
50代の夫婦で貯蓄額が200万円は少ない?
金融広報中央委員会の調査では、令和4年度の50歳代世帯の貯蓄額を年収別で集計しています。同調査によると、「平均額」は300万円未満の世帯は565万円、300万円から500万円未満の世帯は692万円、500万円以上750万円未満の世帯は1070万円、750万円以上1000万円未満の世帯は1467万円です。50代の夫婦で貯蓄額が200万円だと少ないように思えます。しかし、「中央値」を見てみると300万円未満の世帯は20万円、300万円から500万円未満の世帯は130万円、500万円以上750万円未満の世帯は410万円、750万円以上1000万円未満の世帯は700万円です。年収が500万円未満の世帯であれば、50代の夫婦で貯蓄が200万円だった場合も決して少なくありません。
老後資金はいくら必要?
総務省の調査報告によると、令和5年9月分の2人以上の無職世帯の実支出は月に24万7477円です。この金額を1年間に換算すると296万9724円になります。65歳から80歳までの15年間の支出は、4454万5860円です。また、原則65歳からは年金を受給できます。標準的な年金額は令和5年度だと夫婦2人分で月額22万4482円です。年間で269万3784円受け取れます。80歳までの総額は4040万6760円です。実支出と標準的な年金額の差額は413万9100円になります。このことから、年金以外の老後資金として少なくとも夫婦で410万円は確保したいところです。
50歳から65歳までどのように貯蓄すればよい?
50歳の夫婦で貯蓄額が200万円の場合は、前述の410万円の老後資金に210万円ほど足りません。そのため、65歳までの15年間で210万円を貯める必要があります。単純計算すると、年間で14万円を貯めればよいので、月に約1万2000円貯金すると目標額に届きます。
年金は個人差があるので確認が必要
もっとも、年金額は個人差があるので注意が必要です。標準的な年金額は「賞与が含まれている標準報酬月額が43万9000円で40年間就業した人」を基準としているため、標準報酬月額が少ない人や国民年金保険料を満額支払っていない人は年金受給額が下がるので、必ずこの年金額を受け取れるというわけではありません。共働きで夫婦ともに老齢厚生年金を受給できる場合は年金額が上がることも考えられます。まずは、将来の年金額がどのくらいになるのか、ねんきん定期便などで確認してみましょう。
ねんきん定期便などで自身の受け取れる年金額を確認してみましょう
50歳の夫婦で貯蓄が200万円でも、中央値から考えると少なくないといえます。しかし、支出の平均や標準年金額を確認すると、少なくとも約410万円の貯蓄が必要です。もっとも、あくまで平均や標準年金額なので自身の場合と比較してみてください。支出が多いとその分、必要な老後資金も増えるので貯蓄していく金額も増えてしまいます。比較するためには、将来の年金額がどのくらいなのかを把握することが大切です。ねんきん定期便にはおおよその年金額が記載されているので、まずは確認することをおすすめします。
出典
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降) 設問間クロス集計(令和4年)総務省統計局 家計調査報告-2023年(令和5年)9月分及び7~9月期平均-日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について執筆者:FINANCIAL FIELD編集部ファイナンシャルプランナー
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部