華原朋美さん「緊急入院」報道も...“自己破壊”を繰り返す「ギリギリの実態」

華原朋美さん「緊急入院」報道も...“自己破壊”を繰り返す「ギリギリの実態」

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2020/10/18
No image

華原朋美さん「緊急入院」報道

歌手の華原朋美さんが、治療のため病院に緊急入院したと「女性セブン」(10月29日号)が報じた。

華原さんは9月23日、バイオリニストの高嶋ちさ子さんと尾木プロダクションの尾木徹社長への“号泣謝罪”動画を、自身のYouTubeチャンネルで公開したが、これを見た家族が危機感を覚え、緊急入院させたのだという。

No image

華原朋美公式チャンネルより

実に賢明な判断だと思う。

華原さんは9月15日にYouTubeチャンネルを開設してから、自撮り動画を連日投稿していたが、目がトロンとしており、呂律も回っていなかったので、睡眠薬や抗不安薬などを大量に服用しているのではないかと心配していた。

子どもと離れるのが嫌で、華原さん自身は入院を拒否した可能性もある。だが、母親の精神状態が不安定だと子どもに悪影響を与えかねないので、家族はギリギリの決断を迫られたのではないか。本人が入院を拒否しても、家族などの保護者が同意すれば入院させることができる「医療保護入院」の制度があるので、それを使ったのかもしれない。

睡眠薬や抗不安薬などを乱用していた患者の場合、難しいのは、服用を急に中止したり、減量したりすると、不安や不眠などの症状が悪化することである。

とくに睡眠薬は、急に服用を中止すると、睡眠薬を使用する以前よりも強い不眠が出現することがあり、「反跳性不眠(rebound insomnia)」と呼ばれる。そのため、服用量を徐々に減らしていく漸減法、もしくは服用間隔を開けていく隔日法を用いる。

No image

〔PHOTO〕iStock

「処方薬依存」という深刻な問題

華原さんは以前も薬物依存の治療のために精神科病院の閉鎖病棟に入院したことがあるらしいので、不安が強くなり、精神的に不安定になると、睡眠薬や抗不安薬に過度に頼る傾向があるのかもしれない。

睡眠薬も抗不安薬も、原則として医師に処方してもらわなければ手に入れられない処方薬である。この処方薬に頼りすぎて依存するようになる処方薬依存が、現在深刻な問題になっている。

薬物依存といえば、覚せい剤や大麻などの違法薬物への依存を思い浮かべる方が多いかもしない。

だが、「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態に関する調査」によれば、薬物依存で病院に通院している患者のうち、使用薬物で最も多いのは覚せい剤だが、その次に多いのが睡眠薬や抗不安薬などの処方薬なのだ。これらの処方薬は、わが国で第2位の乱用薬物といえる。

とくにベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗不安薬への依存は深刻な問題である。こういう薬は酩酊感をもたらしてくれるため、「嫌なことを忘れたい」「とにかく何も考えず眠りたい」という気持ちから乱用する方も少なくない。

もちろん、その背景には、睡眠薬や抗不安薬を漫然と処方する医師の問題もある。日本は欧米に比べ、この系統の薬の処方件数が格段に多いのだ。

以前テレビ番組で華原さんと共演した際、自己紹介した途端「私は精神科医の出した薬のせいで依存症になった」とものすごい剣幕で怒鳴られ、唖然とした。

「私が処方したわけでもないのに、なぜ怒りをぶつけられるのか」と納得しがたい気持ちになったのだが、華原さんとしては、処方した精神科医への怒りを抑えられず、同業者である私にも怒りを向けたのかもしれない。

もちろん、主治医が規定の量を処方しても、患者が乱用し、その結果薬物依存に陥ることもあるので、一概にどちらが悪いとはいえない。しかし、自分の処方した薬が薬物依存を作り出す可能性もあることは、精神科医として認識しておかなければならないと思う。

「境界性パーソナリティ障害」の可能性

華原さんの場合、処方薬依存以外にも、心配な問題がある。ベビーシッターをめぐる騒動で高嶋さんに怒りを爆発させたことや、テレビ番組の収録中に私に対して激高したことからもわかるように、怒りの制御が困難で、激しい怒り発作を起こすことだ。

また、YouTubeに投稿した一連の動画から、感情がきわめて不安定であることがうかがえる。それだけでなく、対人関係も不安定で激しいように見える。その最たるものが、高嶋さんとの関係だろう。一時は「親友」と呼ぶほど、理想化していたのに、結局は週刊誌に売ってこきおろした。

さらに、ここ1年で3度も交通事故を起こしたとの報道もあり(「週刊文春」9月24日号)、薬物の乱用とあわせて、自己破壊的行為を繰り返しているように見える。小室哲哉さんと破局した1999年には自殺未遂騒動を起こしたこともある。

No image

〔PHOTO〕iStock

このような言動や騒動から、精神科医としては境界性パーソナリティ障害の可能性を疑いたくなる。これは、病気というよりは、 パーソナリティ、つまり人格の偏りのようなもので、かつては不安定パーソナリティと呼ばれていた。

境界性パーソナリティ障害の方は、周囲に迷惑をかけたり振り回したりしていても、本人に自覚がない場合が多い。そのため、精神科での治療の対象になりうるのかという議論さえアメリカにはある。

もっとも、精神科医としての長年の臨床経験から、家族のサポートを受けながらじっくり治療を受ければ、やがて安定するだろうと断言できる。せっかく入院したのだから、精神的に安定するまで、治療に取り組んでほしいものだ。

【参考文献】
片田珠美『やめたくてもやめられない人』 PHP文庫 2016年

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加