生理用品。番組では実物を紹介し、バービーがカップを使ったことがあると言えば出演者みんなが「おおお」と驚き、興奮して実物を手にしていた。

婦人科受診のハードルが高い

昭和の生理時代を過ごしてきた筆者からすると、それはまるで夢のようだ。かつてはナプキンといえばワンサイズしかなく、ゴワゴワで分厚い。タンポンは「大人が使うもの」という常識の中で生きて、ブルマー着用が義務付けられて体育の授業は地獄そのものだった。

しかし、どんなにフェムテックが進化しても、知らなければ意味がない。番組でインタビューに答える若い女性たちの声を聞いていると、昭和の生理体験とあんまり変わらない人も見受けられた。

「実は番組の構成作家の女性もタンポンを触ったことがない!と話していて、番組はそういう方たちでも理解できる、『どうも初めまして感』を出すように心がけました。誰でも、男性でも、どんな年代の方でも、見て、理解できるようにしたんです」(新井プロデューサー)

番組冒頭でゆきぽよが「人前で生理の話なんてしちゃいけないって思わされてきた」と語っていたが、ほんと、それがすべてだ。生理=穢れ=恥ずかしいもの、という概念を私たち女性は背負わされてきて、知らないということさえ知らず、困ったことがあっても、悩んでも、ましてや病気になっていても、なかなか人に相談できず、ひとり悶々と悩むことが多かった。

「私自身、血の塊についてずっと疑問に思ってて、これは何なのか? と思っていました。よくCMで『どろっと経血』と言うので、それなのかなぁ? と思いながらも、それぐらいで婦人科に行ってもいいのか悪いのか? とわからないできました。視聴者の方々にインタビューをしていても、生理痛がひどいんだけど、生理痛ごときで病院に行くなんて……と話す女性もいて、みなさんたいてい、生理痛は市販薬を飲んでなんとかしているというぐらいしか対処法を知らないのが現状なんですよね」(豊村ディレクター)

「婦人科への扉はハードルが高いですが、気になることがあったり、たいへんなら、気軽に一度、受診してみようよ、ということは伝えたいですね」(工藤プロデューサー)

大きな反響が寄せられ続けていて、大好評だった生理バラエティー。ぜひ、第二弾、第三弾と続けてほしいが?

「視聴者からこういうのをもっと知りたい、こういうのを取り上げてほしかったという声がいっぱいきています。たとえば、産後の生理について知りたいとか、PMSの症状について深く知りたい、または子どもに見せたい、息子と娘といっしょに見たい、更年期に差し掛かるはざまの世代について知りたいと、とにかくあらゆる世代の生理を知りたい! と大勢から寄せられています。そういう生理のあれこれを伝えていけたらいいです」(工藤プロデューサー)

番組のラスト。バービーが「まさか地上波でこういう話ができると思ってなかったですよ」と言うと、全員が「いい時代」「うん、いい時代」と頷き合っていて、見ていて胸が熱くなった。バラエティー番組を見て、こんな気持ちになるなんて! 女性の周りを覆う、大きな殻をひとつ破った! そう感じた。

「女性の生き方の見直しもそうですし、#MeToo運動とかがあって、女性がこれまで我慢していたもの、しょうがないと思っていたものが、これは本当に仕方がないと我慢していないといけないの? という流れになっているんだと思います。これもそういう流れもあり生まれた番組かもしれません」(工藤プロデューサー)

なお、テレビ東京が見られない地域でも見たい、放送を見逃した、何かでもう1回見たい、とのリクエストに応え、9月15日火曜の夜から期間限定でのYouTube配信中!

見逃した方はぜひ、この機会にご覧になってみてほしい。

(詳しくは番組twitterアカウント@seiricamp2020で!)

〈取材・文/和田靜香〉

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