ダイバーシティニュース経済(6/22)瀬尾傑さん【7/31まで限定公開】

ダイバーシティニュース経済(6/22)瀬尾傑さん【7/31まで限定公開】

  • グロービス知見録
  • 更新日:2022/06/24
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瀬尾傑(せお・まさる):スマートニュースメディア研究所所長
1965年、兵庫県生まれ。同志社大学卒業。日経マグロウヒル社(現日経BP社)に入社。経営企画室、日経ビジネス記者などを経て、講談社に転職。2019年2月、調査報道支援のための子会社、スローニュースを設立し、代表に就任。新しい時代のジャーナリズムの育成と支援に取り組んでいる。Twitter

瀬尾傑さんのニュースピックアップ

1.東京・赤坂の文教堂が閉店 書店業界全体への影響は

かつては世の中のトレンドを知り、新たな気付きを得る場としてメディア関係者や政治家もよく利用していた実書店だが、その数はどんどん減ってきている。その理由としてAmazonなどのネット書店の台頭、実書店での雑誌の売り上げ減少が挙げられる。書店の魅力は情報との出会いである。最近では体験型書店も増えてきた。パブリシティの中心としての実書店が今後も残り続けるのが理想的な姿だと思う。

2.目黒雅叙園、電通本社ビル… 海外資本が国内不動産に食指

円安もあり、海外資本が目黒雅叙園や電通本社ビルなど日本の不動産に注目している。これは決してマイナスなことだけではない。不動産は買い手がいないと価値が下がっていくため、海外からの直接投資で日本の資産価値が上がることはメリット。バブル期の日本がアメリカの大型物件を買い漁ったことがあったが、その利益をうまく利用してアメリカが繁栄した実例もある。円安を逆手にとって日本の発展につなげることが必要だろう。

3.アメリカで認められた別姓婚、日本では婚姻届が不受理に

米ニューヨーク州で別姓婚をした夫婦が東京都千代田区に提出した婚姻届が不受理となり、東京地裁に提訴した。2021年4月、東京地裁は請求を棄却した一方、婚姻の有効性は認め、戸籍の記載に関しては家庭裁判所の判断に委ねるとした。夫婦同姓は明治30年代に始まった制度であり、日本の伝統というわけでもない。選択肢のなさが結婚の断念、少子化につながる可能性を考えると、制度を変えてもいいのではないだろうか。

4.EU首脳会議開催、ウクライナを「加盟候補国」に認定へ

戦争の長期化に伴い、ヨーロッパではウクライナ疲れといえる現象が起きている。消耗戦を支えているのはヨーロッパ諸国による武器の供給や経済制裁だが、日本と同じくインフレが進み経済が疲弊している。停戦を望む動きが出る中、ウクライナをEU加盟候補国とすることがウクライナとロシア双方の妥協点になるのではないかと議論されている。戦争は泥沼化しており、妥結点がどこになるか注目したい。

5.NTTが7月から新たな制度、社員3万人を原則テレワークに

テレワークを原則とし、出社を出張扱いにするという思い切った制度を導入する。通勤ラッシュや家賃・住宅ローンに関するストレスが解消でき、家族の介護などにも対応できるようになる可能性がある。この取り組みが本当に生産性を上げるかどうかは未知数だが、労働者の負担は大きく減るだろう。人と会えないことでストレスが溜まっている人もいるが、ここに関してはVR(仮想現実)などテクノロジーを活用した解決を期待したい。

【スペシャルトーク】話題の著書『映画を早送りで観る人たち』の読みどころ

スペシャルトークでは、稲田豊史氏に、今年出版した『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書)についてお話をいただいた。

コロナ禍において家で過ごす時間が増えた結果、今まで映画やドラマに関心のなかった人たちが、作品を鑑賞するようになった。その中で、話数の多さなどを理由に「早送りで観ている」という声が聞こえてくる。かつて、仕事の都合により倍速で観ていたこともあったが、その後等倍で観た時に、倍速視聴では良さを全く味わえていなかったと気付いた。なぜ多くの人が倍速視聴をしているのだろうと不思議に思ったのが執筆のきっかけだ。

本の中で「タイパ(タイムパフォーマンス)至上主義」という言葉が出てくる。これは時間対効果を重視する考えのこと。定額制配信サービスの普及によって、本数をたくさん観ると元が取れるという考えが生まれたこと、周りと話題を合わせるために観なければいけないコンテンツが増えていることが背景にあると考えられる。エンタメをひとつのコミュニケーションツールとして、時間もお金もない中で数多くの流行を把握するために倍速視聴をする人々が若者を中心に増加した。

若者の中には物語の快適さを最重要視する「快適主義」も広がっている。ショッキングなのは、感情を揺さぶられる作品は見たくないという考えがあること。主人公が嫌な目に遭い続ける、犯人が分からず結末を引っ張るといった作品は「快適ではない」とされる。結末を知ってから作品を視聴するネタバレ視聴などは「安心して観たい」という思いによるものだろう。

アニメやライトノベルに多いのが、ラスボス以外、いい人しか登場しない作品だ。『鬼滅の刃』が象徴的だが、天真爛漫で清廉潔白、嫌なところのない主人公が支持を得ている。普段の生活にストレスが多いこと、インターネットの普及により望んでいない情報も自動的に入ってくることから、「自分から能動的に見るエンタメくらいはストレスのないものを選びたい」と思うのは当然とも言える。

コンテンツ産業の将来については、作り手がどう腹を決めるかがポイントとなってくる。タイパ主義・快適主義に寄り添った作品を作るか、それを気にせず作りたいものを作るのか。ビジネスとクリエイティブのせめぎ合いは過去何十年と続いてきたが、それがより激化・可視化されているのが現状だ。

倍速視聴に対する疑問を抱えていたこともあり、本著の執筆にあたっては、最初は懐疑的なスタンスで取材を始めた。しかしだんだんと倍速試聴をせざるを得ない人たちの事情が分かったことで気持ちが動いていった。リアルドキュメントのような書き方も読みどころと言える。

稲田豊史(いなだ・とよし)さん経歴:1974年愛知県生まれ。1997年ギャガ・コミュニケーションズ入社。2008年からキネマ旬報社に所属。2013年独立。2019年に出版したルポ『ぼくたちの離婚』が話題になる。2022年、光文社新書より『映画を早送りで観る人たち』を出版。Twitter

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3.radikoでも聴取可能です

最新情報は、Twitterでご確認ください。

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善行長田

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